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2020年11月の記事一覧

小柴さんのテスト問題

ノーベル物理学賞を受賞されたことで知られる、小柴昌俊さんの訃報が報じられていました。

 

小柴さんは一時、中学校で教鞭を取られていたそうです。

その時のテスト問題で、

「この世に摩擦というものがなくなったらどうなるか。記せ」

という問題を出されたそうです。

さて、正解はなんでしょう?

生徒の皆さんは、テストが終わったばかりですが、

ちょっと考えてみてください。

正解は、この欄の最後にお知らせします。

 

さて、小柴さんの功績はというと、

 

*****

小柴さんは岐阜県の神岡鉱山の地下に観測施設「カミオカンデ」を設置し、1987年重い星が一生を終える時に起こす大爆発・超新星爆発によって放出された「ニュートリノ」と呼ばれる物質を構成する最も基本的な粒子をとらえることに成功しました。

NHKニュースから

*****

 

改めて読んでみても、私には、何のことやら全く理解できません。

詳しく知りたい生徒の皆さんは、理科の橋口先生に聞いてみましょう。

 

しかし、小柴さんも、もともと物理がとても得意だったというわけではなく、

「たまたま大学受験のとき、小柴は物理ができない、というウワサを耳にして、一念発起(笑)。

猛勉強の末、東大の物理学科へ進学しました」

とご自身で講演などで話されています。

ここにも、「ピーマンを先に」の精神で道を開かれた方がいらっしゃいました。

 

さて、1987年2月下旬、銀河系のすぐ隣で超新星が爆発して、地球まで飛んできたニュートリノを、

小柴さんは、カミオカンデで見事に観測したとのことですが、

その時、小柴さんは翌月に定年を控えた60歳だったようです。

同年輩である私には、少し元気の出る話です。

 

また、小柴さんの語録には、次のようなものがありました。

「『夢の卵』を常に三つか四つ、自分の中で温めておく。

そしてチャンスが訪れた時にそれをつかむ準備をしておく」

「親や先生がいくら『あなたが本当にやりたいことは何なの』と聞いても、

本人がどんなに本を読んでも、そんなものは見つからない。

いろんなことを試してみて、その中で実感を得て、自分の力で見つけていくしかない」

「自分が何に向いているのか、何が好きなのか、見つけるのは優しくない。

それでも何とか見つけ出さなければいけない。

良くないのは、見つける努力をしないでフワフワ生きていること」

 

3年生の皆さんは、三者面談が近づいていますが、参考になる言葉ではないでしょうか。

 

では、ここで冒頭のテスト問題の正解です。


正解は「白紙答案」だそうです。

その理由は

「摩擦がなければ、鉛筆の先が滑って紙に字は書けないから」

とても愉快な理科の先生だったようですね。

 

進んで損をしたほうがいい② (萩本欽一さん)

(つづき)

