君が偉大で特別な理由
私は、映画やドラマで、「法廷もの」と言われるものをよく見ます。
以前見たことのある法廷ものの映画で、「リーガル・マインド」という洋画がありました。
その中で、主人公の女性弁護士に、先輩の老弁護士がこう言う場面があります。
「君は偉大な人間で特別な存在だ。
だがそれは君が考える理由、つまり、君が偉大な弁護士で勝訴を量産するからではない」
主人公は聞き返します。
「私の何が偉大なの?」
すると老弁護士は
「自分で気づかなきゃダメだ」
とだけ答えるのです。
この場面を思い出したのは、
今朝のテレビで元マラソン選手の高橋尚子さんが、桂文珍さんと対談されているのを見たからです。
高橋尚子さんといえば、シドニー五輪の金メダリストで、ご存知の方も多いと思います。
今朝のテレビでも、選手時代の練習について話されていましたが、
毎日42.195キロを走り、その後「遊び」で10キロを走っていたとか、
土曜日は朝50キロを走って、午後に30キロ走っていたとか、
毎日腹筋は1000回とか、
すごい練習量について笑って話しておられました。
「腹筋1000回」に驚く文珍さんに、
「朝、顔を洗って、歯を磨いても、だれもすごいって言いませんよね。
顔を洗って、歯を磨いて、腹筋1000回。
毎朝の習慣になれば、すごいことではないんですよ」
とおっしゃっていて、文珍さんはさらに絶句されていました。
実は高橋さんは4年前、私の前任校に来校されたことがあり、直接お目にかかりました。
その時の詳細については、他の機会に譲りますが、
私の印象に残っているのは、その笑顔と謙虚さでした。
当時、えなりくんと某大型電機店のcmに出演しておられましたので、
私は「この町にも◯◯電機がありますよ」などと失礼なことを言った覚えがあります。
高橋さんは笑っておられました。
学校の玄関を出られる時には、膝をついて、全員分のスリッパを片付けたりされました。
世界でも一流のスポーツ選手の方も、その競技人生で何を得たかによって
引退後の歩みが違うんだろうなと思ったことでした。
高橋さんは、自身の栄光をひけらかすことも全くなく、
生徒や集まった地域の方を元気づけてくださいました。
話は飛躍するかもしれませんが、
部活動も引退した後、ユニフォームを脱いだ後の生活が大切ではないかと思います。
さて、冒頭の映画の話ですが、ラストに近い場面で、
老弁護士が主人公にもう一度尋ねます。
「気づいたか?君が偉大で特別な理由」
すると主人公はこう答えます。
「まだ考え中よ。
…ひょっとしたら諦めないことかも」