走れメロス(2年国語)
現在、2年生の国語では「走れメロス」の学習をしています。ご承知のとおり「走れメロス」とは、「処刑されるのを承知の上で友情を守ったメロスが、人の心を信じられない王に信頼することの尊さを悟らせる」というストーリーの 太宰 治 作の短編小説です。全教科書会社の国語教科書に採用されている名作なので、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?
私(校長)が見たのは、本日(20日)の2校時の2年3組の授業で、ちょうど王様が「どうか、わしも仲間に入れてくれまいか」と言ったクライマックスの場面でした。生徒たちはその時の王様の心情を思い浮かべ、意見を交換していましたが、なかなかいい意見が出ているように思いました。
ただし、ひねくれものだった私の中学生当時を思い出すと、「こんなにも心の腐った王が、そんな簡単に改心するものか」と思った記憶があります。それに、「自分はメロスのようにはなれない」とも感じていたように思います。そうは心の中で思っていても、実際に授業で発言はしませんでした。私のような生徒は「悪い生徒」と否定されるべきでしょうか? 「友情」や「信頼」が美しく尊いのは当たり前です。しかし、物事を「白」と「黒」に収斂するような学びはからは、多様性を認める感性は育たないようにも思います。
「走れメロス」という作品が、生徒たちに衝撃を与える作品であることは間違いないようです。そうでなければ、50年以上も使われる定番教材になるはずはありません。その衝撃が生徒たちの脳内を活性化し、「人間はどう生きるべきか」という生涯にわたって問い続ける命題に対する、現時点での自分の考えにつながってくれればいいなと思います。あとは生徒一人一人の「自立」と「自律」、そこに期待したいと思います。
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