湯浦中ブログ

【重陽の節句】040909

 今日は季節の節目となる五節句の一つ、重陽(ちょうよう)の節句(菊の節句)です。古代中国では奇数を陽、偶数を陰と考えたので、縁起の良い奇数の中で最も大きい数字が重なる9月9日は重陽ということになります。菊酒を飲んだり、栗ご飯を食べたりして無病息災や長寿を願ったそうです。

 重陽の節句と聞くと、「雨月物語(上田秋成)」の中の「菊花の約(ちぎり)」という話を思い出します。

 出雲へ密使として旅の途中、病に倒れた宗右衛門は、左門に助けられました。それを縁に意気投合、義兄弟となった2人でしたが、宗右衛門はどうしても果たさなければならない役目がありました。「重陽の節句に戻ってくる。」と約束をして旅立った宗右衛門でしたが、役目を終え、出雲を去ろうとしたときに捉えられてしまいます。約束の日が近づきますが、牢から出してもらえるような様子はありません。

 ついにその日、準備をして待つ義弟の左門でしたが、夕方になっても義兄、宗右衛門の姿は見えません。左門の母は、家に入りまた明日待てばよいと促しますが、左門は「兄上は信義ある武士だから、決して約束を破ることはない。」と待っています。

 時間がたち、日も落ちあきらめて家に入ろうとしたときに、風に吹かれる陽炎のようにやってくる人影が…。

「雨月物語」には怪異小説9編が収められています。秋の夜長にどうでしょう。