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2020年11月の記事一覧

君も宇宙飛行士になれる

昨日に続いて、クルードラゴンで宇宙ステージに乗り込んだ

宇宙飛行士、野口聡一さん関連の話題です。

 

クルードラゴンが飛び立った月曜日の夕方、

出張帰りに車のテレビで、こんなニュースを見ました。

 

野口聡一さん55歳が宇宙へ!なぜ日本人宇宙飛行士は“おじさん”ばかりなのか?

野口聡一さんは55歳。

いわゆる中年と呼ばれる年代ですが、日本人の現役宇宙飛行士はみんな40代~50代で、

平均年齢は51歳。他の国に比べて一番高いそうです。

スペースシャトルの時代が終わり、日本人宇宙飛行士の活躍の場が減るなどして、

現在、若い宇宙飛行士がいないという話題でした。

しかし、国際宇宙ステーション(ISS)に代わって、月面の探査がまた宇宙開発の課題となってきて、

2020年代の後半には、日本人宇宙飛行士が月に降り立つ可能性が出てきたということです。

また、「JAXAの職員60歳定年」というものもあって、

若い宇宙飛行士の育成が急務になっているそうです。

このような理由で、JAXAが13年ぶりに宇宙飛行士を新規募集するのだそうです。

このブログをお読みの生徒の皆さんも、宇宙飛行士を目指してみてはどうですか。

ということで、宇宙飛行士の選抜試験について調べてみると、

「どんな力をつければ宇宙飛行士になれるのかな?-宇宙飛行士候補者選抜試験に挑戦-」

というパンフレットを見つけました。

さて、どんな選抜試験をクリアすれば、宇宙飛行士になれるのでしょうか?

紹介されている問題の例を一つ引用してみましょう。

知る人ぞ知る「まっ白なジグソーパズル」です。

 

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模様も色もないまっ白なジグソーパズル──集中力と忍耐力を試される
正しく配置すると美しい絵や写真ができあが るジグソーパズルは、

集中力や忍耐力を必要と するものの、楽しい遊びです。

でも、色や模様 がなかったら?

このパズルは手がかりが極端に少ないので、 難度は模様つきに比べぐんと高くなります。

長期滞在適性検査で、まっ白な 144 ピース のジグソーパズルが出題されたことがあります。

制限時間3時間でしたが、完成した人は一 人もいなかったそうです。

これを行うときは、40 ~ 60 ピース程度の 簡単なものを選びましょう。

市販のものを手に 入れることができます。

最寄りの玩具店などで 見つからないときは、ネット通販でも手に入れ ることができます。

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どうでしょう。私は気が短いので元々ジグソーパズルは苦手で、

その上、手がかりやゴールの見えない「まっ白なジグソーパズル」では、

手も足も出ないのではないかと思います。

しかし、出来心で104ピースの「まっ白なジグソーパズル」を注文してしまいました。

チャレンジしてみたい人は、校長室に来てみてください。

 

また、宇宙飛行士選抜試験に興味のある人には、この本もおすすめです。

ドキュメンタリーとして、とてもおもしろいですよ。

ドキュメント宇宙飛行士選抜試験 

アオサ、雑節 宇宙の旅

ここ数日、宇宙のニュースが報道されました。

野口聡一宇宙飛行士さんの久しぶりの宇宙への旅のニュースです。

野口さんといえば、アニメ「宇宙兄弟」の中で

「3次元アリ」の話をされている場面をこのブログで以前、紹介しました。

 校長室ブログ 三次元アリの話(「宇宙兄弟」から)

 

さて、野口さんたちが搭乗した.アメリカの民間企業スペースXの新型宇宙船「クルードラゴン」は、

日本時間17日午後1時すぎ、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功したのだそうです。

 

これは、ドッキング直前のクルードラゴンから見た国際宇宙ステーションです。(NASAテレビから)

 

また、これは国際宇宙ステーションへのドッキングを前に、新型宇宙船クルードラゴンの内部でパネルを操作するクルーたちです。(NASAテレビから)

 

きれいなタッチパネルですね。

私のイメージでは、宇宙船内はたくさんのボタンやレバーだらけの印象ですので、かっこいいなぁと思います。

狭苦しくない感じがしますね。

今回の宇宙旅行で、

民間企業による宇宙旅行が本格的に始まるのだと思われます。

 スペースXの方が

「NASAはわれわれの大切な顧客だ」

と言われていて、へー、そんなものかと思いました。

 

さて、今回のニュースに関連して、宇宙食も話題になっていました。

ローソンの宇宙用のからあげクンを、若田さんがお食べになるということです。

ローソンが3年9か月かけたプロジェクトで完成させたものだそうです。

普通のからあげクンと果たしてどう味が違うのでしょうか?