昨日の萩本欽一さんの話のつづきです。

*****

僕の場合、なにか事を興(おこ)すときは

必ず損から入ります

これを覚えたのは、高校時代でした

高校の三年間は

いくつものアルバイトをしてたんですが

いちばんうれしい思いをしたのは

京橋の洋食屋さん

なにがうれしいかって食べ物屋さんですから

食材があまると

アルバイトにも食事を出してくれたんです

ここでアルバイトをしたのは

高校二年の夏休み

僕と同時にあと二人

学生が雇われたんですが

女主人はまず僕を見てこう聞きました

「仕事は3つあるの。

キャベツを切ったりカツを揚げる仕事

配達、皿洗い。どれにする?」

迷わず言いましたよ

「僕、皿洗いにします」

ほんとはカツを揚げたかったけど

だれでもこれを選びそうでしょ

だからあとの二人と険悪にならないよう

いちばん人がやりたくない

皿洗いを選んだんです

店の主人にいいとこ見せよう

という気持ちもちょっとはありましたけどね

で、皿洗いを始めたら、鍋底がみんな真っ黒

店にあるタワシじゃぜんぜん落ちないの

自分から選んだ仕事だったから、これを

どうにか落としてピッカピカにしたくてね

自分で20円だして金属のタワシまで買って

いつもお皿と鍋をきれいにしてました

このバイトは夏休みいっぱいの約束で

最後の日に

バイト仲間3人で帰ろうとしていたら

「萩本君、ちょっと」

って店主が奥から僕を呼びとめました

行ってみたら、こう言われたんです

「萩本君、よかったら卒業するまで

 うちで働いてくれないかい?」

ちゃんと僕のこと見ててくれたんだ

って思いましたね

自分から損したり、一生懸命やってれば

やっぱりだれか見ててくれるんだって

やけにうれしかったな

自慢話みたいでいやだけど、でも

「損から入って一生懸命やろう」

ってこのとき思ったのね

どんなちっちゃなことでも

損から入るといいですよ

人のために自分の時間や知恵やお金を使うと「睡眠時間が減る」とか「頭が痛い」

「心が痛い」「ふところが寒い」などなど

いろいろな不都合があると思うのね

でも、それぐらいは我慢しちゃうと

あとで運になります

損のままで終わる人生ってないんです

*****

【深イイ】萩本欽一「損して得を取れ!」下積み時代の教え

 

「損から入って一生懸命やろう」

そのくらいの気持ちで吹っ切れて取り組む気持ち、

目先のことで一喜一憂したり、クヨクヨしたりするより、大切なのかもしれませんね。

進んで損をしたほうがいい①(萩本欽一さん)

昨日のこの欄は、

「ピーマンから先に」

というお話でした。

嫌なこと、避けたいことから先に手を付けてみよう、というような内容でした。

 

そのことを書いていて、思い出したお話をご紹介します。

コメディアンの萩本欽一さんの

「進んで損をしたほうがいい」といった内容の話を、ネット記事から孫引きしています。

 

ダメなときほど運はたまる 

引用:萩本欽一著

『ダメなときほど運はたまる』廣済堂新書 から

*****
ほとんどの人は「損をしたくない」

と思って生きていますよね

だけど、そういう生き方をしていると

自分でも気がつかないうちにずるくなったり

意地悪になったりしやすいと思うの

だって今の世の中がそうでしょ?

みんなで得しましょう

損をしたい人は勝手に苦労してなさい

っていう仕組みになってますよね

幸運もお金も

人のあいだをぐるぐる回ってるんだから

すべての人が一緒に得をするなんて

ありえないんですよ

幸せになりたいと思うなら

進んで損をしたほうがいいの

人とつき合うときは

率先して損な役回りをすると

だれかが幸運を持ってきてくれます

自分のために損をしてくれた人がいたら

うれしくなるでしょ

だから人間関係が円滑になるし

一緒に仕事をするときも

信頼関係が早く結べるんです

かといってなにか見返りを求めて損をしたり

相手にとって負担になるような

極端なことをしちゃダメ

このあたりはバランスを考えて行動しないと運にならない

*****

(つづく)

ピーマンを先に

皆さんは食事をするとき、

好きなものから食べますか、それとも比較的苦手なものから食べますか。

私は苦手なものから食べて、好きなものは取っておく派です。

 

しかし、苦手な部屋の片付けは、後回しにつぐ後回しにしてしまいます。

そうすると、ますますおっくうになってきて、悲惨な状況になるというタイプです。

 

そんななか(?)次の記事を目にしました。

行動科学に基づく人生訓。「苦痛」の先払いをすると、長期的により幸せになれる

これによると、

パックの旅行は、「旅行代金を先に一括で支払ってしまえば(苦痛)、

あとの部分は、ポジティブな経験、オプショナルツアー、パーティーといったことだけ」になるので、

人々が心置きなく楽しめるのだそうです。

また、「専門的サービスを提供する仕事の人は、クライアントと話をするとき、

悪い知らせを先に伝え、良い知らせで終えるとよい」そうです。

先日見た映画でも

「諸君に伝えなくてはならない、いい知らせと悪い知らせがある」と草刈正雄さんが言っていました。

かっこいいので、今度私もこの言い方を使ってみようと思います。

 

