湯浦中ブログ

2021年3月の記事一覧

【心と気を働かせる】030317

ある日のこと、織田信長が小姓の一人を呼びつけました。小姓が居室に入ると、信長は何も言いません。間をおいて発した言葉は「下がってよい」でした。

 次の者が呼ばれました。信長は今度も何も用事を言いつけず、また「下がってよい。」と言います。同じ遣り取りが何度か繰り返された後、森蘭丸が呼ばれます。

 蘭丸も同じように「下がってよい。」と言われ、居室から出ようとしました。その時、蘭丸は出口近くに小さなゴミが落ちているのに気づいて拾います。

 信長は、蘭丸が居室から出るのをとめ、こう言います。

「人は心と気を働かせることをもって良しとするものだ。用を言いつけられなかったからといって、そのまま退出するようでは役に立たない。お前はゴミに気付いて拾った。なかなか感心である。」

 ※小姓=位の高い武将等の身辺に仕え、諸々の雑用を請け負う役目の家来

 

 

【合格発表】030316

 今日は熊本県立高校の合格者発表でした。県内の高校を4つのグループに分け、ウエブ上で発表されます。3年生担当の先生方で緊張しながらページを開きました。

 結果は全員合格!進路が決定しました。

 高校に掲示された結果を見て、互いに喜び合い、そのあと中学校に報告に来るのが一昨年までの風景でしたが、お祝いの声をかけることができなくてさみしい限りです。

 合格おめでとうございます! 社会に出る一歩手前の3年間、充実した毎日を過ごしてください。

【卒業式式辞】030315

校長式辞の概要です。

新年度が始まった翌週、新型コロナウィルス感染症の拡大により学校は予想もしなかった二度目の休校が決定。再開後もあらゆる活動は三密を避けるための制限を余儀なくされました。

授業は、部活動は、体育大会は、文化祭は、入試はどうなるのかと先の見えない日々が続きました。 

そのような中でも、皆さんは『夢と志をもち、実現に向かって自ら努力し続ける生徒』という学校教育目標の具現化に向けて、「凡事徹底」の生徒会スローガンのもと、湯浦中の伝統と校風をより輝かせてくれました。 

担任のミニ通信「言霊」には皆さんの活躍の様子と声が毎日、綴られていました。少し紹介します。

6月、やっと学校が再開しました。

そこには、早く登校して窓を開けてくれる生徒、「おはようございます。」の爽やかなあいさつを交わす3年生の姿がありました。「みんなで給食を食べることができ、とてもおいしかった」、「理科の時間にわからないところを友達が教えてくれた。」

当たり前だと思っていた友達と過ごす時間がどんなにかけがえのないものか、そして失われやすいものかを思い知らされました。 

同じく6月、「今日、先生から郡市中体連大会が中止になったことを伝えられました。頑張ってきた人たちは悔しいだろうなと思いました。」

優勝を目標に練習を積み重ねた2年間を思うと、私たちは3年生にかける言葉が浮かびませんでした。 

7月、「一週間ぶりの登校です。家の片付けばかりして過ごしました。」未曽有の豪雨災害が故郷の風景を一変させました。

芦北の学校はみんな仲間だ。一日も早く学校が再開できるよう自分にできることをしよう。大きな被害を受けた佐敷小学校・佐敷中学校の復旧作業に通った生徒もいました。 

9月、半日でしたが何とか開くことができた体育大会。短い時間に気持ちを集中させました。「一日緊張で吐き気がすごかった」、「応援団演武の最後でミスをしてしまい、それでも団のみんなが支えてくれた。」、「みんなが最高の笑顔で限界突破ができた。」、仲間と支え合い、大きな喜びを作り上げました。 

10月、郡市駅伝大会開催の見通しが立たない中でも、休むことなく早朝練習を続けた五人の三年生がいました。本番では試走タイムを上回った選手も多数出ました。湯浦中の代表としてのプライドを感じました。襷は確実に後輩につながりました。 

11月の「合唱コンクール」に向けては、昼休みもパート練習をしているグループがありました。結果に悔しさを滲ませる生徒もいました。絵手紙の製作では、家族の皆さんの子どもたちへの深い愛情を感じました。 