近くのローソンでも売り出されたら、一度は食べてみたいものです。

 

また、カップ焼きそばUFOも食べられるとのことでした。

野口さんは、B級グルメのファンらしいです。

さて、そんな中で、地方のある高校が作ったサバ缶も宇宙食として採用されたそうです。

 

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高校生のサバ缶宇宙へ 「思い続ければ夢かなう」―野口さんも「楽しみ」・福井

福井県立若狭高校(同県小浜市)が開発したサバの缶詰が近く、

野口聡一さん(55)が長期滞在する予定の国際宇宙ステーション(ISS)に届けられる。

「うちの缶詰を宇宙に飛ばせるのでは」。

そんな生徒の声から始まった宇宙食への挑戦。

野口さんはISS滞在中に味わう予定で

「大変楽しみにしており、しっかり賞味したい」と話している。

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記事によると、サバの産地福井県のある高校の若い小坂先生が、

生徒たちと、不振になった地元産業を活性化しようと思い立ち、研究を開始。

20年近くをかけて認可され、今回宇宙の旅にお供することになったそうです。

記事はこのように締めくくられていました。

 

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小坂さんは「思い続けていれば、夢はかなう」と喜びをかみしめる。

卒業生の大道風歌さんは

「多くの人の思いが込められたサバ缶が打ち上がるのはうれしい。

宇宙での味の感想を早く聞きたい」

と期待を寄せている。

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日本の地方のチカラ。元気の出る話題ですね。

以前、本校卒業生の先輩が牛深高校でアオサの研究をして、

新しい名産品「青春巻(あおまき)」を開発されて、話題になりました。

牛深のアオサや雑節も宇宙で食べられるようになると、夢が広がるでしょうね。

 

山浦くん「NIEカメラマン講座」の感想

先日の「NIEカメラマン講座」の感想を、

当日謝辞も述べた学習図書委員長の山浦くんがまとめてくれました。

本人の了解を得て、紹介します。

とてもよい学びができたように思えます。

 

  新聞記事にこめられた思い 

 

僕たちの学校で「NIEカメラマン講座」がありました。

現役の新聞記者の方の日ごろの苦労、取材の裏話、記事にこめた思いなどを直接聞くことができました。

まず印象に残ったのは、「伝わる写真」とは何かということです。

「伝わる写真」は、人の表情が写っていることと情報が多く写っている方がよいということを初めて知りました。

たしかに、普通の写真と新聞の写真を比べてみると、みんな表情がよく、それでいて「今」「どこで」「何をしているか」が写真を見るだけでよくわかります。

これほどの情報量と人の表情を1枚の写真にまとめている新聞のカメラマンの方の技術には、感心しました。

また、記事になった写真の例として、サッカーの試合の写真も見せてもらいましたが、スポーツは動きがあるので、失敗も少なからずあるそうです。

しかし、記者の方は「失敗しても撮り続ける」とおっしゃっていました。

これは、仕事への責任感から来るものだと思いました。

「失敗を悔いていても意味がない、次につなげないと良いものは撮れない」ということだと思いました。

一方で、地震の被災地での取材の話を聞いたときは、心が痛みました。

仕事として、被災地の写真は撮らなければいけない。

しかし、災害で心も体も傷ついているのに、写真を撮らせてほしいというのは気が引ける。

その葛藤と苦悩の中、写真を撮らなければいけない記者の方の気持ちは、この講座を受けなければ、知ることはできなかったと思いました。

1枚の写真がどれだけ重く、思いのこもったものなのかがよくわかりました。

新聞の一つの記事には基本、1枚の写真しか載っていません。

しかし、写真の中にある思いやかくされた技術を知ることができてよかったです。

これからは、写真を撮っている人、記事を書いている人の視点に立って、新聞を読んでみようと思いました。

NIEカメラマン講座(2020/11/12)

五七五七七 短歌の楽しみ

一人暮らし 雨の夜には 早く寝る ゆっくり眠る 雨と一緒に 松田わこ

 

朝日新聞では、毎週日曜日の朝刊の「歌壇」「俳壇」のページで、

一般読者の投稿した短歌や俳句が紹介されます。

冒頭の一首は、11月15日(日)に掲載されていた短歌の一つです。

作者の松田さんは、姉妹でよく「歌壇」に登場される方で、

この春に大学進学されて、一人暮らしを始められたそうです。

私も一人暮らしなので(!)その気持ちがよく分かるような一首でした。

 

さて、短歌といえば、11月7日(土)の「世界で一番受けたい授業」では、

「サラダ記念日」で有名な歌人の俵万智先生が恋愛短歌を紹介して、授業されました。

俵さんは私とほぼ同年代で、この歌集でデビューされたときは、びっくりしたのを覚えています。

 サラダ記念日 俵万智歌集

たとえば、

 

君と食む 三百円の あなごずし そのおいしさを 恋とこそ知れ

 

言い訳も 嘘もあなたの 声ならば しばらく聞いて いようしばらく

 

などの「幸せになれる短歌」、いかがでしょうか。

 

思いきり 見つめることの 言い訳の 小道具となる 日もあるカメラ

 

これは、スマホのカメラかも知れません。

 

トーストを 二枚焼こうと して気づく 今日から一人 ぶんの朝食

 

これは、昼食でも夕食でもないことから、特別な人との別れが暗示されるという解説でした。

 

また、上の句(五七五)に続く下の句(七七)を想像させる問題も出題されました。

 

もう二度と 来ないと思う 君の部屋

の下の句はなんでしょう?


