「アンコンシャス・バイアス」について
外科医と息子
父親と息子が自動車事故に遭ってしまいました。
父親はその場で亡くなってしまい、
重傷を負った息子は救急車で病院に運び込まれました。
息子が手術室に運ばれ、
その病院で一番の腕利きの外科医が呼ばれました。
ところが、その外科医はその少年を見て言いました。
「息子!この少年は私の息子です」
この話をお読みになったことがある方も多いかと思います。
人権教育の研修などでもよく紹介されています。
私は初めてこの話を聞いたとき、違和感を感じました。
話がすんなり頭に入ってこなかったのです。
「この外科医は少年の母親だったのです」
という最後の一文を聞いて、なぁんだ、そうかと思いました。
知らないうちに「腕利きの外科医」と聞くと、男性をイメージしていたのに気づきました。
こういった知らず知らずの思い込みのことを
「アンコンシャス・バイアス」というのだそうです。
今朝、このような記事を見ました。(朝日新聞)
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「単身赴任=男」「お茶出し=女」 無意識の偏見
労働組合の中央組織・連合が、職場や日常生活での「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」について組合員など約5万人に尋ねたところ、何らかの形で「思いあたる」人が95%に上った。
性別や働き方などに対する思い込みの根強さが浮き彫りになった。
6~11月にネットで調査した。
「介護しながら働くのは難しいと思う」など20項目から、思い当たるものを幾つでも選んでもらった。
ジェンダー関連で最も多くの人が選んだのは、「『親が単身赴任中』というと父親を想像する」で66・3%。
「体力的にハードな仕事を女性に頼むのはかわいそうだと思う」は51・5%、
「お茶出し、受付対応、事務職、保育士というと女性を思い浮かべる」は39・2%だった。
「子どもが病気になったときは母親が休んだ方が良いと思う」は21・1%が選んだ。
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調査の概要はこちらで読めます→5万人を超える回答 アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)診断:時事ドットコム
私自身も思い当たるところがありました。
些細な言動でも、無意識にバイアスがかかってしまっていることも多いと思ったことです。
先日も、ある生徒に「理科はがっばってるね」などとうっかり声をかけてしまい、
言った後で、理科「は」というのはよくなかったなと思って、言い直したことがありました。
先述の記事は、調査した担当者の方の次のコメントで締めくくられていました。
「これらの項目がアンコンシャス・バイアスだと気づくことで、決めつけや押しつけをせずに、多様性が尊重される社会や職場づくりにつなげていきたい」
まず「気づく」ことが大切だなと思いました。
本校の日常生活でも気をつけていきたいと思います。
(ドクターX ~外科医・大門未知子~ から)