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2020年12月の記事一覧

昔話法廷 被告人は末っ子のこぶた

もう20年ほど前になりますが、

国語の授業で音声言語、すなわち「話す・聞く」授業がとても盛んに研究された時期がありました。

特に、欧米から輸入されたのであろう「ディベート」が、

賛成・反対などに分かれて論戦を行う、一種のゲームみたいなもので、とても新鮮でした。

それまでの日本の国語教室にはあまり登場しなかった活動だったからだと思います。

また、論理的な思考力や

相手の主張の論旨を聞き取って取って返す発言力などを育てる

という点でも注目されていました。

私もいろいろな実践に取り組みましたし、

ディベートのオーソリティである、花田修一先生をお茶の水大学附属中学校にお訪ねして、

厚かましく授業を参観させていただき、ご指導をいただいたのも、懐かしい思い出です。

 

そういったわけで、というのではありませんが、

法廷物、弁護士物のドラマや映画が好きで、よく見るようになりました。

最近では、アメリカのTVドラマの

「ブル」(これは、陪審員の心理を操作する法廷での駆け引きという、高度な法廷物)、

BULL/ブル 心を操る天才 - ドラマ情報・レビュー・評価(ネタバレなし) | Filmarksドラマ

「グッド・ファイト」(これは、SNSを使った犯罪など極めて現代的な裁判とクセの強い弁護士たちの群像劇)

グッド・ファイト 華麗なる逆転』シーズン1 あらすじ&エピソードガイド 大胆なストーリー展開は中毒に | 海外ドラマboard

などがお勧めでしょうか。

 

さて、そんな私が最近見ているのが

NHK for school の「昔話法廷」です。

子ども向けの番組で、

文字通り、昔話の登場人物が法廷で罪に問われるという法廷ドラマです。

例えば、「三匹のこぶた」裁判では、

こぶたがオオカミを煮えたぎった鍋に落として殺害したのは、

正当防衛か、計画的殺人かが争われます。

そして、判決は出ないまま終わります。

番組のキャッチコピーは

「判決の出ない異色法廷ドラマで、“ 考える力”を養う!」です。

 

大真面目な証言や反対尋問、「異議あり!」に少し笑いながらも、

ちょっと待てよと、考えさせられるようなミニ・ドラマです。

私のおすすめは「アリとキリギリス」裁判です。
ー被告人はアリ。

冬になり食べるものがなくなって、食糧を分けほしいと頼んできたキリギリスを見殺しにした。

アリは、保護責任者遺棄致死罪で有罪か?それとも無罪か?

(番組HPから)

私はこの件については、「カルネアデスの舟板」のルールが適用されるのではと思いますが、どうでしょう?

 

15分のドラマで、ホームページから誰でも視聴できます。

頭のリフレッシュに、一度、ご覧になってみてはいかがでしょう。

成果=知識X技能X考え方X意欲

先日の研修会で、

「熊本県教育庁 令和2年度(2020年度)小中学校評価者研修会」

(講師 産業能率大学総合研究所 北山勝英 氏)

について、五和中学校の大塚校長先生から復講がありました。

PDCAサイクル - Wikipedia 

 

資料をもとに、とても勉強になる内容でしたが、

特に以下の部分に目を覚まされました。

 

それは、「成果はかけ算である」というものです。

つまり、成果は次の式で求められるということです。

 

成果=知識X技能X考え方X意欲

 

なるほど、成果が出てこないときに、何が原因なのか。

よく分からないことがあるのです。

しかし、成果の一つ一つの要素について考えると、

改善の糸口も見えるのかもしれません。

 

どうしたらいいか知らないのか?(知識)

やろうとしてもできないのか?(技能)

ものの考え方、目指す方向性が間違っているのか?(考え方)

そもそもやる気がない、あきらめているのか?(意欲)

 

