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2021年2月の記事一覧

名著「失敗の本質」拾い読み

 

昨日ふれた、名著「失敗の本質」に関して、もう少し述べたいと思います。

 

「失敗の本質」は日中戦争、太平洋戦争における日本軍の「失敗」について分析している本ですが、

その「本質」を見てみると、現代でも参考になる点があるように思います。

 

ネット記事の「なぜ、今『失敗の本質』なのか? これから読むための7つのヒント

は、4年前に書かれていますが、「現代日本に共通する5つの弱点」について、

次のように解説してあります。

 

(1)あいまいな目的、さらに失敗を方向転換できず破綻する組織


(2)上から下へと「一方通行」の権威主義

 

(3)リスク管理ができず、人災として被害を拡大させる


(4)現実を直視せず、正しい情報が組織全体に伝達されず悲劇を拡大する


(5)問題の枠組みを新しい視点から理解できない

 

一庶民の私が思い当たることもいくつかありますが、少し挙げてみます。

 

(1)について

感染拡大防止とGO TO、2つの相反する目的をいっしょに達成させようとしたのでしょい。

また、GO TO の中止や緊急事態宣言について、もう少し早い判断はできなかったのでしょうか。

 

(2)について

今言っても仕方ありませんが、1年前のことを思い出すと、

前首相の一声での全国一斉臨時休校、効果とリスクについて情報や意見は検討されたのでしょうか。

また、最近、ある大きな会の長が「会議は長くならないように(女性は)わきまえろ」

という考えであることも分かりました。

「わきまえ」というと大人の対応ですが、

言いたいことはつまり、自分に忖度しない者は使えない、と思っているということでしょうか。

 

(3)や(4)について

正しく迅速な状況把握と情報収集からの、リスクの予測と管理が必要ではないかと思います。

コロナ禍の中では難しいことも多いと思いますが、

医療現場を一度でも訪れて現状を目の当たりにした政治家が、

何人ぐらいいらっしゃるのでしょう。

「仮定の質問には答えを差し控える」と言ってはいけない気がします。

また、本書では「兵站の軽視、楽観」も指摘されています。

それとは少し違うかもしれませんが、

薬液が残ってしまう、もったいない注射器を大量に準備していたニュースなど、

ワクチンの準備等は大変なお仕事でしょうが、「今分かったのかな」と少し残念な気がします。

 

(5)については、私たち学校でも大切なことで、学校生活や教育課程など、さまざまな見直しが迫られています。

「目的の達成につながらない目の前の勝利」という言葉も出てきます。

全体のゴールや戦略が重要だということのようです。

 

学校でも、政治や経済などのせいばかりにせず、

できるだけ先を見通しながら、対応していかねばと考えています。

 

 こちらの解説も読みやすいと思います。

「超」入門失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

 

「調整型のリーダー」に「?」

「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は、女性を蔑視する発言をした責任を取り、会長を辞任する意向を周囲に伝えた」

と報道がありました。

森喜朗会長が辞意 12日表明へ 女性蔑視発言で引責

 

すでにいろいろな人が、いわゆる「女性を蔑視する発言」や「逆ギレ会見」について

発言しておられますので、

今さら私が言うことはありません。

 

しかし、「責任を取って辞職する人が、後任を指名する」という、ちょっと理解できないことがあり、

パソコンを開きました。

2つの疑問を感じました。

 

まず、今朝の朝日新聞に掲載されていた記事です。

あるJOC関係者が、大企業トップや女性が候補としてあがったという後任選びについて、

「五輪に否定的な声がある中、開催にせよ、中止にせよ、大きな決断が迫られる。

今後がある人はそういう大きな決断に責任を持つのは難しいだろう」

こういう意見が交錯する中での、日本を代表する組織のリーダー選び。

このような感覚でいいのでしょうか。

私は、「では、大きな決断は『今後がない(先が短い?)』人に任せるのか?」

とはなはだ疑問に感じます。

難しい局面に直面しているからこそ、

明晰な情報分析ができ、今後の展望を持てる、

決断力のあるリーダーが必要ではないでしょうか。

 