正解は

 

もう二度と 来ないと思う 君の部屋 腐らせないでね ミルク、玉ねぎ

 

でした。リアリティがすごいですね。

 

出演者がつくってきた「大好きな?へのラブレター」の発表もありました。

 

優勝は佐藤栞里さんの

 

いつもなら 八本すする うどんさえ 隣が気になり すするは三本

 

若い女性の庶民的な気持ちの歌ですね。

 

また、コンクールで入賞した10代の恋愛短歌の紹介もありました。

 

確率を 習った後の 席替えで 計算してる 君の隣を

 

声聞けば 心臓の音 うるさくて 届け届くな 隣の君に

 

中高校生の作品でしょう。青春だなあという感じですね。

 

出演者の「甘酸っぱい青春」をテーマにした短歌も発表されました。

優勝は間宮祥太朗さんの

 

改札の あちらとこちらで 察し合う 戻らぬ初夏の 千歳船橋

 

ちょっと不振だったデートの後の、改札口での別れの光景だと言っておられました。

「千歳船橋」という駅の名前が、七音で調子もいいし、リアリティがあって、昔のフォークソングみたいです。

 

私だったら、

 

国道の あちらとこちらで 察し合う 戻らぬ秋の 久玉バス停

これはいかがでしょうか。

 

中学生の皆さんにも、短歌で気持ちや思い出を残すことの楽しさを

知ってもらいたいと思ったところです。

白鳥の湖と老バレリーナ

 

作家の高橋源一郎さんがラジオで語られていたので知ったのですが、

数分の短い動画がSNSの上で中で大きな話題になっているそうです。

 

その動画では、年老いた女性が車椅子に座っています。 

彼女はアルツハイマー症を発症して記憶を失い、車椅子の生活をしています。

撮影された場所は、スペインの介護施設です。

アルツハイマー病患者の生活向上のために音楽を活用しているスペインの慈善団体「Asociacion Musica para Despertar」が公開した動画だそうです。

 

さて、その女性マルタさんは、傍らの男性に促され、

じっとヘッドフォンの音楽に聞き入ります。

やがて、マルタさんは曲に合わせて右手をゆっくりと動かし始めます。

 

スペイン生まれのマルタさんは、キューバに渡り、バレエと出会ったそうです。

ニューヨークの華やかな舞台で踊っていたのは1967年。

もう50年以上も前のことになります。

 

目を閉じたマルタさんに、白鳥の湖の記憶がよみがえったのでしょうか。

ニューヨークで踊っていた現役時代のように、

車椅子の上で、しなやかに美しく両方の手と腕を使って舞い始めます。

 

マルタさんが今できる踊りは、上半身だけの踊りです。

指はまっすぐには伸ばせず、少し震える様子も見られます。

しかし、その踊りは、若き日の頃と同じように美しく感じられます。

このBBCの動画には、当時マルタさんが踊っていた姿と思われる

白黒の写真も収められています。

踊るうちに、表情のなかったマルタさんにも、わずかに変化があったようにも見えます。

今、彼女がその視線の先に見つめているものは、何でしょうか。

どんな光景が見えているのかなと思います。

 

この撮影の日からしばらくして、マルタさんはその生涯を閉じたそうです。

 

この動画を見て、

マルタさんの踊りから、人は何を受け取るのでしょう。

 

それは、数十年も前の踊りの記憶を思い出させた、音楽の理屈を超えた素晴らしい力かもしれません。

あるいは、音楽によって揺り動かされた、バレリーナとしての修練と活躍の証かもしれません。彼女は一生バレリーナなのです。

 

高橋源一郎さんは、こう語っておられました。

「仮に記憶がなくとも彼女の体は全て覚えていた。

クモが紡いだ糸もカイコの作った繭も、

それを作ったクモやカイコがいなくなっても残るように。

切り倒された古い樹の年輪に、その樹が過ごした時間が刻まれているように。

そこに行けば全て思い出すことができるもの、

自分が何者であるかを教えてくれるもの、

そんなものや場所があればいいですね」

 

私は、どんな人でも、たとえ年老いても、病に倒れても、

人の歩んできた人生の軌跡は、尊いものだと感じました。