避難する時に
昨日は、天草市に届いた「爆破予告」のため、
市教育委員会の指示を受けて、一時避難をしました。
予告時刻をはさんで給食後の45分間、屋外で避難、待機しました。
前日から私たちは対応の準備に取りかかりました。
まず、給食センターと連携しながら、当日の特別日課を協議しました。
給食センターのご協力で、通常より1時間以上早い給食実施としました。
翌日試合に参加する部活動もあるので、部活動の時間は確保し、
万一に備えて、日没前にスクールバスでも下校できる日課としました。
避難場所については、一時避難とはいえ、45分間の長い避難であり、苦慮しました。
職員の車も校舎周辺には駐車できません。
校舎から離れた場所として、野球部のブルペン付近を想定しました。
前日は雨天でしたので、当日午前に天候、グラウンドの状態などを考慮して、最終決定することとしました。
45分間の待機の仕方については、全校生徒の健康状態を最優先する必要があり、
また、天候や気温のことも配慮しなくてはなりません。
当日朝まで職員からいくつかの意見がありましたが、最終的には、屋外で座って待機することとしました。
急な対応を迫られ、職員の協議の時間も十分には取れませんでしてが、先生たちも本当によく協力してくれました。
その中で、
「どうせ大したことはないだろう」
「自分たちの学校に限って」
という「正常性バイアス」を働かせることなく、
危機対応をどうすべきか真剣に考え、
生徒たちと共にやってみようと先生たちが言ってくれ、共通理解することができました。
当日朝、避難の際には帽子と水筒を必ず持つようにと、確認をしていた時です。
朝の会で連絡を終えた先生から、相談がありました。
「自分の大事なものを持って避難したい、と生徒から申し出がありましたがいいでしょうか」
その大事なものとは何か尋ねると、
「野球のグローブです」
ということです。
命と安全を守るために避難するのですが、
「日頃から大切にしているものを校舎に残して行きたくない」
という気持ちは、とてもよくわかるものです。
私は、ハッとしました。
日課や避難場所など全体的な動きのことばかりに考えが行き、
一人の人として差し迫った危機から自分を守るという
「自分ごと」としての思いが足りなかったのではないかと思いました。
生徒の「気づく力」のおかげで、
危機対応に当たってとても大事なことを学びました。
「自分の管理の元、持ち出したいものは持って避難してもよい」
給食の時間に放送で連絡をしてもらいました。
ブルペン付近に避難・点呼の後、
校長住宅脇の階段に腰を下ろして、生徒たちは整然と待機してくれました。
持ち出したグローブをはめて、
じっと見つめている生徒の姿もありました。
45分間の屋外での避難、待機は短いものではありませんでしたが、
この経験も、決して徒労ではなかったと思ったことでした。
保護者の皆さんにはご心配をおかけしましたが、
急な日課の変更などの対応にご理解をいただき、ありがとうございました。