校長ブログ「秘密の部屋」

【布団のおぶか】020113

 冬場に実家に帰ると、母から重い布団を着せられる。「寒はなかけんいらん。」、「おぶか、動かれん。」と言っても容赦ない。親の『煩悩』のなせる業なので、まずは素直に聞く。

 ご飯(米)の量も多い。「そぎゃんな食わん。」と言っても容赦ない。これも『煩悩』のなせる業なので、まずは素直に聞く。

 大雨や台風の時は「逃げんでよかっか。」電話がかかってくる。「俺はもう54歳ばい、あんたどんが逃げんば。」と言っても容赦ない。これまた『煩悩』のなせる業。親にとって子はいつまでも子ども。毎回、同じ会話の繰り返し。

 とは言うものの、私も成人した息子が高熱を出したりすると、ちょっと熊本市まで見舞いに行ってしまう。妻からは「もう子どもじゃなかっやっで。」と言われるが仕方ない。「親馬鹿やっでしょんなか。」、「生きとるけんでくっとやっで、でくっことはせんば。」と返している。これも『煩悩』のなせる業。

 中学生の時、修学旅行で松下村塾に行った。そこには『知行合一』の掛け軸があった。吉田松陰が処刑される(安政の大獄)前に詠んだ辞世の句を知り心に沁みた。

「親思う心にまさる親心 けふのおとずれ何ときくらん」

 子が親を思う心よりも、親が子を思いやる気持ち(親心)のほうがはるかに強い、その息子が処刑されることを聞いて、親はどう思うだろう。

 布団の重さは親の思いの重さ。分かっとるけどもう54歳(H)