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あるレジ打ちの女性の話 2

『涙の数だけ大きくなれる』木下晴弘著書、フォレスト出版

に収められているお話のつづきです。

すでにお読みになった方もいらっしゃるかも知れませんが、

よろしくお願いします。

涙の数だけ大きくなれる! 明日を生きる「自分へのメッセージ」

 

彼女は辞表を書きました。

そして今度こそ田舎に帰ろうか、と悩みます。

そんな時、お母さんから電話があり、田舎に帰ろうと決めて、荷物を片付け始めます。

(つづき 以下引用です)

*****

あれこれ段ボールに詰めていると、机の引き出しの奥から手帳が出てきました。

小さい頃に書き綴った自分の大切な日記でした。

なくなって探していたものでした。

そして日記をパラパラとめくっているうち、

彼女は『私はピアニストになりたい』と書かれているページを発見しました。

そう、彼女の小学校時代の夢です。

『そうだ。あの頃私は、ピアニストになりたくて練習を頑張っていたっけ』と、

彼女はあの時を思い出しました。

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彼女は心から夢を追いかけていた自分を思い出し、

日記を見つめたまま、本当に情けなくなりました。

『あんなに希望に燃えていた自分が今はどうだろうか。

なんて情けないんだろう。

そして、また今の仕事から逃げようとしている…』

彼女は静かに日記を閉じ、泣きながらお母さんに電話したのです。

『お母さん、私、もう少しここでがんばるね』

彼女は用意していた辞表を破り、

翌日もあの単調なレジ打ちの仕事をするために、スーパーへ出勤していきました。

 

ところが『2、3日でもいいから』と頑張っていた彼女に、

ふとある考えが浮かびます。

『私は昔、ピアノの練習中に何度も何度も弾き間違えたけど、

繰り返しているうち、どのキーがどこにあるのか指が覚えていた。

そうなったら鍵盤を見ずに、楽譜を見るだけで弾けるようになった』

彼女は昔を思い出し、心に決めたのです。

『そうだ、私は私流にレジ打ちを極めてみよう』と。

*****

(つづく)