「小さいことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」
1秒で「気がきく人」がうまくいく
という本がここにあります。
著者は松澤萬紀さんというマナー講師の方です。
以前、CAさんの採用試験に8回目の挑戦で合格し、
ANAで12年間CAさんをされたという経歴の持ち主です。
CAさんを経験された方らしい、いろいろなエピソードが掲載されています。
今日はその中から少しご紹介します。
「業界で、ダントツの成果を上げている方々に共通していたのは」と聞くと、
どんな共通点だと思われますか。
松澤さんは、
「ほんの『1秒』という短い時間の中で判断をくだし、
非常に『気がきく習慣』を、いつも実行されているということ」
だとおっしゃっています。
「99%の人がやっていないこと」でも「やろうと思えば誰でも実行できる」、
「たった『1秒』意識することではじめられる習慣」だそうです。
どんなことかその一例を引用してみましょう。
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先日、ファーストクラスを担当している友人のCA数人に、
「どんなお客様に魅力を感じるか?」と尋ねたことがあります。
彼女たちは、そろって「同じ答え」を口にしました。
何と答えたと思いますか?
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?なんでしょう。
芸能人とか、チップをくれる人(航空機内ではそんなことはないでしょうか)?
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正解は、「きちんと、挨拶をしてくださるお客様」です。
たとえば、日本を代表する俳優であった高倉健さん。
CAが「ご搭乗ありがとうございます」と挨拶をしたところ、
高倉健さんは、わざわざ席を立って、
「こちらこそ、ありがとうございます」と丁寧に挨拶を返してくださったそうです。
たった「1秒」の挨拶のために、
席を立ってくださった高倉健さんの誠実さに、
友人のCAは、大きな感動を覚えたといいます。
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高倉さんが丁寧な挨拶をされる方だったということは、
以前「高倉健さんの最敬礼」という記事で、このブログでもご紹介しました。
また、
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私が、テレビ「はなまるマーケット」(TBS)に、生出演させていただいたとき、
とても印象に残る挨拶をしてくださった出演者がいます。
薬丸裕英さんと、いとうあさこさんです。
私がスタジオに入ったのは、出演の数分前でした。
コマーシャルの間に「松澤さん、入ってください」と声をかけられ、
私はそこではじめて、出演者の方々と対面しました。
コマーシャルが終わるまで30秒ほどしかありませんでしたが、
出演者のみなさんに「松澤と申します。よろしくお願いいたします」と挨拶をしました。
みなさん、笑顔で「よろしくお願いします」と返してくださったのですが、
時間が差し迫っているため、「台本で進行を確認しながら」挨拶を返す方もいらっしゃいました。
生放送ですから、無理もありません。
ところが、薬丸裕英さんと、いとうあさこさんは、心に残る素敵な挨拶を返してくださいました。
お2人の挨拶は、きちんと私に体を向け、私の目を見て、
「こちらこそ、よろしくお願いします」と、
とても丁寧に頭を下げてくださったのです。
私を受け入れてくださっていることが伝わり、気持ちを落ち着かせて出演することができました。
秒単位で進行するテレビの生放送にあって、貴重な「1秒」を私に捧げてくださったことがとても嬉しく、
私はすっかり2人のファンになりました。
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こういった話を読むと、
「こちらこそよろしくお願いします」という、
何の変哲もない日常の言葉が、
とても美しい言葉に思えます。
たった1秒ほどの挨拶のお返しですが、いいですね。
松澤さんによると、
ANAでは「小さいことほど丁寧に、当たり前のことほど真剣に」
という言葉を、先輩たちからよく教えてもらったそうです。
「たった1秒」の挨拶こそ、この言葉が当てはまるのだと思いました。
関心がある人は……
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