言葉は時代とともに
先日、「国語に関する世論調査」の結果について、文化庁が発表していました。
私は以前国語を教えていましたので、この調査の記事などは興味があります。
よく授業やテスト問題でも使わせていただきましたが、
今回も、本来の意味とは違って(誤解して?)使われている言葉について、質問がされています。
ちょっとチャレンジしてみてください。
次の言葉の本来の意味は、ア、イのどちらでしょうか?
①手をこまねく
ア 準備して待ち構える イ 何もせずに傍観している
②敷居が高い
ア 高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい イ 相手に不義理などをしてしまい、行きにくい
③浮足立つ
ア 喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている イ 恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている
本来、次の意味で使われる言葉はア、イのどちらでしょうか?
④「今までのことを改め、最初から始めること」
ア 新規巻き返し イ 新規巻き直し
⑤「前に負けた相手に勝つこと」
ア 雪辱を晴らす イ 雪辱を果たす
いかがでしょうか。
正解は
すべて、イでした。
調査による正解率は順に
①37.2% ②29.0% ③26.1% ④42.7% ⑤38.3% とのことです。
私は②③④は、よくわかりませんでした。
調査でも③浮足立つ には苦戦したようで、4人に1人しか本来の意味が答えられなかったようです。
(朝日新聞デジタル から)
ただ、言葉の意味や使い方は時代の流れによって変わっていくものなので、
一概に、正しい・誤りだ、良い・悪い、とは言えないものだと思います。
また、最近よく「◯活」、「◯◯ハラ」という言葉がどんどん増えているようです。
どちらの言葉も5割以上の人が「自分は使う」として答えていて、一般に浸透していることがわかったそうです。
新しい言葉も増えているのですね。
「SNSの普及で寛容に? 国語「乱れていない」30.2% 調査開始以来最も高く」という記事によると、
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今回の調査では、国語が乱れているかどうかについての認識も尋ねた。
ほぼ5年置きに設けられる質問だが、「乱れていると思う」は前回の2014年度と比べて7・1ポイント減の66・1%まで減少し、
逆に「乱れていないと思う」は6・7ポイント増の30・2%と調査開始以来最も高くなった。
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ということです。
このことについて、同記事では
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文化庁の担当者は
「SNS(ネット交流サービス)の広がりによって誰もが表現する時代になり、
多様な言葉に触れることで新しい使い方に寛容になってきているのではないか」
と推測している。
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と締めくくっています。
確かにSNSの普及で、以前にも増して文章を書いたり(打ったり?)、
読んだりする機会はむしろ増えてきています。
多様な言葉の「新しい使い方」に寛容になることは、
悪いことではないかもしれませんが、
言葉の感覚が雑になったり、
心を込めなくなったりしないならいいな、と思いました。