「帳面消し」…方言の楽しみ
以前、県外に研修に行った時のことです。
「熊本から来たでごわす」と言っても、誰も笑ってくれませんでした。
九州以外の人からすれば、熊本弁も鹿児島弁もいっしょなのでしょう。
また、方言の自慢大会で好評だったのは、
「とっとっと」(取っているの)と
「すーすーす」(なんか冷気が入ってきて、若干肌寒い感じがするようだ)
でした。
これは、福岡の人も使っているようです。
ちょっと共通語に訳すのは難しいですね。
他県の人に感心されたのは「あとぜき」でした。
閉めることを「せく」という方言(関や堰が語源に関係しているのでしょうか)からきているのでしょうが、
「とてもマナーのやさを感じる、便利な言葉ですね」
と言ってもらいました。
また、ある広島の中学校を見学にお邪魔したら、ちょうど掃除の時間でした。
本校も黙働掃除に取り組んでいるので、
その中学校の生徒たちの熱心な掃除の取組を興味深く拝見しました。
その時案内していただいた校長先生が、
「いやー、懐かしいですな!」
とおっしゃって、
「何のことですか」とお尋ねしたら、
「いや、失礼。先生が先ほど、生徒たちの掃除の様子をご覧になって、
『隅々まで、はわいてますね』と言われたので、
学生時代、九州に住んでいた頃を思い出しました」
と笑っておっしゃいました。
なるほど、共通語では「はわく」とは言わず、
「掃く・はく」と言うのですね。
熊本地震の時も、報道番組などで、
「がまだす」(精を出す)
「でき(け)たしこ」(できることだけでいい)
などの熊本弁がポジティブな意味合いで紹介されていました。
そんな中で、今日のニュースで、意外な発見をしました。
「帳面消し」(表面的に一応やったように見せること)
が熊本だけの言葉らしいのです。
私は今までそう考えたこともありませんで、共通語だと思っていました。
記事によると、熊日では新聞の見出しにも使われるほど、県民に定着している言葉のようです。
改めて、方言には、方言でしか言い表せない、独特のニュアンスがあるものだと思いました。