そして、さらにこの中で、知識、技能、意欲は0~10であるが、

考え方はマイナスのこともある、というのです。

知識、技能、意欲は0の場合もあるので、せっかく他の要素がよくても、

一つの要素のせいで、成果が0、つまり水の泡にもなります。

しかし、考え方がマイナスだったら、成果はマイナス、

つまり、頑張って取り組んでも逆効果になるということになります。

 

考え方、とは

ポジティブな考え方、前向きな考え方、信用などですが、

そのマイナスといえば、

ネガティブな考え方、後ろ向きな考え方、不信感などでしょうか。

この考え方、思考のスタイル、もののとらえ方などが

本当に大切なんだなと思った次第です。

大塚校長先生、貴重な復講ありがとうございました。

 

(以前紹介した、ミツルさんの絵の別バージョンです)

人生はかけ算だ | リハステージスタッフより

はやぶさ2 の「行ってきます」と「永遠なれ!」

今ではテレビのリモコンは当たり前の話で、

むしろ「チャンネルを回す」などというと、「?」となりそうです。

私が子どもの頃初めて触れたテレビのリモコンは、

たしか「ズバコン」という商品名でした。

ズバコンをテレビに向けて操作すると、丸いチャンネルがカチャ、カチャと回るというものでした。

すぐ壊れそうな仕組みでしたが、「リモコンってすごいな」と思った覚えがあります。

 

また、同じく子どもの頃のあこがれのおもちゃといえば、

ラジコンカーで、私は買ってもらえませんでしたが、

持っている友達のところに行くと、赤いスポーツカーのラジコンを

順番に少し触らせてもらえて、嬉しかった思い出があります。

 

そんなリモコンやラジコン、最近でいえばドローンなどもありますが、

それらとは比べものにならないほどの遠隔操作なのでしょうか?

詳しいことはよく分からないのですが、

とにかくはやぶさ2はすごい技術の結晶には違いありません。

 

昨日は、小惑星探査機はやぶさ2が6年50億キロの旅を終え、

小惑星「リュウグウ」の砂などが入っているとみられるカプセルを地球に送り届けた

というニュースで持ちきりでした。

深夜のテレビか何かを見て、涙が出たという人もいるようです。

 

はやぶさ2の科学的な業績や、天文学的な意義は至る所で触れられていますので、

私は印象に残った言葉を2つご紹介します。

 

はやぶさ2が見た地球 JAXAが公開「最後に『行ってきます』と手を振り行った」

というニュースでは、はやぶさ2が見たという地球の姿が掲載されていました。

ー小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の上空約8万キロから撮影した地球の画像。右上に南極が、上端に南米西岸が写っている=2020年12月6日午前6時半撮影(JAXAなど提供)

 

写真の様子も感慨深いですが、私はこの記事の中のコメントが印象に残りました。


ー会見で津田雄一・プロジェクトマネジャーは「最後に『行ってきます』と日本を見つめて手を振りながら出て行った」としみじみと話した。

 

「最後に『行ってきます』と日本を見つめて手を振りながら出て行った」!

津田さんという方のはやぶさ2への愛情があふれるようなコメントですね。

しかし、「行ってきます」とは。どこへ?

帰ってきたばかりと思っていた私がよく読むと

朝日新聞に説明がありました。

「はやぶさ2本体はカプセルを切り離した後、地球に衝突する軌道から離れ、新たな探査の旅へ出た。

次に目指すのは地球と火星の間を回る直径30メートルほどの小さな小惑星で、

さらに100億キロを飛んで2031年に到着する見通しだ」

これにもびっくり。カプセルを地球に落としていったら、

そのまま100億キロ向こうまでまた旅立ったのですか!

もう私のズバコンやラジコンカーでは想像がつかないことです。

 

また、もう1つ印象に残ったのは、

宇宙ステーションにいる野口聡一さんのツイッターのコメントです。


たった今 はやぶさ2 の勇姿を ISS から目視しましたー 

地球に向けて高度をグングン下げてくる光を約5分見つめてました。

位置情報を指示してくれた JAXA つくば管制センターありがとう。

はやぶさ2 そして はやぶさ よ永遠なれ!

