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校長室ブログ 今日の東天

「藤井聡太二冠、高校を自主退学」について

将棋の藤井聡太二冠が卒業を3月に控えて、

自主退学したことが報道されました。

 

藤井聡太王位が1月末に高校自主退学 「将棋に専念」 秋に決断

 

藤井くんは、名古屋教育大学附属中学校から、同附属高校に進学されていました。

そもそも、中学3年生の時に鮮烈な連勝記録を打ち立ててデビューしていた彼は、

高校に進学するのか?と言われていたぐらいですので、

やっぱり高校の学業と一流棋士との両立は難しかったのだな、と言えば

それで話は早いのですが…。

 

 

私は将棋が好きで、よく観戦するのですが、

藤井さんの強さは並大抵ではないですね。

弱冠18歳で、他の先輩一流棋士に

「どんな将棋だって、相手が藤井くんなら負けたって仕方ないかな」と

思わせているようです。

 

さて、冒頭のニュースを見て、私は二つの感想を持ちました。

 

まず、高校の授業がつまんなかったのだろうな、ということです。

藤井くんといえば、

中学校の時に宿題を出す先生に

「授業中に理解しているのに、

なぜ、わざわざ家でまた勉強しなくてはいけないのですか」と質問して、

当の先生が言葉に詰まったというエピソードがある人です。

想像ですが、大学入試に照準を合わせた進学校の授業は、

つまらなかったのではないでしょうか。

 

本校では、ただ量をこなすだけの課題ではなく、

各自が確認テストの目標を持って家庭学習を行う

「苓南タイム」に取り組んでいるところです。

 

二つめ。

18歳で、学校を辞めてまで打ち込める道を持って、

確信して進めるのはすごいなということです。

中学高校のクラスメイトや学生生活を離れてまでして、

「一層精進していく所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます」

と言い切っていますね。

本来、趣味にする人が多い将棋というボードゲームを

一生の仕事にして大丈夫かなと思ったりしますが、

趣味はパソコンの組み立てだそうですから、

私などとは頭脳の仕組みが違うのでしょうね。

 

ただ、私が好きな棋士の一人、

糸谷哲郎八段は、

棋士になってから大阪大学に進学し、

同大学院まで卒業して、将棋も八段までになりました。

 

スーパーな頭脳も、いろいろなタイプがあるのでしょう。

生徒の皆さんも3年後までに、

「一層精進していく所存です」と集中できる道を見つけられるでしょうか。

【ローソン×糸谷哲郎八段】本を読み、哲学する心地よさ――糸谷哲郎八段の素顔(PM3時の棋士たち)

中学新入学の頃

昨日は、本校の新入生説明会でした。

本校の説明会は、

ほとんどが生徒会と部活キャプテンによる説明です。

「先輩」として恥じないよう、

気合を入れて準備していました。

生徒会としては最初の大きな出番でした。

プレゼンを工夫して、堂々と説明ができました。

まだまだ改善点も見えましたが、

合格点だったと思います。

皆さん、お疲れ様でした。

 

さて、私の中学新入学は、なんと昭和48年のことです。

どんな時代だったか調べてみると、

オイルショックでトイレットペーパーが不足する騒動があった年でした。

映画では、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」、芸能界では百恵ちゃんたち「花の中3トリオ」が人気だったようです。

 

