ストレスは友達
ストレスは、ない方がいいですね。
私もそう思います。
しかし、ケリー・マクゴニガルさん(スタンフォード大学・心理学者)によると、
ストレスを友達に変えることができるそうです。
このプレゼンテーションで、彼女が語っています。
TED日本語 - ケリー・マクゴニガル: ストレスと友達になる方法
(14'28'' 日本語訳が見やすい字幕で付いています)
このプレゼンでは、まずある調査研究について語られます。
それは、「前の年に強いストレスを経験した」と回答した人たちのグループで、
ストレスが健康に「害を及ぼすと信じていた人」の死亡リスクは、
ストレスが健康に「害を及ぼさないと考えた人」より、43%も高かったというものです。
また、強いストレスを経験しても、
「ストレスが無害だと思う人」の死亡リスクは高まるどころか、
ストレスがほとんどなかったグループとともに、参加者の中で最も低い死亡率でした。
この研究から、死を早める原因は、ストレスではなく、
「ストレスが体に悪いと信じること」だと分かったというのです。
「気は持ちよう」と言いますが、ストレスの有無ではなく、考え方次第なのでしょうか。
続いて、このような実験も紹介されます。
ストレス下の緊張感、ストレスに対する身体の反応について、
マイナスに考えずに、
「これは、体に活力を与え、与えられた挑戦に立ち向かえるように、身体と精神が準備をしているのだ」
と考えたらどうなるか、というものです。
例えば高鳴る心臓の鼓動は、「次に始まる行動に備えて準備をしている」のだし、
呼吸が速くなっても、「脳に、より多くの酸素を送り込んでいる」と思うように訓練したのです。
このように「ストレス反応は能力を発揮できる助けだ」と、とらえるようになった人は、
ストレスや不安が少なくなり、自信を持てるようになったそうです。
また、驚いたことに、ストレスに対する身体的反応も変わったそうです。
一般にストレス反応では、心拍数が増えて血管は収縮し、常にこんな状態でいるのは健康によくありません。
しかし「ストレスは新たな事態に対して有用だ」と教えられると、
血管はリラックスしたままになったそうです。
心拍数は高くなりましたが、血管が柔軟な状態であれば健康状態です。
「喜びや勇気を感じながら新たな挑戦に立ち向かう高揚した状態」に似ているということです。
このプレゼンの中で、マクゴニガルさんはこのように話を続けています。
「今後は、あなたの心臓がストレスで高鳴ったら、
自分の身体と心が新たな挑戦に立ち向かうために、自分を助けていると言い聞かせてください。
このような見方をすれば、
ストレス反応は、人生で避けることができない新たな挑戦、
新たな環境への適応などに成功するために必要な緊張感だと分かってきます。」
私はこの話を聞いて、少し腑に落ちるところがありました。
私はどうも、時間に余裕があって、のんびりしているときの方が調子が悪く、
忙しくて、ちょっと難題を抱えたぐらいの時の方が、体調がいいのです。
なぜかは分かりませんが、
長年の生活でそうなってしまったのかなと思います。
また、プレゼンを終えた後、マクゴニガルさんに司会者が質問をしています。
「ストレスに対する見方が、寿命の長さに、ごれ程までに関わっているとは驚きました。
こんな場合にはどうアドバイスされますか?
もし誰かが生き方の選択をするとして、
ストレスの多い仕事とストレスのない仕事と
どちらを選ぶかで、何か違いがあるでしょうか?
ある意味では、自分でやれると信じてる限り
ストレスのある仕事を選ぶのも賢明な事でしょうか」
この質問に明確に答えた彼女の言葉がかっこいいです。
「はっきり言える事は、
意義ある事を求める方が、ただ不快感をを避けようとするより、
健康には良いということです。
これが一番いい決め方です。
そして、人生の意味が見い出せるものを追求して、
そこで経験するストレスに対応できると、自分を信じる事です」
いいですね。
このマクゴニガルさんのプレゼンは、
内容はもちろん、話し方も素晴らしく説得力のあるもので、参考になると思いますので、
興味のある方は一度ご覧になってはどうでしょうか。