「やる気」の研究
学校再開から本校も活気が出て、気合いが入ってきたこの頃です。
さて、臨時休校中の生徒たちの日記やヘルスカードに、「やる気が出ません」とか「やる気を出さなければ」などというフレーズが見られたようです。その後、どうでしょうか。
今日は「やる気」の話です。
以前に、あるIT企業の社長さんのインタビュー記事で読んだことです。
入社1年目のある社員が社内研修で、
「こんな仕事を任されてモチベーションが上がり、その後こんなことでモチベーションが下がり...」
と自身のモチベーションの変遷を発表したそうです。その社長さんはがまんして最後まで聞いたそうですが、最後に
「給料をもらって仕事をしている自覚がないのか」
と尋ねたそうです。すると、びっくりした当の1年目の社員は、後で泣いていたそうです。…
これは、給料をもらっているのに、モチベーション(やる気)が上がった、下がったというのは失格。やるべきことをちゃんとやって当たり前ではないか、甘えてはいないか?という社長さんの思いなのでしょう。
私はこの話を読んで、「仕事をして給料をもらう」ということは厳しいものなんだなと、今更ながらに思ったところです。
さて、テレビでもお見かけする茂木健一郎さんという脳科学者の方に、「やる気は必要ない」というエッセイがあります。
茂木さんは「どうしたらやる気がでますか」という質問を受けたときには、「やる気は必要ありません!」「やる気がでないのを、言い訳にしないでください!」と答えるそうです。少し引用します。
……もちろん、「夢」はあった方がいい。「目標」もあるにこしたことがない。しかし、日々の仕事、営みにおいては、「やる気」は必要ない。むしろ、淡々と、フラットに、アップもダウンもなく、続けていく方が良い。(中略)
毎朝起きて、今日もまた淡々と作業をする。その過程で、「やる気」という、特別なものは必要ない。むしろ、常に、「今、ここ」に没入して目の前のことをこなしていくのであって、それ以上でも、それ以下でもない。
逆に言えば「やる気」がでないという人は、それをやらないことの言い訳にしているにすぎない。
たしかに、一流スポーツ選手の練習風景を思い浮かべてみると、いつも目をキラキラさせているという印象ではなく、やるべきことを淡々と、粛々とやっている印象です。(たとえば、イチロー選手)
最後に精神科医の斎藤茂太さんの言葉をご紹介します。題して「グズをなおせば人生はうまくいく」。
……そもそも「やりたくない」気持ちが、後になって「やりたい」気持ちに変わるわけではないのだから、 時間があるうちにすぐにやってしまったほうが、 いつまでも「早くやらなくては」 という気持ちを引きずるより、 じつはずっと楽なのである。 ……
では、今日も「やる気」など気にせずに、目の前のことに取り組みましょう。
↓茂木さんの「アハ!体験」の本です。