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2020年2月の記事一覧

【OJT】数学科検証授業


 2月27日(木)、2年生教室で数学の検証授業が行われました。くじを最初に引いた時と次に引いた時の確率はどちらが高いか、あるいは同じかについて考えていきました。

 先生の説明を聞いたあと、近くの人と意見交換をしたり、質問をする時間があり、その後、各自でどちらが高いか、同じなのかを樹形図を使って確認しました。

 積極的に発表する姿、話し合いやわからないところを友だちに聞く姿など、自主的に学習に参加する雰囲気があり、この雰囲気の中にいると「学ぼう」との意欲が沸いてくると感じました。

 生徒の活動を保証され、学ぼうとする意欲を引き出しながら授業が進んでいくことで学びが深まると思いました。 


【OJT】社会科検証授業

 2月26日(水)5時間目。社会科の検証授業が2年生教室で行われました。

 明治維新の改革は国民のための改革なのか、それとも国民のためになっていない改革なのか。この課題に対して、自分の考えを見つめ、みんなに伝え、その意見に対してさらに意見交流しながら考えを深めていく、活気のある授業が展開されました。

 学級の中に、まず自分で考えるのが当たり前、手を挙げて発表するのが当たり前といった空気が満ちあふれていることがすばらしいと思いました。

 こんな空気の中での授業は、あっという間に時間が過ぎていきます。そして、授業が終わったあとには充実感を感じます。

 「主体的・対話的で深い学び」が体現された5時間目の授業となりました。

 

【視察研修】品川区立日野学園視察研修

 2月19日(水)午前9時過ぎ、品川区立日野学園を訪問させていただきました。日野学園は、9年間の連続した学びを行っている義務教育学校です。品川区は全体として小中一環教育を行っている区として知られています。

 最初に、校長室に案内され校長先生より、学校の概要や特色についてお話していただきました。お話をうかがいながら、実践が豊富で小中一環教育を積み重ねてこられたことが伝わってきました。

 特に学力の育成と生活力の育成を図る「日野カリキュラム」は、長年の実践に改良を重ねながら完成度が高い取組へと創り上げられていました。教育を創るとはこういうことなんだと感心させられました。

 また、品川区全体で、道徳、特別活動、総合的な学習の時間を組み合わせた「市民科」を開設されていて、日野学園では「交流活動」「地域企業から学ぶ」「SDGs」の3つの柱で取り組まれていることも興味深く聞かせていただきました。

 「地域企業に学ぶ」では、地域の特色として起業される方々が多いということもあり、起業家の方々をお呼びして20以上のブースを用意し、企業説明会形式でキャリア教育を進めているなど、地域の特色を生かした連携のあり方についても学ばせていただきました。

 概要及び実践についてお話をうかがったあと、副校長先生に校内を案内していただきました。まず、エレベーターで6階まで上がり、8年生、9年生のフロアに出ました。廊下が広く、太陽の光を上手に採り入れ、開放感があります。廊下で集会ができるほどです。6階は中学生の雰囲気を感じるフロアでした。 

 階段で5階まで降りると、5年生~7年生のフロアです。この階は、小学校と中学校が同居している感じで、9年間の連続した学びの特色を色濃く感じるフロアです。鹿北小・中学校で言うとⅡ期の児童・生徒が集まるフロアで、3つの学年による縦割り活動を毎月1回行っており、授業も50分授業で統一しているとのことです。この階のリーダーは7年生(中学1年生)です。リーダーシップを発揮しやすい学校の構造になっていると思いました。 

 階段をさらに降りていき、4階は小学校3・4年生、3階は小学校1・2年生のフロアです。ここは小学校らしさを感じるフロアです。

 6階から3階まで降りてくることで、9年間の子どもたちの成長過程を目の当たりにして、発達段階に応じた学びが、それぞれのフロアで行われていることがわかりました。

 さらに、エレベーターで地下2階に案内していただきました。エレベーターから出ると、そこには広々とした武道場があり、さらにその奥には、バスケットコートが3面とれる巨大な体育館がありました。体育館の天井の上は、グラウンドです。つまりグラウンドの下に巨大な体育館があります。

 副校長先生のお話によると、品川区は教育に予算をかけている区とのことです。

 職員室にも案内していただき、1年から4年までの先生方、5年から7年までの先生方、8年・9年の先生方と3つのグループごとに机が配置されていて、副校長先生も、小学1年から4年を担当する副校長、5年から7年までを担当する副校長、8年・9年を担当する副校長と3名の副校長先生がおられます。

 学校の構造、学校組織、地域性を上手に融合させながら、9年間の連続した学びを創り、実践されておられ大きな刺激を受けました。

 帰り際、タワーマンションや近代的なビルに囲まれたグラウンドで元気よく遊んでいる小学生の姿を見ることができました。東京でも、熊本でも子どもたちの笑顔に接すると元気をもらえるとあらためて感じました。

 たくさんの資料をいただいたので、熊本へ帰る新幹線の中でゆっくり読ませていただこうと思います。

 本日は、ご多用の中、校長先生には丁寧な説明をしていただき、また、副校長先生には校内をわかりやすく案内していただき,心より感謝申し上げます

今日学んだことを熊本に持ち帰り、本校の教育に生かしてまいります。

【視察研修】千代田区立麹町中学校視察研修

 2月18日(水)、千代田区立麹町中学校を視察訪問し、これからの教育のあり方について学ばせていただきました。今日の視察には、全国の学校の先生方、議員の方々、教育委員会の方々、報道関係の方々など様々な人が多数参加されていました。