 

50億キロの旅をしてきた探査機を、宇宙ステーションから見る野口さん、

21世紀の宇宙だなぁという感じですね。

「はやぶさ2 そして はやぶさ よ永遠なれ!」というエールも

同じ宇宙でミッションを遂行している気持ちが伝わります。

 

野口さんの乗るISSから撮影した動画もありました。

とてもきれいな一筋の光です。

「はやぶさ2」勇姿を撮影 野口さん搭乗のISSから(2020年12月6日)

 

人類の、日本の科学の力、努力、思いに触れたニュースでした。

 

「絶対押すなよ!」心理的リアクタンス

お笑い芸人が「押すなよ、押すなよ、絶対押すなよ」と言ったら、

押して熱湯に落としたくなりますね。

 

このテレビ番組が終わったら、宿題をしようと思っていたところに

母親から「早く宿題をやりなさい」と言われたら、

その途端に宿題をやる気がなくなったことがありますね。

 

これは、みんなへそ曲がりふだったり、あまのじゃくだっったりするからではなく

「心理的リアクタンス」というものだそうです。

【科学で解明】なぜダチョウ倶楽部は「押すなよ!」と言うのか?

 

以下、世界と日本のUX | BLOG 心理的リアクタンス からの引用です。

*****

自分から進んで宿題をやろうとしていたが、自分の行動を他人に決められたことで

「選択の自由が奪われた」と感じ、反発する態度を取ってしまう「心理的リアクタンス」の例である。

例え、相手の指示と自分の予定していた行動が同一のものでも、

また、例え相手の指示に従うほうがメリットが多くても、心理的リアクタンスは生じる。

反発して宿題しようというやる気を失った例

*****

 

また、「なぜ、そんな行動をするのか」という理由を少し詳しく見てみました。

心理的リアクタンス(やっちゃだめの反動):行動経済学とデザイン22

によると、

「自己効力感=自分のことは自分で決めたい」という本能から来ているそうです。

「他人からダメといわれ続けると、自己効力感を脅かされてストレスとなります。

それに抗うためには意思を示して命令に屈しない態度を示すため、命令と逆の反応が出る」

ということです。

 

本校でも 自己効力感を大切にしたいと考えています。

前述の 世界と日本のUX | BLOG 心理的リアクタンス には、

勉強のやる気を奪わないためには、「勉強しなさい」と命令(指示)するのではなく、

自分のペースで勉強を進めていることを認め「勉強は順調?」などと質問することで、

そのペースについて質問しているだけなので、自由を阻害したと感じさせない、

というヒントもありました。

 

また、「余計な心理的リアクタンスを与えない」ためには、一般的にどういった点に気をつけるといいかというと、

「自由を奪っていると感じさせないこと」が重要。

「選択肢を与え、その中から求めている答えを相手自身に選択させる」とよい、とありました。

 

こういったことは、コーチングなどでもしばしば強調されますし、

生徒指導などでも、「自己決定力」は大切だと言われています。

 

さて、本校でも3年生の路について決定していく「三者相談」が行われました。

3年生全員が自分で「納得した」進路選択をして、

自己効力感を保ちながら進んでいってほしいと思います。

 

これは、本校生徒が東小や久玉保育園で

読み聞かせをしていた楽しい絵本です。

 

NHK「サラメシ」に学ぶ

NHKの「サラメシ」という番組があります。

一般の方の昼食の様子を取材して、

中井貴一さんのナレーションとともにお送りする、といった番組です。

何曜日かの午後7時のニュースの後にやっているのを時々見ていましたが、

日曜の朝にも放送があっていました。

 

この番組、他の人のおいしそうなお昼ご飯を拝見する番組です。

お弁当や社員食堂や行きつけの外食屋さんのメニューなどを見るだけでも、

グルメ番組みたいでおもしろいです。

しかし、それ以上に興味があるのは、

昼食を挟んだ、人それぞれの仕事の内容、仕事っぷりや苦心談、

さらには職場の仲間や雰囲気、支えてくれる家族の方の様子など、

いろいろな見どころがあるのです。

 