次に、今朝のテレビ朝日のニュース番組で、

後任候補の川淵三郎さんが取材に答えていた内容の一部です。

大意ですが

「断ろうと思って(森さんのところに)行ったんだが、

もうすでに外堀は埋められてしまっていた」

という意味のことをおっしゃっていました。

この場合の「外堀が埋められる」とは、

周囲や関係者への「根回し」が済んでいるということでしょう。

そして、

「周りはみんなあなたの就任に賛成。

あとはあなたが『はい』と引き受けるだけだ。

あなたが『はい』と言わなければ、みんなが迷惑するし、私のメンツがつぶれる。

さあ、どうしますか」

ということではないでしょうか(実際に森さんがこう言ったというわけではありませんが)。

 

これが日本の「調整型リーダー」というものではないかと思います。

米国のマスコミ報道でも

「日本では政治家が水面下で動き、

観測気球を上げて様子を見ながらことを進めるのは常」

と言っているそうです。

 

この進め方では、判断までの経緯や理由、そしてその責任が曖昧になります。

名著「失敗の本質」(野中郁次郎 他)

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

「空気の研究」

「空気」の研究 

などでも述べられていることではないでしょうか。

私は「調整型リーダー」をすべて否定するわけではありませんが、

もう違う形の真のリーダーが必要だと思います。

 

森さんの業績などを評価し、擁護する声も多くあるようですが、

私が今回の件で感じたことについて、書いてみました。

皆さんはどうお考えですか。

(写真は毎日新聞から)

緑に萌える権現の

今朝の朝日新聞に、次のような記事がありました。

 

「豪州国歌、young→oneに 先住民へ敬意込めた歌詞に変更」

シドニーで1月に行われたクリケットの国際試合の前に、

ミュージカル俳優のステファニー・ジョーンズさん(27)がその歌詞の変わった国歌を歌ったそうです。

 

*****記事から引用

(変えられた歌詞は)

「We are one and free」(私たちは一つで自由だ)。

歌詞の1番の2行目で、

昨年末までは「We are young and free」(私たちは若くて自由だ)だったところだ。

*****

 

なぜこのような変更が行われたのか、記事ではこう続きます。

 

*****
英国王を元首とする豪州は1901年の豪連邦成立以来、

英国の国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」を国歌としてきたが、

1984年にいまの国歌「アドバンス・オーストラリア・フェア」に変えた。

ただその歌詞は、1788年の英国の入植開始以降の歴史を反映した内容で、

6万5千年以上前から住む先住民の多くの人々にとって、特に「若い国」という表現は受け入れがたいものだった。

歌詞を変えよう、という運動は2006年に有名歌手らが始めた。

*****

 

つい40年ほど前まで、オーストラリアの国歌がイギリス国歌だった、ということも初めて知った次第ですが、

変更になった当日、今年1月1日の同紙の記事には、こうあります。

 

*****

モリソン首相は

「豪州は近代国家として比較的若い一方で、先住民たちの多くの物語は古代からある。

国歌がこの真実を反映することが正しい」とした。

どうして今、変更するのかについては、

未曽有の森林火災と新型コロナウイルスに見舞われた昨年に国民が一致協力して対応したとして、

「この偉大な団結が国歌でも、よりしっかりと確実に反映される時だ」と説明した。

*****

 

国歌は国の象徴のようなものでしょうから、オーストラリアのこの決断はうなずけるところです。

 

さて、本ホームページのサブタイトルは

「東天高く 藍より青く」

は、本校校歌の一節を取ってあります。

 

一番の「東天高く 六郎次」と

三番の「藍より青い苓南の」です。

この一節をはじめ、本校校歌は、久玉中と深海中が統合して本校が誕生した時の、

高い理想を表した素晴らしい歌詞だと思います。

 

その一番は

「緑に萌える権現の」

と続きます。

 久玉で愛されてきた歴史のある、権現山が登場します。

(権現山が古来どのように親しまれてきた歴史があるのかは、

先日、心の相談室の榎田先生の旦那さまが来校された時に、詳しく教えていただきました)

 

特に、本校の先輩方有志の「権平会」の皆さんが

桜を植えるなど、美しく保ってこられてきたと聞きます。

(由美かおるさんの記念植樹もあるようです 「天草探見」から)

 

先週、その権現山に本校2年生が立志登山し、

ボランティア活動で清掃させていただきました。

 

牛深東の地元の皆さんや先輩方の志を継ぐという意義も込めて、

短い時間ではあるましたが、汗を流してきれいにました。

 

