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「箸よく盤水を回す」

先日、2年生の朝の会で、杉本先生がイエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんのお話をされていました。

たった一人からトイレ掃除の大切さを身をもって示し続けてこられた方です。

今日はその鍵山さんの文章を紹介します。

「箸(はし)よく盤水(ばんすい)を回す」という言葉にまつわるお話です。

 

……「箸よく盤水を回す」

酒井大岳(だいがく)先生から教わった貴重な言葉です。

意味は、小さな努力も続けると、大きな力になる。

決してあきらめてはいけない、という訓えです。

もう少し詳しく説明します。

「盤水」とは盤(丸い皿、たらい) のなかの水のこと。

最初、箸一本で盤水を回しても著しか回りません。

ところが、その箸を根気よく熱心に回し続けていますと、周囲の水が少しずつ回るようになります。

さらにあきらめずに回し続けますと、一段と輪が広がります。

そして最後には、盤水全部が大きな渦(うず)になって回るようになります。

この言葉を知ったとき、私は救われるような気持ちになり、感動しました。

過去四十年以上の間、私もこの言葉とまったく同じような、はかない、虚しい努力をしてきたからです。

私の場合、箸どころか爪楊枝(つまようじ)を回すようなスタートでした。

その努力の甲斐あって、四十年以上たって、大きな渦になってきました。

同じように、たらいに水一滴を垂らしても、見た目に何の変化もありません。

しかし、一滴分の水は確実に増えます。

たとえ、増えたことを確認できなくても、私は努力してきました。

たらいが、プールだったとしても同じ。

根気のいる努力ではありましたが、自分の信念を固めるのに大いに役立ちました。……

 

先日の「ファーストペンギン」に続いて、まずは一人の行動から始まる、という勇気づけられる文章です。

鍵山秀三郎「一日一話」 人間の磨き方・掃除の哲学・人生の心得