ブログ

校長室ブログ 今日の東天

「調整型のリーダー」に「?」

「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は、女性を蔑視する発言をした責任を取り、会長を辞任する意向を周囲に伝えた」

と報道がありました。

森喜朗会長が辞意 12日表明へ 女性蔑視発言で引責

 

すでにいろいろな人が、いわゆる「女性を蔑視する発言」や「逆ギレ会見」について

発言しておられますので、

今さら私が言うことはありません。

 

しかし、「責任を取って辞職する人が、後任を指名する」という、ちょっと理解できないことがあり、

パソコンを開きました。

2つの疑問を感じました。

 

まず、今朝の朝日新聞に掲載されていた記事です。

あるJOC関係者が、大企業トップや女性が候補としてあがったという後任選びについて、

「五輪に否定的な声がある中、開催にせよ、中止にせよ、大きな決断が迫られる。

今後がある人はそういう大きな決断に責任を持つのは難しいだろう」

こういう意見が交錯する中での、日本を代表する組織のリーダー選び。

このような感覚でいいのでしょうか。

私は、「では、大きな決断は『今後がない(先が短い?)』人に任せるのか?」

とはなはだ疑問に感じます。

難しい局面に直面しているからこそ、

明晰な情報分析ができ、今後の展望を持てる、

決断力のあるリーダーが必要ではないでしょうか。

 

次に、今朝のテレビ朝日のニュース番組で、

後任候補の川淵三郎さんが取材に答えていた内容の一部です。

大意ですが

「断ろうと思って(森さんのところに)行ったんだが、

もうすでに外堀は埋められてしまっていた」

という意味のことをおっしゃっていました。

この場合の「外堀が埋められる」とは、

周囲や関係者への「根回し」が済んでいるということでしょう。

そして、

「周りはみんなあなたの就任に賛成。

あとはあなたが『はい』と引き受けるだけだ。

あなたが『はい』と言わなければ、みんなが迷惑するし、私のメンツがつぶれる。

さあ、どうしますか」

ということではないでしょうか(実際に森さんがこう言ったというわけではありませんが)。

 

これが日本の「調整型リーダー」というものではないかと思います。

米国のマスコミ報道でも

「日本では政治家が水面下で動き、

観測気球を上げて様子を見ながらことを進めるのは常」

と言っているそうです。

 

この進め方では、判断までの経緯や理由、そしてその責任が曖昧になります。

名著「失敗の本質」(野中郁次郎 他)

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

「空気の研究」

「空気」の研究 

などでも述べられていることではないでしょうか。

私は「調整型リーダー」をすべて否定するわけではありませんが、

もう違う形の真のリーダーが必要だと思います。

 

森さんの業績などを評価し、擁護する声も多くあるようですが、

私が今回の件で感じたことについて、書いてみました。

皆さんはどうお考えですか。

(写真は毎日新聞から)

緑に萌える権現の

今朝の朝日新聞に、次のような記事がありました。

 

「豪州国歌、young→oneに 先住民へ敬意込めた歌詞に変更」

シドニーで1月に行われたクリケットの国際試合の前に、

ミュージカル俳優のステファニー・ジョーンズさん(27)がその歌詞の変わった国歌を歌ったそうです。

 

*****記事から引用

(変えられた歌詞は)

「We are one and free」(私たちは一つで自由だ)。

歌詞の1番の2行目で、

昨年末までは「We are young and free」(私たちは若くて自由だ)だったところだ。

*****

 

なぜこのような変更が行われたのか、記事ではこう続きます。

 

*****
英国王を元首とする豪州は1901年の豪連邦成立以来、

英国の国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」を国歌としてきたが、

1984年にいまの国歌「アドバンス・オーストラリア・フェア」に変えた。

ただその歌詞は、1788年の英国の入植開始以降の歴史を反映した内容で、

6万5千年以上前から住む先住民の多くの人々にとって、特に「若い国」という表現は受け入れがたいものだった。

歌詞を変えよう、という運動は2006年に有名歌手らが始めた。

*****

 

つい40年ほど前まで、オーストラリアの国歌がイギリス国歌だった、ということも初めて知った次第ですが、

変更になった当日、今年1月1日の同紙の記事には、こうあります。

 

*****

モリソン首相は

「豪州は近代国家として比較的若い一方で、先住民たちの多くの物語は古代からある。

国歌がこの真実を反映することが正しい」とした。

どうして今、変更するのかについては、

未曽有の森林火災と新型コロナウイルスに見舞われた昨年に国民が一致協力して対応したとして、

「この偉大な団結が国歌でも、よりしっかりと確実に反映される時だ」と説明した。

*****

 