その時、中学校に入学して、私が驚いたこと。

まず一つめ、給食がなく、弁当だったこと。

学校でパンを買うこともできました。

毎朝、日直がパンの予約注文を取って、校内の売店に注文票と集めたお金を持って行き、

4時間目が終わったら、売店にパンの入った箱を取りに行っていました。

二つめ、中学校が遠くなったこと。

今、Googleマップで調べてみると、2.3km30分弱と出ます。

小学校に比べると、距離は約4倍になったことになります。

当時は、まだまだ遠かった印象がありました。

40分ぐらいはかけて、帰りは寄り道しながらテクテク歩いていた記憶があります。

三つめ、カバンが重くなりました。

当時は手提げの皮製の「学生カバン」でした。

教科書が厚く重くなったので、取手が手に食い込んでいました。

学生カバン、今でもあるのですね、

このような物です。

また、当時はシャープペンはあったには、ありましたが、

一般的ではなかったので、

小学校では、マンガがプリントされたえんぴつを使っていたのですが、

中学校に入ったら、学生っぽい、かっこいい

MONOを買ってくれたと思います。

ネットを見ると、このような画像がありました。

このようなかっこいい透明のケースに入っていたのです。

あとは、制服が重かったこと、

部活の先輩がとても大人に見えたこと、

定期テストで順位が張り出されてびっくりしたこと、

などなどいろいろありました。

教科書が白黒だけで(最初の数ページはカラーの口絵でした)、文字は小さく、厚くなり、

「数学」などとある教科書を広げるだけで、

頭がよくなったような気がしていたものです。

「中学校の教科書」には、入学前から憧れていて、

6年生の時、近所の高校生の玄関前に、

中学校の国語の教科書が

ヒモでくくって、ちり紙交換?に出されていたのを見つけて、

頼みこんでもらってきて、読んでみた覚えがあります。

その時読んだ教科書に「魔術」という、芥川龍之介の短編小説が載っていました。

ラストのどんでん返しは、よく覚えています。

光村図書のホームページで調べてみたら、

昭和41〜43年に使われていた、中1のこの教科書だということが分かりました。

1年生の皆さんがこの頃学習した、「少年の日の思い出」も載っています。

(テスト勉強頑張ってください)

東小の6年生の皆さんも、お兄さんやお姉さん、

中学生以上の知り合いがいる人は、

どの教科でもいいので、

中学校の教科書をちょっと見せてもらっては、どうでしょう。

今読んでみて、面白そうだなと感じた教科は、

中学校に入っても得意教科になることだと思います。

現在の中1の国語の教科書はこれです。

大きく、カラフルになっています。

 

午前5時のニュースの言葉から

一昨日、土曜日の午後11時過ぎに、福島県沖で地震がありました。

最大震度6強、ということで、

10年前の震災の時よりも、強い揺れが感じられたという所もあるようです。

被害を受けられた方には心からお見舞い申し上げます。

 

私は後でSNSで知ったのですが、

一夜明けようとした、

昨日の早朝午前5時のNHKニュースの冒頭、

アナウンサーの方が言われた言葉が話題になっていました。

 

ほとんど眠れなかった方、

早く目覚めてしまった方、

ともにお疲れのことと思います。

日の出まで、あと1時間ほどになりますけれども、

できるだけ安全な場所で、

少し目を閉じながらでもかまいませんので、

最新の情報をお聞きいただければと思います。

 

とても優しい言葉だと思いました。

NHKのアナウンサーの方は、

これまでも災害の報道の際に、このような言葉を語りかけておられます。

いわゆるアドリブで話されているのでしょうか。

ニュースの内容とは違った、

前置きの短い言葉ではありますが、

私もこのように言葉が遣えるようになりたいと思いました。

(写真はTwitterから)

渋沢栄一「蟹穴主義」について

今夜からNHK大河ドラマ「青天を衝け」が始まるそうです。

主人公は新しい一万円札にも肖像が描かれるという、

渋沢栄一さんです。

 

渋沢栄一さんは、「日本資本主義の父」と言われる方だそうです。

渋沢栄一 記念財団HP を見て、生涯をまとめてみます。

 

*****

渋沢栄一は1840(天保11)年2月13日、(181年前ですね)

現在の埼玉県深谷市の農家に生まれました。

郷里を離れた栄一は一橋慶喜(のちの十五代将軍)に仕えて実力を発揮し、

次第に認められていきます。

27歳の時には、パリの万国博覧会を見学するほか欧州諸国を訪れたそうです。

明治維新となり、「商法会所」を静岡に設立、

その後明治政府に招かれ大蔵省の一員として新しい国づくりに深く関わります。

1873(明治6)年に大蔵省を辞した後、栄一は一民間経済人(「第一国立銀行」の総監役・頭取)として活動をスタートしました。

栄一は株式会社組織による企業の創設 ・育成に力を入れ、

「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業に関わったといわれています。

また、約600の教育機関 ・社会公共事業の支援並びに民間外交に尽力し、

1931(昭和6)年11月11日、91歳の生涯を閉じました。

*****

 

500の企業、600の教育機関、社会公共事業、民間外交に関わるとは、すごい人ですね。

東京ガス、東京海上火災日動、いすず自動車、日本赤十字社、一橋大学などにゆかりがあるようです。

また、説き続けた「道徳経済合一説」とは、

大正5年(1916年)に著した『論語と算盤』に詳しいそうです。

私は中田敦彦さんの「YouTube大学」で知りました。

 

……幼少期に学んだ『論語』を拠り所に倫理と利益の両立を掲げ、

経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにする為に、

富は全体で共有するものとして社会に還元することを説くと同時に、自身にも心がけた。

(Wikipedia から)