さらに、記事から引用してみます。

 *****
日常的な1日には、面倒だったり、苦痛だったりする作業(請求書の支払いなど)があると思います。

そして、良いこと(友達から心のこもったメールをもらうなど)もあるでしょう。

もし昼休みにメールを読んで、仕事から帰宅した後に支払いをしたら、

その1日は、良いことの後にイヤなことがあったと記憶されるでしょう。

それではいけないのです。

一方、1日の早い時間に苦痛をまとめるようにすれば

(たとえば、出勤前に支払いをして、友達からのメールを昼休みに読むようにすれば)、

その1日は、イヤなことの後に良いことがあったと記憶されます。

そのほうが幸福感が感じられるはずです。

脳は、時とともに経験が好転するパターンを好むからです。

この原理は、1日を通して、さまざまなことに応用可能です。

プロジェクト、家の掃除、宿題などに取り組むときは、一番嫌いな作業から手をつけましょう。

それが済んでしまえば、あとは好転するばかりで、最後の満足感も高くなります。

*****

生徒の皆さんも、家庭学習では苦手な◯◯の宿題を後回しにせず、手を付けてみましょう。

その後に得意な◯◯の学習をやれば、

明日の授業を楽しみにして、にっこりして眠りにつくことができるでしょう。

 

ちなみに私は、嫌いなピーマンをいつも最初に食べていたら、

いつのまにか大好物になってしまいました。

そういうこともあるようです。

 

朝の郵便受け

今日は「ちょっといい話」をご紹介してみます。

少し前になりますが、

朝日新聞で見つけたお話です。

 

*****

朝の郵便受け、お巡りさんから届くカード 77歳の宝物

(朝日新聞2020年10月10日)

前夜の大雨のなごりか、暗い空から雨粒がぱらぱらと落ちてきていた。

朝6時過ぎ。松井峯子さん(77)は古い一軒家の引き戸を開けて門まで歩き、郵便受けをのぞきこんだ。

朝刊の下に、いつものように紙が1枚あった。

にじんだボールペンの字で「どしゃ降りですわ」と書かれていた。

警察官が巡回したことを知らせるパトロールカード。

そうね、昨晩は雨音がひどかった。それでも来てくれたのね。

少し湿った紙を見つめ、笑みがこぼれた。

名古屋市中川区の松井さん宅にカードが届き始めたのは昨年12月。

朝起きると、勝手口の窓ガラスの鍵穴あたりが割られていた。

15年近い一人暮らしで初めての経験だった。

警察に届けると、細身の警察官がやってきた。

岡井陽一巡査長(46)は「今夜から巡回しますね」と笑顔で話した。

翌朝、郵便受けにカードが入っていた。

2、3回で終わるかと思ったが、年が明けても3日に1回のペースで続いた。

カードが届くのはいつも未明らしく、その様子を松井さんは見たことがない。

でも紙には丸っこい字で、いつも一言添えてある。

正月は「あけましておめでとうございます」。雪が降った日は「寒かったですね~」。

半日、テーブルの上に置いておく。

食事や片付けのとき、目に入ると口角が上がった。

2人の娘が結婚して家を出てから、一日中誰とも話さないことも珍しくない。

いつの間にか、カードの日が待ち遠しくなっていた。

それは6月1日のことだった。

カードに「ちなみに本日誕生日です」とあった。

お礼を兼ねてお祝いをしよう。

交番にチョコレートとおせんべいを持って行ったが、岡井さんはいなかった。

書き置きを残すことにした。

「お誕生日おめでとうございます。私も今月77歳になります」

 

数日後、封筒がポストに届いていた。

開けると、金色でハッピーバースデーと書かれたカード。

いつもの字で添えられていた。

「誕生日と喜寿、おめでとうございます。元気でよろしくお願いしますよ!」

体が一瞬、固まった後、急にぽかぽかしだした。

ここ数年、誕生日を祝ってくれるのは近くに住むめいだけだ。

他人に祝われるなんて、何年ぶりだろう。カードをまとめてある箱の上に飾った。

遊びに来ためいには自慢した。

「これはね、私の宝物なの」

ためたパトロールカードはそろそろ100枚になる。

あふれそうだから、新しい箱を探さなくちゃ。(山本知佳)

*****

 

私も一人暮らしなので、自粛生活の時や休日など、誰とも会話を交わさないことがあります。

LINEやInstagramなど、SNSでのコミュニケーションが多くなってきましたが、

それだけに、朝の郵便受けと手書きのカードを介した、心の交流を読んで、

温かい気持ちになりました。