国歌は国の象徴のようなものでしょうから、オーストラリアのこの決断はうなずけるところです。

 

さて、本ホームページのサブタイトルは

「東天高く 藍より青く」

は、本校校歌の一節を取ってあります。

 

一番の「東天高く 六郎次」と

三番の「藍より青い苓南の」です。

この一節をはじめ、本校校歌は、久玉中と深海中が統合して本校が誕生した時の、

高い理想を表した素晴らしい歌詞だと思います。

 

その一番は

「緑に萌える権現の」

と続きます。

 久玉で愛されてきた歴史のある、権現山が登場します。

(権現山が古来どのように親しまれてきた歴史があるのかは、

先日、心の相談室の榎田先生の旦那さまが来校された時に、詳しく教えていただきました)

 

特に、本校の先輩方有志の「権平会」の皆さんが

桜を植えるなど、美しく保ってこられてきたと聞きます。

(由美かおるさんの記念植樹もあるようです 「天草探見」から)

 

先週、その権現山に本校2年生が立志登山し、

ボランティア活動で清掃させていただきました。

 

牛深東の地元の皆さんや先輩方の志を継ぐという意義も込めて、

短い時間ではあるましたが、汗を流してきれいにました。

 

この様子は、熊日新聞にささやかながら紹介していただきました。

ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

山口くんの頼もしい立志の決意も掲載されていました。

ちなみに写真はNIE(教育に新聞を)担当でもある、

丸山先生の撮影したものです。

 

先週土曜日に掲載されたこの記事のおかげで、

たまたま、今週はたくさんのお客様が

校長室に見えているのですが、

皆さんから口々に、生徒たちを褒めていただいています。

 

昨年度から始めたこの立志登山も、

本校の新しい伝統として受け継いでいってほしいと願っています。

★2年生 立志登山 ~権現山へ登る~(2021/2/4)

2年生の権現山への立志登山が、熊本日日新聞で紹介されました(2021/2/6)

 

マック思考とスタバ思考

日本マクドナルドが9年ぶりに最高益を更新したそうです。

企業として、コロナ禍の中の需要に対応したということでしょう。

昨日のこの欄では、なぜかカフェ(喫茶店)についてに話が長くなりました。

今日はそこからの、マック(マクドナルド)とスタバ(スターバックス)に関する話に進みたいと思います。

 

以下、 仕事が早く終わる「スタバ思考」と、終わらない「マック思考」 吉田幸弘 

 を参考、引用させていただきます。

 

吉田さんは、

マックは「ムリ・ムラ・ムダ」を削るために業務の仕組みの改善に取り組み、

「細かな作業までマニュアルでしっかりと定め、いかにスピーディにムダのない動きで対応するかを重視」していると言います。

たしかCMで流されていた「スマイル=0円」のスマイルでさえ、マニュアルどおりが求められるのですね。

 

*****

マクドナルドは回転率を重視しているので、ある意味、仕方ないのですが、

当然マニュアルにない商品はつくりません。

フライドポテトに塩味たっぷりでとか、

特別料金を出すからダブルフィッシュバーガーをつくってくださいなんてことはできません。

マニュアルに書かれていないことはやってはいけない。

そう徹底することで、スムーズに業務を進めることができるのです。

*****

 

 

しかし、スタバの流儀はこれと対照的だと言います。

 

*****

スターバックスでは、マニュアルは定められているものの、

スタッフ一人ひとりが自分で考えて動くことを認められています。

メニューにないコーラやスプライトを出してもらうことはさすがにできませんが、

ティーラテのミルクの量を調節してくれたり、コーヒーに蜂蜜を入れてくれたりと、特別な注文にも応えてくれます。

紙コップに「Have a good day!」などとメッセージを書いてくれることもあります。

(中略)

お客様一人ひとりと向き合ってくれる分、効率が悪いように思うかもしれませんが、

その姿勢だからこそ、多くの人に愛され、人気を保ち続けているといえるでしょう。

*****

 

 

たしかに「スタバでやってくれるおいしい追加サービス」といった特集を見たことがあります。

よく覚えてはいませんが、私もその記事を読んで、

「バニラとシナモンパウダー追加」か何かを頼んだことがあります。

 

記事ではここから

マクドナルド流の接客に見られる「マック思考」、

スターバックス流の接客に見られる「スタバ思考」に言及します。

 