 

この「論語と算盤」に出てくるのが

「蟹穴主義」 です。

 

渋沢さんは、大意、次のように述べられているようです。

 

「世の中には随分自分の力を過言して、非望を起こす人もあるが、

余り進むことばかり知って、分を守ることを知らぬと、

飛んだ問違を惹き起こすことがある。

私は蟹は甲羅に似せて穴を掘るという主義で、渋沢の分を守るということに心掛けてる」

 

「これでも今から十年ばかり前に、ぜひ大蔵大臣になってくれだの、

また日本銀行の総裁になってくれだのという、交渉を受けたこともあるが、

自分は明治六年に感ずるところがあって、実業界に穴を掘って這入ったのであるから、

今更その穴を這出すこともできないと思って、固く辞してしまった」

 

「実際人はその出処進退が大切である。

しかしながら分に安んずるからといって、進取の気象を忘れてしまっては何もならぬ。

つまり分に安んじて進むのがよかろうと思う」

 

これが、「蟹は自分のからだに合わせて、穴を掘る」

という言葉による、「蟹穴主義」だそうです。

 

自分ができること、自分の得意なものを極めて、社会に貢献すること。

そしてそのことを自分の喜びとすること。

 

そういったことを大事にされていたようです。

とはいっても、

渋沢さんの蟹穴hsものすごく大きい穴だったようですが。

 

不要不急の外出を避けて、部屋にいる時間が長くなると、

ここが自分の蟹穴かな、などと部屋を見回しているところです。

 

参考資料

蟹穴主義が肝要

⑤道徳と経済と成功と幸せ【蟹穴主義】

 

名著「失敗の本質」拾い読み

 

昨日ふれた、名著「失敗の本質」に関して、もう少し述べたいと思います。

 

「失敗の本質」は日中戦争、太平洋戦争における日本軍の「失敗」について分析している本ですが、

その「本質」を見てみると、現代でも参考になる点があるように思います。

 

ネット記事の「なぜ、今『失敗の本質』なのか? これから読むための7つのヒント

は、4年前に書かれていますが、「現代日本に共通する5つの弱点」について、

次のように解説してあります。

 

(1)あいまいな目的、さらに失敗を方向転換できず破綻する組織


(2)上から下へと「一方通行」の権威主義

 

(3)リスク管理ができず、人災として被害を拡大させる


(4)現実を直視せず、正しい情報が組織全体に伝達されず悲劇を拡大する


(5)問題の枠組みを新しい視点から理解できない

 

一庶民の私が思い当たることもいくつかありますが、少し挙げてみます。

 

(1)について

感染拡大防止とGO TO、2つの相反する目的をいっしょに達成させようとしたのでしょい。

また、GO TO の中止や緊急事態宣言について、もう少し早い判断はできなかったのでしょうか。

 

(2)について

今言っても仕方ありませんが、1年前のことを思い出すと、

前首相の一声での全国一斉臨時休校、効果とリスクについて情報や意見は検討されたのでしょうか。

また、最近、ある大きな会の長が「会議は長くならないように(女性は)わきまえろ」

という考えであることも分かりました。

「わきまえ」というと大人の対応ですが、

言いたいことはつまり、自分に忖度しない者は使えない、と思っているということでしょうか。

 

(3)や(4)について

正しく迅速な状況把握と情報収集からの、リスクの予測と管理が必要ではないかと思います。

コロナ禍の中では難しいことも多いと思いますが、

医療現場を一度でも訪れて現状を目の当たりにした政治家が、

何人ぐらいいらっしゃるのでしょう。

「仮定の質問には答えを差し控える」と言ってはいけない気がします。

また、本書では「兵站の軽視、楽観」も指摘されています。

それとは少し違うかもしれませんが、

薬液が残ってしまう、もったいない注射器を大量に準備していたニュースなど、

ワクチンの準備等は大変なお仕事でしょうが、「今分かったのかな」と少し残念な気がします。

 

(5)については、私たち学校でも大切なことで、学校生活や教育課程など、さまざまな見直しが迫られています。

「目的の達成につながらない目の前の勝利」という言葉も出てきます。

全体のゴールや戦略が重要だということのようです。

 

学校でも、政治や経済などのせいばかりにせず、

できるだけ先を見通しながら、対応していかねばと考えています。

 

 こちらの解説も読みやすいと思います。

「超」入門失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