NHK「サラメシ」に学ぶ
NHKの「サラメシ」という番組があります。
一般の方の昼食の様子を取材して、
中井貴一さんのナレーションとともにお送りする、といった番組です。
何曜日かの午後7時のニュースの後にやっているのを時々見ていましたが、
日曜の朝にも放送があっていました。
この番組、他の人のおいしそうなお昼ご飯を拝見する番組です。
お弁当や社員食堂や行きつけの外食屋さんのメニューなどを見るだけでも、
グルメ番組みたいでおもしろいです。
しかし、それ以上に興味があるのは、
昼食を挟んだ、人それぞれの仕事の内容、仕事っぷりや苦心談、
さらには職場の仲間や雰囲気、支えてくれる家族の方の様子など、
いろいろな見どころがあるのです。
今朝も、いろいろなお昼ご飯が出てきました。
その一つが、長野県のバス会社のバスガイドさんたちのお昼ごはんでした。
この春に高校を卒業して入社した方から、10年目ぐらいの方までが登場しておられました。
バスガイドさんというと、きれいな声で、歌も歌えて、もちろんいざというときは運転手さんをサポートしてバスの誘導などもしなくてはならないと思いますが、
なんといっても観光地の案内が私たちの旅の楽しみです。
そのためには、たくさんの知識が必要と思いますが、
(私が以前利用したバスでは、ガイドさんがCDのスイッチを入れて、案内はCDがしたことがありますが)
バスガイドさんたちの陰でのご苦労を初めて知りました。
このバスガイドの皆さんは、市販の一般的なガイドブック等をそのまま使ったり、覚えたりするのではなくて、
全部自分のノートにまとめ直しておられました。
そうすると、自分の頭の中にも整理されて、入りやすいのだというのです。
まるで受験勉強といっしょですね。
今年8年目という方のノートが紹介されていましたが、
なんと100冊に上るそうです。
100冊!
それはそうですね。
考えてみれば、長野県内や近辺の案内だけでなく、
他県へのバス旅行もあるでしょうし、東京など遠方へのバスツアーもあるので、
バスで案内する可能性のある場所すべてのノートを準備していったら、
100冊にはなるということですね。
ベテランの(といってもまだ20代半ばですが)先輩たちが勉強してノートを作っている姿を見て、
入社まもない後輩の方は、
「はぁ〜ってなりました。もっと(勉強しなくちゃいけない)かぁって」
と言われてました。
そのほかにも、ガイドさんたちにいろいろインビューがされていました。
コロナ禍による自粛で自宅待機になった時は、
「最初はやったーと思いました。好きなだけ寝れるぞって」
と笑顔で言われていました。
しかし、すぐにいつから仕事が始まるんだろうと不安になったりしたそうです。
「いつでも旅行に行けるという時代じゃないんだ、と思うようになりました。
この旅行をしたら、次はいつ旅行できるかはわからない。
そう思ったら、この旅行を精いっぱい楽しいものにしたいと思うようになりました」
そう言って、手書きのメッセージカードを作ったり、
個人用に配布する容器にアルコールをつぎ分け、「ありがとう」のシールを貼ったりしておられました。
大人数での旅行が難しいならと、バスガイドさんたちで話し合って、
オリジナルの女性一人旅のツアーの企画を社長さんに提案されたりもしておられました。
私からみれば若い、学校から社会に出て数年の方々が、一生懸命仕事に取り組んでおられる姿に元気をもらいました。
これまで、キャリア教育の一環で、NHKの「プロジェクトX」や「プロフェッショナル」を
授業で生徒たちに見せてきたことがありましたが、
この「サラメシ」も身近に感じられるキャリア教育の参考になるかなと思いました。
入社を機に一人暮らしを始めて、お弁当作りに挑戦しているという方が、
「ちょっと焦げちゃったんです。1回練習して、その時は上手にできたんですけど」と卵焼きを頬張る姿や
「食べるのが遅いので、お弁当箱は小さくしてます。
仕事先で遅くなって『居残り給食』みたいだねなんて言われちゃうので」
という方もいらっしゃり(横の方が「ゆっくりでいいよ」と声をかけていらっしゃいました)
微笑ましい光景でした。
私たち本校教員は、毎日牛深給食センターの皆さんが丹精込めて作ってくださる給食を
おいしくいただくことができて、幸せに思います。
写真は、日本列島味の旅「江戸両国のちゃんこ鍋」です。