亀城ヶ丘だより
【立志式】050228
立志式は、もともとは奈良時代に男子が成人を示す儀式として行ったもので、氏神の社前で服や髪型を大人のものに改め、冠を付けてもらう「元服式」でした。 元は頭(首)、服は着用するを表しており、この日を境に、髪型、衣服を大人のものに替えて、社会から一人前の大人として認められました。
武士にとっては、大人になると言うことは、戦に行くことができると言うことであり、忠臣蔵で有名な大石内蔵助 の息子、主税は12月に元服して戦いに加わり、「あふ時は かたりつくすとおもへども 別れとなれば のこる言の葉」
毎日顔を合わせていた時には、十分に語り尽くしたと思っていたけれど、いざ別れてもう二度と会うことがないと思うと、まだまだ話したいことがたくさんあったのにと、とても心残りな気持ちになる。 という、辞世の句(切腹する前に詠む句)を残して16歳で切腹しています。 まさに、元服式は覚悟を決める式であったと言えます。
現代においても、法的には13歳までは刑事責任年齢に達していないため、刑罰(保護処分までです。 )は受けませんが、14歳からは刑事処分(長期で15年の懲役刑もありえます。 )が可能な年齢となり、社会的責任は一層重くなります。
西郷隆盛が尊敬した幕末の志士『橋本左内』は、皆さんと同じ年齢の頃、『啓発録』という書物に、「自分は何をしてもおろそかで、注意が行き届かず、弱々しくてぬるい性格であるため、いくら勉強しても進歩がない。これではとても父母の思いに応え、藩や主君のお役に立ち、祖先の名を輝かすような人間になれるはずもない。 一体自分はどうしてこんなに駄目なんだろう。 そう思うと情けなくてたまらず、毎晩涙で布団を濡らした・・・」
自分には覚悟があるか。 そして
〇稚心を去る(幼稚なことを言わない)
〇気を振う(負けん気をもつ、気合を入れる)
〇志を立てる(将来こうなりたいという目標をもつ)
〇学問に勉める(とにかく勉強する)
〇交友を択ぶ(自分を成長させる友達を選ぶ、ライバルをもつ)ことが大切だということを記しています。
今日、リモートで講話をしていただいた湯浦中の大先輩、ロンドンオリンピック銀メダリストの藤井瑞希さんは、卒業文集にこう記しています。
「私の将来の夢は、スポーツ関係の職業に就くことです。 もう一つは、バドミントンを小学生や中学生に教えることです。しかし、私の最大の夢はオリンピックに出ることです。 今の私では世界に通用しません。 私は高校で少しでも精神面が変わったらいいなと思い親元を離れることにしました。これからつらいこととか沢山あると思うけど、自分の夢に向かってしっかり頑張りたいと思います。
その後、藤井さんは青森山田高校に進み、3年生のインターハイではシングルス・ダブルス・団体の全種目優勝。 社会人でも活躍し、オリンピック出場と、バドミントン競技で日本人初のメダル獲得を果たされました。
皆さんにとって、藤井先輩のように、今日が志を立て、夢への一歩を踏み出す日となることを期待しています。