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それなら三國の鍋洗いを見せてやろう

昨日に続いて、

「私が一番受けたいココロの授業」という本からの引用・要約のつづきです。

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それなら三國の鍋洗いを見せてやろう

(昨日のつづき)

しかし、さすが三國氏は「それなら三國の鍋洗いを見せてやろう」と思い直し、

その日は徹夜で、鍋の取っ手のネジまではずし、キレイに磨き上げたそうです。

翌朝、それを見て村上総料理長は、三國氏に「きれいに洗えたね」と言いました。
そこで、三國氏は、「今日は何をさせていただけますか?」と聞いたところ、

総料理長は「そうだなあ。鍋でも洗ってもらおうか」と言ったそうです。
そしてなんと、このあと三國氏は2年間もの間、鍋洗いをし続けたそうです。


もちろんとても悔しかったと思いますが、

三國氏の偉いところは、その時に「鍋洗いなんて・・・」と手を抜くようなことはせず、

「そんなことを言うなら俺の鍋洗いを見せてやる」と

来る日も来る日も鍋をピカピカに磨き続けたことです。


しかし、さすがに2年もの間、鍋洗いだけでは料理の腕は上がらないと思い、

やめさせてもらう覚悟を決めました。
そんな時、総料理長から呼び出され、

「来月から、スイスの日本大使館公邸の料理長をやってもらおう」と言われました。


これは大変な抜擢で、鍋洗いしかしてなくて、20歳の三國氏がそのような大役につくことを

周囲の人は猛反対しました。(当時、帝国ホテルの厨房には600人以上の料理人がいました。)

その時、村上総料理長は、
「鍋洗い一つ見れば、その人の人格が分かる。

技術は人格の上に成り立つものだから、あいつだったら間違いない」
と言ったそうです。


三國氏は、日頃から

「料理道具がキレイでなければ、気持ちよく料理はできないし、いい料理なんてできない」

という信念を持っていました。

だから、誰よりも鍋をキレイに磨き上げないと気が済まなかったのです。
これはまさに吉田松陰の言う

「至誠(まごころを持って事に当たること)」だと思います。

普段やらなければいけないことを徹底的に、真剣にできる人ってすごいですね。

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いかがだったでしょうか。

イチロー選手も毎試合後、時間をかけてグローブの手入れをすると聞いたことがあります。

「鍋洗い一つ見れば、その人の人格が分かる。

技術は人格の上に成り立つものだから、あいつだったら間違いない」

という言葉は素敵ですね。

 

また、この逸話について、村上総料理長さんが書かれた文章があります。

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三國君は私が総料理長だった当時、札幌グランドホテルから帝国ホテルに志願してやってきた。

正社員の枠がなく、パートタイマーで採用したが、やる気があって、よく気がつく男だった。

何にでも一生懸命で、良い意味での「欲」があった。

駐スイス大使への赴任が決まっていた小木曽さんが「専属コックにいい人はいないか」と打診してきたとき、

頭に浮かんだ何人かの候補者の中から、私は三國君を選んだ。

当時、三國君はまだ20歳の若者、しかも帝国ホテルでは鍋や皿を洗う見習いだったため、料理を作ったことがなかった。

では、なぜ私は三國君を推薦したのか。

彼は、鍋洗い一つとっても要領とセンスが良かった。

戦場のような厨房で次々に雑用をこなしながら、下ごしらえをやり、盛りつけを手伝い、味を盗む。

ちょっとした雑用でも、シェフの仕事の段取りを見極め、いいタイミングでサポートする。

それと、私が認めたのは、塩のふり方だった。

厨房では俗に「塩ふり3年」と言うが、彼は素材に合わせて、じつに巧みに塩をふっていた。

実際に料理を作らせてみなくても、それで腕前のほどが分かるのだ。」

(村上信夫著「帝国ホテル厨房物語」(日経ビジネス人文庫)Wikipediaから

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見る人によっては、見えるものなのですね。

 

料理に限らず、全ての仕事は人格の上に成り立つものだと思います。

私も「自分の◯◯を見せてやろう」というぐらいの気合いを入れて、

目の前の仕事をしようと思いました。

 

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(フレンチの巨匠 三國清三さん)