藤井聡太くんの涙
高校3年生の藤井聡太くんが、将棋の棋聖というタイトルを獲得されました。
テレビ等でもたくさん報道されています。
その中で、小学校に入学する前ぐらいの小さい時に公開対局をした時のVTRがありました。
かわいい羽織袴姿ですが、負けてしまった藤井くんは、泣きじゃくっていました。
17歳の今は、負けて泣きじゃくることはないでしょうが、藤井くんの涙について、師匠の杉本八段が話をされているのが目に止まりましたので、引用させていただきます。
……(聞き手)――私が最初に会った時彼は負けて泣いていました。弟子になってからは泣いたことはあるんですか。
杉本 私に弟子入りしたのは小学4年生で、その頃には落ち着いてきて泣くことはありませんでした。
研修会の指導では4枚落ちから飛車落ちまで指しましたが、弟子入りした後に多面指しですが平手で指したらいきなり負けちゃったんです。そしたら藤井は当然という顔をしてましてね(笑)。
そうだ、1回だけ泣いたことがあります。学業に専念するため奨励会を辞める決断をした弟子がおりまして。最後に一門の研究会に彼がきたので誰と指したい?って聞いたら藤井と指したいってね。
私を指名すると思っていたんですけど(笑)、わかったと藤井と指させたんですが、対局中に彼が泣き出しちゃったんですよ。
とても将棋が好きな子でしたから気持ちは痛いほどわかります。
そうしたら藤井も泣き出しちゃってね。
藤井が泣くのを見たのはそれが最後です。……
この時の相手の方は、今も大学の将棋部で活躍されているそうです。
自分のことでなく、相手のことで泣いたのが最後だったというのが、いい話だなと思いました。
文春オンライン 藤井聡太七段の師匠・杉本八段が明かす“東海の師弟物語”「永瀬さんは名古屋の終電に詳しくなった(笑)」
また、同じインタビューで、杉本八段はこういう話もされています。
…… 杉本 藤井は育てやすい、手のかからない弟子だったですね。自らしっかりと学んでいくので、邪魔しなければいいだけかなと。師匠って結構邪魔しちゃうことがあるんですよね。良かれと思ったことが逆効果だったりとか。藤井は邪魔さえしなければ必ず強くなってくれると信じていましたから。
私も生徒たちの邪魔をしないようにしたいと思います。