今朝も、いろいろなお昼ご飯が出てきました。

その一つが、長野県のバス会社のバスガイドさんたちのお昼ごはんでした。

 

 

この春に高校を卒業して入社した方から、10年目ぐらいの方までが登場しておられました。

バスガイドさんというと、きれいな声で、歌も歌えて、もちろんいざというときは運転手さんをサポートしてバスの誘導などもしなくてはならないと思いますが、

なんといっても観光地の案内が私たちの旅の楽しみです。

そのためには、たくさんの知識が必要と思いますが、

(私が以前利用したバスでは、ガイドさんがCDのスイッチを入れて、案内はCDがしたことがありますが)

バスガイドさんたちの陰でのご苦労を初めて知りました。

 

このバスガイドの皆さんは、市販の一般的なガイドブック等をそのまま使ったり、覚えたりするのではなくて、

全部自分のノートにまとめ直しておられました。

そうすると、自分の頭の中にも整理されて、入りやすいのだというのです。

まるで受験勉強といっしょですね。

 

今年8年目という方のノートが紹介されていましたが、

なんと100冊に上るそうです。

100冊!

それはそうですね。

考えてみれば、長野県内や近辺の案内だけでなく、

他県へのバス旅行もあるでしょうし、東京など遠方へのバスツアーもあるので、

バスで案内する可能性のある場所すべてのノートを準備していったら、

100冊にはなるということですね。

ベテランの(といってもまだ20代半ばですが)先輩たちが勉強してノートを作っている姿を見て、

入社まもない後輩の方は、

「はぁ〜ってなりました。もっと(勉強しなくちゃいけない)かぁって」

と言われてました。

 

そのほかにも、ガイドさんたちにいろいろインビューがされていました。

コロナ禍による自粛で自宅待機になった時は、

「最初はやったーと思いました。好きなだけ寝れるぞって」

と笑顔で言われていました。

 

しかし、すぐにいつから仕事が始まるんだろうと不安になったりしたそうです。

「いつでも旅行に行けるという時代じゃないんだ、と思うようになりました。

この旅行をしたら、次はいつ旅行できるかはわからない。

そう思ったら、この旅行を精いっぱい楽しいものにしたいと思うようになりました」

そう言って、手書きのメッセージカードを作ったり、

個人用に配布する容器にアルコールをつぎ分け、「ありがとう」のシールを貼ったりしておられました。

 

大人数での旅行が難しいならと、バスガイドさんたちで話し合って、

オリジナルの女性一人旅のツアーの企画を社長さんに提案されたりもしておられました。

 

私からみれば若い、学校から社会に出て数年の方々が、一生懸命仕事に取り組んでおられる姿に元気をもらいました。

これまで、キャリア教育の一環で、NHKの「プロジェクトX」や「プロフェッショナル」を

授業で生徒たちに見せてきたことがありましたが、

この「サラメシ」も身近に感じられるキャリア教育の参考になるかなと思いました。

 

入社を機に一人暮らしを始めて、お弁当作りに挑戦しているという方が、

「ちょっと焦げちゃったんです。1回練習して、その時は上手にできたんですけど」と卵焼きを頬張る姿や

「食べるのが遅いので、お弁当箱は小さくしてます。

仕事先で遅くなって『居残り給食』みたいだねなんて言われちゃうので」

という方もいらっしゃり(横の方が「ゆっくりでいいよ」と声をかけていらっしゃいました)

微笑ましい光景でした。

 

私たち本校教員は、毎日牛深給食センターの皆さんが丹精込めて作ってくださる給食を

おいしくいただくことができて、幸せに思います。

写真は、日本列島味の旅「江戸両国のちゃんこ鍋」です。

 

 

サラメシ - NHK