 午後1時より、授業を自由に参観することができ、全学年、様々な授業を参観しました。1年生の数学の授業は、4階のカフェテリアで行われていて、生徒は全員「Qubena」を使って自分で学習に取り組んでいました。


    Qubenaとは、人工知能が生徒一人一人の得意・不得意を分析し、解くべき問題へと誘導してくれるAI型タブレット教材です。

 授業を参観していると、男子生徒が近づいてきて、Qubenaを使っての学習や単元テスト、家庭学習について丁寧に説明してくれました。そのプレゼン力があまりに見事で驚かされました。

 生徒は、けっして行儀がよいというわけではありませんが、思い思いに自分のペースで学習に取り組んでいます。

 午後2時より、講堂のようなところで、校長先生が約1時間45分、「学校教育の本質から問い直すーそもそも目的って何?―」とのタイトルで麹町中学校の教育実践について説明してくださいました。

 様々な実践を通して、「世の中は素敵、大人も素敵」と思える子が育つ教育に取り組んでいること、さらに、手段が目的となっている教育の矛盾に切り込み、次々と改革を進めている麹町中学校の姿が浮かび上がってきました。

    例えば、「日本では、宿題を出すことが目的化されている。」と校長先生は問題提起されています。麹町中では、「わからないところだけをやっておいで。わからないところがいっぱいあったら一つでもいいんだよ。だけど、その一つをやるのが大変なんだ。だって自分ではわからないから。だったらどうしたらいい?」などの問いかけから、自ら調べたり積極的に質問することができる生徒を育てています。宿題とは何のためにあるのかを生徒も、先生も徹底して追求していく、そんな取組が日々行われています。

    また、生徒と先生が「自律や尊重を妨げているものは何か?」について話し合う時間を作っています。その話し合いを通して、生徒が自律を妨げているものとして取り上げたものがありました。それは何かというと「避難訓練」です。地震は予告なしにやってきます。しかし、避難訓練は予告されてから実施されます。だから本当の意味での訓練になっていないという生徒の意見。そして、ぜひ、予告なしの避難訓練をしてくださいとの提案があったそうです。

 また、もう一つ出てきた意見として「授業」があります。「ずっと受け身の授業では苦痛です。自分たちでできることは自分たちでやらせてください。」との提案もあったとのことです。

 確かに、カフェテリアで行われた1年数学の授業では、いろいろなところで「生徒自身による学び」が見られました。

 他にも、担任制を廃止したり、定期テストをやめて単元テストや実力テストを実施するなどの改革に取り組んでいます。目的化している手段を次々と転換しながら、子どもたちを学校創りの「当事者」に育てていき、生徒一人一人が「自分の学校」と言える学校を自ら創っていく。そんなエネルギーが感じられました。

    質疑応答の中では、なるほどと思う言葉が次々と出てきました。

 何も起こさせないのではなく、子どもは何かを起こしたり、対立するというのが大前提。子どもたちが起こしたことや対立することを学びに変えていくのが学校であり教育。そのために、子どもが学びたくなるような「しかけ」を考えています。

 発達障害の子を排除するのではなく、その子がなぜそういう行動をとるのかを理解し、支援できる子を育てていく。そして、みんなが教室で学べる環境を整えていく。なぜなら、未来の社会の姿が学校だからです。

 トライアンドエラーが認められる学校でなければ、チャレンジする生徒も先生も出てきません。

 あるとき生徒会のリーダーが、「先生、何度言っても協力してくれないです。」と言ってきました。そんなとき、先生たちは、フォロワーである協力してくれない生徒に、「どうして協力しないんだ」と指導します。フォロワーへ指導する場面はよく見かけます。しかし、リーダーへの指導はあまり行われていません。人は簡単には動かないし、なかなか言葉が通じない、このことは元々当たり前のことです。この動かない生徒たちの心を動かすにはどうしたらよいのか、人を動かす言葉をどれだけ持っているのか、このことをリーダーに考えさえる機会が大切なのです。そこにリーダー育成のチャンスがあるはずです。

 そして、何度も言われたのが、「誰もが納得する最上位の目標を徹底した話し合いの中から決めていく。」、この目標を達成することからすべての教育活動を考えていけば、実践の優先順位は見えてきます。見えてきた最上位の実践は、決して靴下は白といった校則を守らせることにエネルギーを使うことではないはず。

 「みんな仲良くしよう」、大人もなかなかできないことを子どもに求めていませんか。子どものことを本気で考えた時、本当の言葉が出てくるものです。その言葉は、子どもだけでなく教師自身も変えていきます。だから、教育はすばらしいのです。

 質疑の時間は延々と続き、午後6時30分を過ぎても続いています。校長先生が、「もうそろそろ終わりましょうか。」と言われなければ、まだ続いていたことと思います。それほど、教育のあり方で試行錯誤されている方々が全国におられて、課題解決のヒントを持ち帰ろうとしているのだと、会場の雰囲気から感じました。

 今日の視察研修では、たくさんの刺激とこれからの教育について考えるきっかけをいただきました。

 麹町中学校の生徒のみなさん、校長先生をはじめ諸先生方、有意義な時間を創っていただき、ありがとうございました。