2020年7月の記事一覧
【モラル・ルール】020731
中国の秦の時代の終わり、都を制圧した劉邦は「殺すな」、「傷つけるな」、「盗むな」の3つの法を施行しました。混乱の時代、シンプルな法が効果的でした。学校に置き換えると、「殺すな」、「傷つけるな」は人を死に追いやることや一生消えない心の傷をつくることにつながる「いじめ」や「差別」、「からかい」にあたり、「盗むな」は人の物を隠したり、本人の許可なく人の物を使ったりということにあたるのではないでしょうか。
江戸時代、会津地方では同じ町に住む6歳から9歳までの藩士の子どもたち10人前後で「什(じゅう)」という集まりをつくり、掟(「嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ。」、「卑怯な振舞をしてはなりませぬ。」、「弱い者をいぢめてはなりませぬ」など)を守った生活が1日できたかどうかという点検をして、決まりを破った者には自分たちで罰を与えていました。決まりの最後は「ならぬことはならぬものです。」で締めくくられていますが、これは「決まりは守るものである。」というような意味だそうです。将来、戦場に出ることが義務付けられた子どもたちですから、自分たちの命を守るためにも「規律」を第一義にしたということが分かります。
さて、私たちの言動を縛るものに「ルール(破れば罰せられる決まり事)」、「マナー(礼儀作法)」、「モラル(倫理観・道徳意識)」、「タブー(宗教的禁忌)」等があります。つい最近、新型コロナウイルス感染症に関しての情報を、知り合いからのメールで県の発表前に知ったということがあったようです。おかしいと感じた人も多かったようですが、その感覚が当たり前です。この事例はどれにあたるでしょう。(H)
【そうなんです。】020730
若い人にインタビューをして、答えることができないことを「常識なのに。」と笑うような番組もありますが、子どもの教科書を開いてみてください。特に「地理」、「歴史」の内容は昔と大きく変化しています。教えていないから知らないのが当たり前です。逆に、世界最古の人類を「アウストラロピテクス」と答えたら今の中高生に笑われます。現行の教科書では「サヘラントロプス・チャデンシス」です。
ネットにこんな記事がありました。あるテストで「インドで、小麦粉からつくられているパンはなんですか。」と言う問題。
ある生徒の解答は「そうです。」
笑い話にしてしまうのは簡単ですが、間違えさせないようにするにはどのような設問にすればよかったのでしょうか。「文末を“パンの名前を答えなさい。”」、「“なん”を漢字で“何”にする。」にするのも良いでしょう。しかし、「そもそもインドで一般的に食べられるのは“チャパティ”や“米”が主流なので、“ナン”を答えさせるのはクイズレベル。」「すべての教科書で扱っているわけではない内容を問うのは、学習の定着度を測るのに適当ではない。」などいろいろな意見が出ます。社会科担当からすると突っ込みどころ満載で、この記事事態本当なのかと考えるところです。面白い話ですけど。(H)
【アイス指数】020729
毎夕、勤務終了後に田浦まで帰り、少しずつ片付けていましたがなかなか作業は進みません。やっと晴れたので今日は職員会議前まで休みを取りました。父が植木の仕事をしていたので、その道具や材木なども随分水没していました。「いつか使う」、「いつかていつね。」捨てる、捨てないで母の合意を取るのに苦労しました。床下はそのままですが、とりあえず目途が立ちました。
今日は暑い日でした。作業をしていて汗が止まりません。少し涼しくなる話を。日本アイスクリーム協会のHPによると、20代~40代の男女人300人を対象の調査で、アイスクリームがおいしく感じられる気温は、53.0%が「25℃ぐらい」、25.0%が「20℃ぐらい」と回答、平均で24.1℃という結果でした。また、男性25.0℃、女性23.2℃と、女性の方がアイスクリームの食べごろ温度が低めだそうです。
気温が22~23℃を超えるとアイスクリームが、30℃を超えると氷菓やかき氷が売れるようになると言われていますが、日本気象協会のHPには『アイスクリーム指数』のページがあり、「アイスが食べたくなる」度合いを、天気や気温などのデータから計算しています。数字が大きいほど「アイスが食べたい!」と感じる気象条件で、今日の芦北町の指数は100でした。(H)
【個性と表現】020728
先月、現在松橋中に勤務しているN先生から「学級通信に校長先生の『個性と表現』の話を載せました。」というメールが届きました。うれしいことです。こんな内容です。
ウルトラマンのデザインをしたのは、彫刻家の成田亨氏。「ベムラー」という名称で企画され、最初はガルーダの意匠を取り入れたデザインが提案されましたが、そこから無駄を削り、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像にも似たアルカイックスマイル(無表情の中で口角を上げ、 微笑みを浮かべた表情)をたたえたデザインが完成しました。
カラー放送が始まるため、ブルーバック合成で透き通って見えないように、色は銀色と赤になりました。口が動く設定でしたが、口周りにしわが寄ってしまい、Bタイプ、Cタイプでは固定した口に変わっています。成田氏は、全体のバランスを崩すという視点から、カラータイマーを付けることには最後まで反対したそうです。
「個性」と「表現」という言葉があります。大きな円が1つと、中に小さな円が2つ、縦線が1本で描けるウルトラマン。大きな円が1つと、中に小さな円が2つ、斜めの線が2本で描ける仮面ライダー。
あらゆる無駄をそぎ落とし、最小限の線で分かるヒーローの「個性」。後の角がついたウルトラマン、顔にライダーと書かれたデザインの仮面ライダー。それは、全力で個性を磨いてきた者たちが、先達と自分を差別化するための「表現」でしかありません。あくまでも先輩たちが磨き上げた「個性」を基盤として作り上げたものです。
みんなちがって、みんないい。自分だけの輝く「個性」を磨きましょう。(H)
【みんなちがって、みんないい】020727
今日は人権集会でした。そこで、こんな話をしました。
私は背が高いと言われることが多いのですが、世界で平均身長が一番高いオランダの男性の平均身長は184cm、女性は171cmだそうです。オランダでは私は平均ということになります。
食をとるための道具は大きく分けると箸で食べる、ナイフやフォーク、スプーンで食べる、手で食べるの3つあります。割合は箸30%、ナイフやフォーク30%、手40%だそうです。当たり前だと思っていることが、当たり前ではない。よくある話です。
湯浦中では当たり前だったことが、外に出ると違うということがあるかも知れません。でも「違う」ということは、1+1=5といったテストの解答のように「間違っている」「おかしい」ということなのでしょうか。
ヒトの遺伝子の情報は印刷製本すると26万2000ページほど(広辞苑約90冊分)になるそうですが、一人一人違うのは500ページほど。99.9%近くは同じだそうです。「違い」はそれぞれの「個性」に当たる部分。0.1%の「違い」を見つけて「私(たち)と違う」と非難する。そういう私たちもそれぞれ0.1%は違うのに。
左右の人の顔を見て、0.1%の「違い」を取り除き、生徒、先生方全員が全く同じ姿かたち、考え、行動。100%一致した湯浦中を想像してください。
小学校3年生では、金子みすゞさんの『わたしと小鳥とすずと』を学習します。
わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように たくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。
「自分を大切にするように、人も大切にする心」、「相手の良さに気付き、素直に認めることができる心」
はじまりは「みんなちがって、みんないい」です。(H)