この様子は、熊日新聞にささやかながら紹介していただきました。

ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

山口くんの頼もしい立志の決意も掲載されていました。

ちなみに写真はNIE(教育に新聞を)担当でもある、

丸山先生の撮影したものです。

 

先週土曜日に掲載されたこの記事のおかげで、

たまたま、今週はたくさんのお客様が

校長室に見えているのですが、

皆さんから口々に、生徒たちを褒めていただいています。

 

昨年度から始めたこの立志登山も、

本校の新しい伝統として受け継いでいってほしいと願っています。

★2年生 立志登山 ~権現山へ登る~(2021/2/4)

2年生の権現山への立志登山が、熊本日日新聞で紹介されました(2021/2/6)

 

マック思考とスタバ思考

日本マクドナルドが9年ぶりに最高益を更新したそうです。

企業として、コロナ禍の中の需要に対応したということでしょう。

昨日のこの欄では、なぜかカフェ(喫茶店)についてに話が長くなりました。

今日はそこからの、マック(マクドナルド)とスタバ(スターバックス)に関する話に進みたいと思います。

 

以下、 仕事が早く終わる「スタバ思考」と、終わらない「マック思考」 吉田幸弘 

 を参考、引用させていただきます。

 

吉田さんは、

マックは「ムリ・ムラ・ムダ」を削るために業務の仕組みの改善に取り組み、

「細かな作業までマニュアルでしっかりと定め、いかにスピーディにムダのない動きで対応するかを重視」していると言います。

たしかCMで流されていた「スマイル=0円」のスマイルでさえ、マニュアルどおりが求められるのですね。

 

*****

マクドナルドは回転率を重視しているので、ある意味、仕方ないのですが、

当然マニュアルにない商品はつくりません。

フライドポテトに塩味たっぷりでとか、

特別料金を出すからダブルフィッシュバーガーをつくってくださいなんてことはできません。

マニュアルに書かれていないことはやってはいけない。

そう徹底することで、スムーズに業務を進めることができるのです。

*****

 

 

しかし、スタバの流儀はこれと対照的だと言います。

 

*****

スターバックスでは、マニュアルは定められているものの、

スタッフ一人ひとりが自分で考えて動くことを認められています。

メニューにないコーラやスプライトを出してもらうことはさすがにできませんが、

ティーラテのミルクの量を調節してくれたり、コーヒーに蜂蜜を入れてくれたりと、特別な注文にも応えてくれます。

紙コップに「Have a good day!」などとメッセージを書いてくれることもあります。

(中略)

お客様一人ひとりと向き合ってくれる分、効率が悪いように思うかもしれませんが、

その姿勢だからこそ、多くの人に愛され、人気を保ち続けているといえるでしょう。

*****

 

 

たしかに「スタバでやってくれるおいしい追加サービス」といった特集を見たことがあります。

よく覚えてはいませんが、私もその記事を読んで、

「バニラとシナモンパウダー追加」か何かを頼んだことがあります。

 

記事ではここから

マクドナルド流の接客に見られる「マック思考」、

スターバックス流の接客に見られる「スタバ思考」に言及します。

 

*****

「マック思考」はマニュアルを厳守し、ムダをいっさいつくらないというものです。

仕事時間を減らすには一見、効果的なように見えますが、

考えることをしなくていいので、「もっと他にいいやり方があるのかもしれない」と思っても、

「マニュアルにはこう書いてあるから」と、採り入れることはしません。

いわゆる、ただ「仕事をこなす」状態です。

言い換えると、常にマニュアルありきで、状況に応じて対応を変えることができない分、

マニュアルにない仕事は手間も時間もかかってしまうということです。

そのため、結果として仕事時間が増えていってしまいます。

*****

 

私の立場で言うと、

熊本地震やコロナ禍で、従来の規定のマニュアルや予定、計画が

通用しなくなってしまった時、

このマック思考だけでは立ち往生してしまうように思います。

 

では、一方の「スタバ思考」はどうでしょう。

 

*****

一方、「スタバ思考」は1件ずつ、仕事の内容や相手に合わせて

満足をしてもらえる方法を考え、ていねいに仕事をするというものです。

「1件1件考えて仕事をすると、時間もかかって大変ではないか」

と思う人もいるかもしれませんが、それはむしろ逆です。

「この相手にはこういう対応をしたら満足していただけるかな」

「この仕事は、こういうふうに取り組んだらスムーズに回せそうかな」などと考えることで、

その仕事、相手に適した対応をすることができ、

クオリティが高くなるうえに、ミスも起きにくくなるため、

実は仕事時間が増えることはありません。

 *****

 

