「親の子ども時代の写真」を見せてみましょう
多くのご家庭でもおありかと思いますが、
私も子どもが幼い頃、自転車に乗る練習をいっしょにしたことがありました。
子ども用の自転車に乗せ、荷台をつかんで、後ろからいっしょに走ってあげます。
「いいぞ、いいぞ、その調子」
とか言いながら走らせますが、それでも子どもはバランスを崩して倒れたりします。
激しく倒れないように荷台を持っていたりするわけですが、
子どもが何回もうまくいかなくて、半べそをかいても
「もう1回、もう1回」
と励まして乗せます。
「大丈夫、大丈夫。お父さんもすぐには乗れるようにはならなかったぞ」
そのうち、長く乗れるようになって、ハンドルが大きくぶれてバランスを崩すようなことが減ってきたら、
頃合いを見て手を離してやります。
「できた。できた」
とほめて、また励まします。
まあ、このようにして自転車の練習をするものではないでしょうか。
これが、「転ぶのがかわいそうだから」と大人が手を離さないままだったり、
ずっと補助輪を付けたまま外さなかったりするなら、どうでしょう。
いつまでも一人で自転車をこぐことは、できないかもしれないのではないでしょうか。
このようなことを思い返したのは、次の記事を目にしたからです。
開成の元校長が語る「親の子ども時代の写真を見せること」の効果
大学進学で実績のある進学校、開成中学・高校の校長を長く務められた、柳沢幸雄先生のお話です。
少し長いですが、引用してみます・
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子どもの失敗、大いにけっこう! 親が先回りして失敗を防いではダメ
学校の勉強、友達関係、受験や部活動……。
保護者は、つい子どもが心配になり、先回りして、失敗しないように手はずを整えてしまいがちですが、それはやらないほうがいい。
失敗しない人生を目指さなくていいのです。
保護者の方も、考えてみれば、たくさん失敗してきているはずです。
でも、ちゃんと生きています。失敗したからこそ、今の自分があるのです。
その自分に自信を持てばいい。
むしろ、保護者の方は、子どもに失敗したときのことを話してあげてください。
親が子ども時代のことを、子どもに伝えるのはとても大切なことです。
親にも子ども時代があったのだと。
そのときにはやんちゃだったり、忘れん坊だったり、恥ずかしがり屋だったり、
自分のリアルな様子も話すと、子どもはほっとします。
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そして、柳沢先生は
「保護者の子どもの頃の写真や、卒業文集があったら、ぜひ子どもに見せてあげましょう」
と提案されています。
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親がカビ臭い昔の、あるいはだれかが作った理想像を掲げ、
「こういうふうになってほしい」「なぜなれないんだ」と子どもを責め立てたら、
それは自分の人生を棚に上げたことになり、血の通ったあたたかみのある話にはなりません。
それより、失敗を乗り越えた自分を子どもに語り、
笑いの中から、歩むべき道を自分の行動から教えてあげましょう。
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これは、私の好きな相田みつをさんの書の一つです。
受け身を教えるときも、大人がまずやって見せることでしょう。
もうすぐ冬休みです。
今年の年末年始は、外出を控え、家庭で過ごされる時間も増えるのではないでしょうか。
その家族の時間の中で、ご自分の中学生時代の写真などを囲みながら、
楽しくお話をしていただくのもいいのではないかと思います。