そして、1月、進路決定に向けて、自分を見つめ直す姿がありました。面接の練習では、言葉に詰まり、自信を無くしたこともありました。それでも何度も何度も挑戦しました。発表の日は、手を震わせながら通知の封を切りました。 

毎朝、職員室で礼儀正しいあいさつをしてくれる卒業生がいました。美術の作品に心が表れている卒業生がたくさんいました。掃除の時間は、皆が膝をつき床を磨き上げていました。こんな学校は初めてでした。修学旅行では首里城再建のための募金集めに奔走しました。良さを語っても語り尽くせないのが卒業生の皆さんでした。皆さんのこれまでの頑張りに対し、改めて称賛の拍手を送ります。 

アウトドア用品の総合メーカー、モンベルの辰野勇会長は、1800mの垂直の壁が続くアイガー北壁に初登頂した、ハインリッヒ・ハラーの体験記『白い蜘蛛』を高校一年生の時に教科書で読み、感動して、10年後の26歳でアイガー北壁に登ること、28歳で山にかかわるビジネスを始めること、という目標を立てました。

そして、何を始めたか。筋トレ、ランニング、登山の練習などに取り組むと言うのが普通の発想だと思いますが、辰野さんは「アイガー北壁」と書いた貯金箱を作りました。夢に終わらせない、具体的な取組を始めたわけです。そして、予定よりも五年早い21歳の時、世界最年少記録で登頂に成功しました。

途中、あまりの過酷さに、二度と山には登らないと思ったそうですが、山頂からマッターホルンが見えた瞬間に、次はあの山だと決意したそうです。 

古代の日本においては言葉の「言」と出来事の「事」は同じ概念で、声に出した「言」葉は現実の出来「事」に対して何らかの影響を与えると信じられていました。そして、良い「言」葉を発すると、良い「事」が起こるとされていました。「言霊」とは発した言葉に魂が宿るということ

卒業生の皆さん、今日を家族への感謝と決意を、言葉にして伝える日にしてください。 

以前も話をした、ネイティブアメリカンの教えで式辞を閉じます。

「あなたが生まれたとき、周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。だから、いつかあなたが人生を終えるときは、あなたが笑って、周りの人が泣くような人生をおくりなさい。」

これからの活躍と、幸多い人生をお祈りします。

【卒業おめでとう】030314

第74回卒業証書授与式が終わりました。とても良い式でした。

ところで、芦北町立学校の卒業証書は、芦北町の北部に位置する銅山(かなやま)地区伝統の手漉き和紙『大河内紙』でつくられています。

『大河内紙』は江戸時代から昭和35年頃まで盛んにつくられていたそうですが、一時途絶え、子どもの頃に紙すきの技術を学んだ大河内紙保存会の皆さんが復活させました。強くて破れにくい上、防虫効果があり、障子紙や米の保存袋として重宝されてきた和紙で、焼酎『夢あしきた』の瓶のラベルにも使われています。私たちの卒業証書は既製の用紙でしたので羨ましい限りです。(H)

 

【大きく手を広げて】030313

 修了証には「本校第3学年の課程を修了したことを証する」と書かれています。ところで「シュウリョウ」を漢字で書けますか。「終わり」ではなく「修める」という漢字ですね。これは単に中学校生活が終わったのではなく、「学問などを身につけた」、「普段の行いを正しくすることができた」、ということを意味します。卒業式での3年生の姿が「修了」の証明になります。

 家族、地域の皆さん、先生方に支えられ、守られ過ごした9年間の義務教育が今月31日をもって終わ ります。

 高校の入学式では、校長先生から「入学を許可する。」という言葉が発せられます。4月1日が来ればみんながなれるのが小中学生、「許可された」者だけがなれるのが高校生。短い言葉の重さを噛みしめて、その後70年間続く社会に出るための「一歩手前の3年間」を有意義なものにしてほしいと願っています。 

 最後に、人をそしりあざけることを「指をさす」と言います。では指をさしてみてください。3本の指は鋭く自分に向かっています。

 人を受け入れる時には大きく手を広げます。全ての指は温かく相手に向かいます。(見せるのは手のひら、表側ですよ。裏を見せると「うらめしや」になってしまいます。)

 いつまでも湯浦中の卒業生らしく、人を大切に。いつも大きく手を広げた皆さんであってください。

では明日の卒業式を楽しみにしています。