端的に言うと、「お客様の満足のため」という筋の通った「臨機応変」ということでしょうか。

皆さんはこの2つの思考の流儀について、どう思われますか。

私は「スタバ思考」に一票です。

 

 

「マック思考」は、事前の計画からスタートするPDCAサイクルに近く、

「スタバ思考」は現状の見極めや気づきからスタートする「OODA思考」に近いと思います。

 

「OODA思考」は、もともと戦争の戦術から生まれたものですが、

私に言わせていただけば、

「気づき・考え・実行する」に通じるものです。

 

先日から話題にしてきた

「コンコルド効果」も、

「情報化社会での自己学習能力」も、

「スタバ思考」も、

私の狭い了見の中では、どこかでつながってくるのでした。

 

本校では毎日、OODAの訓練をして、

生徒たちの「気づき・考え・実行する」力を育んでいます。

写真は本校の誇る黙働掃除の様子です。

(Googleで「黙働掃除」で検索すると、全国の他校に混じって、この写真が20番目に出てきました)

本校生がスタバでのアルバイトするなら、即戦力になることでしょうね。

宮藤官九郎さんからのスタバ、コメダ珈琲店について

お気づきかと思いますが、私はプロレス鑑賞を趣味としています。

この頃毎週金曜日に放送が始まった、

「俺の家の話」というドラマは、

プロレスラーが能の宗家の後継ぎをするとかしないとか、

息子が父親の介護をするとかしないとか、

ヘルパーさんが財産目当てとかそうでないとか、

そういったドラマです。

プロレスのシーンが出てきたり、長州力さんをはじめとした懐かしいプロレスラーが出演したりされるので、

わざわざ録画してまで見ているという具合です。

 

ところどころ、シビアな問題や心の機微にもふれながら、

テンポよく会話が進み、

これまたところどころ、面白いギャグが織り込まれていたりします。

落ち着きのない私にとってはリズムが合う面があります。

これはひとえに、脚本の宮藤官九郎さんの個性によるところです。

「あまちゃん」や「いだてん」など、

テンポのいいドラマをよく書かれている脚本家さんですが、

いつか何かの記事で、

「あまちゃん」のシナリオは、

吉祥寺のスタバで書いている(パソコンを打っている)とおっしゃっているのを読みました。

 

作家や脚本家などという人は、

本をうず高く積んだ書斎で、原稿用紙にうずくまっているようなイメージでしたが、

そんなのは昭和の古いイメージであって、

今は原稿はパソコンでしょうし(タブレットかもしれません)、

場所はスタバでも不思議ではないかもしれません。

ただ、レポートやエッセイなどなら、

スタバや図書館の一角でも執筆できそうですが、

人気連続ドラマのシナリオが、

そのような半公共の場みたいな場所で執筆されているのは、

少し意外に思ったものです。

 

しかし、たしかに私も、学校のイントラネットを使う必要のある仕事は別として、

他の仕事であれば、

学校や自宅以外の方が集中できるということがあります。

 

今は牛深のアパートからほとんど出ませんので、仕方ないですが、

益城に帰った時は、

スタバやコメダ珈琲店にサーフェスを持参して陣取り、

仕事をさせてもらったりします。

(もちろん、スタバのキャラメルフラペチーノや

コメダの味噌カツサンドもお目当てですが)

 

昨年度の特別活動の研究発表会の報告資料づくりでは、

原稿の再構成や校正を担当しましたが、

夏休み中に、ほとんどすべての作業を熊本市内のコメダ珈琲で行いました。

 

雑踏のの中の孤独というのでしょうか、

人のいるほんの少しのざわざわ感の中で、

誰も自分に関心を払わないでいてくれる雰囲気が、

仕事をするのにちょうどいい緊張感があって、いいものです。

 

牛深には残念ながらその種のカフェがないのが残念です。

 

コロナ禍の中でなければ、保護者の方にも参観していただきたいほど、

本校の朝の教室は落ち着いています。

本校生徒が朝の「苓南タイム」で自学自習に集中しているのを見ると、

朝一番のこの教室も、このスタバとかの雰囲気に似ているのかなと思います。

 

(いつもお世話になっている、スターバックス熊本大江店と、コメダ珈琲店熊本桜木店です)