*****

「マック思考」はマニュアルを厳守し、ムダをいっさいつくらないというものです。

仕事時間を減らすには一見、効果的なように見えますが、

考えることをしなくていいので、「もっと他にいいやり方があるのかもしれない」と思っても、

「マニュアルにはこう書いてあるから」と、採り入れることはしません。

いわゆる、ただ「仕事をこなす」状態です。

言い換えると、常にマニュアルありきで、状況に応じて対応を変えることができない分、

マニュアルにない仕事は手間も時間もかかってしまうということです。

そのため、結果として仕事時間が増えていってしまいます。

*****

 

私の立場で言うと、

熊本地震やコロナ禍で、従来の規定のマニュアルや予定、計画が

通用しなくなってしまった時、

このマック思考だけでは立ち往生してしまうように思います。

 

では、一方の「スタバ思考」はどうでしょう。

 

*****

一方、「スタバ思考」は1件ずつ、仕事の内容や相手に合わせて

満足をしてもらえる方法を考え、ていねいに仕事をするというものです。

「1件1件考えて仕事をすると、時間もかかって大変ではないか」

と思う人もいるかもしれませんが、それはむしろ逆です。

「この相手にはこういう対応をしたら満足していただけるかな」

「この仕事は、こういうふうに取り組んだらスムーズに回せそうかな」などと考えることで、

その仕事、相手に適した対応をすることができ、

クオリティが高くなるうえに、ミスも起きにくくなるため、

実は仕事時間が増えることはありません。

 *****

 

端的に言うと、「お客様の満足のため」という筋の通った「臨機応変」ということでしょうか。

皆さんはこの2つの思考の流儀について、どう思われますか。

私は「スタバ思考」に一票です。

 

 

「マック思考」は、事前の計画からスタートするPDCAサイクルに近く、

「スタバ思考」は現状の見極めや気づきからスタートする「OODA思考」に近いと思います。

 

「OODA思考」は、もともと戦争の戦術から生まれたものですが、

私に言わせていただけば、

「気づき・考え・実行する」に通じるものです。

 

先日から話題にしてきた

「コンコルド効果」も、

「情報化社会での自己学習能力」も、

「スタバ思考」も、

私の狭い了見の中では、どこかでつながってくるのでした。

 

本校では毎日、OODAの訓練をして、

生徒たちの「気づき・考え・実行する」力を育んでいます。

写真は本校の誇る黙働掃除の様子です。

(Googleで「黙働掃除」で検索すると、全国の他校に混じって、この写真が20番目に出てきました)

本校生がスタバでのアルバイトするなら、即戦力になることでしょうね。

宮藤官九郎さんからのスタバ、コメダ珈琲店について

お気づきかと思いますが、私はプロレス鑑賞を趣味としています。

この頃毎週金曜日に放送が始まった、

「俺の家の話」というドラマは、

プロレスラーが能の宗家の後継ぎをするとかしないとか、

息子が父親の介護をするとかしないとか、

ヘルパーさんが財産目当てとかそうでないとか、

そういったドラマです。

プロレスのシーンが出てきたり、長州力さんをはじめとした懐かしいプロレスラーが出演したりされるので、

わざわざ録画してまで見ているという具合です。

 

ところどころ、シビアな問題や心の機微にもふれながら、

テンポよく会話が進み、

これまたところどころ、面白いギャグが織り込まれていたりします。

落ち着きのない私にとってはリズムが合う面があります。

これはひとえに、脚本の宮藤官九郎さんの個性によるところです。

「あまちゃん」や「いだてん」など、

テンポのいいドラマをよく書かれている脚本家さんですが、

いつか何かの記事で、

「あまちゃん」のシナリオは、

吉祥寺のスタバで書いている(パソコンを打っている)とおっしゃっているのを読みました。

 

作家や脚本家などという人は、

本をうず高く積んだ書斎で、原稿用紙にうずくまっているようなイメージでしたが、

そんなのは昭和の古いイメージであって、

今は原稿はパソコンでしょうし(タブレットかもしれません)、

場所はスタバでも不思議ではないかもしれません。

ただ、レポートやエッセイなどなら、

スタバや図書館の一角でも執筆できそうですが、

人気連続ドラマのシナリオが、

そのような半公共の場みたいな場所で執筆されているのは、

少し意外に思ったものです。

 

しかし、たしかに私も、学校のイントラネットを使う必要のある仕事は別として、

他の仕事であれば、

学校や自宅以外の方が集中できるということがあります。

 

今は牛深のアパートからほとんど出ませんので、仕方ないですが、

益城に帰った時は、

スタバやコメダ珈琲店にサーフェスを持参して陣取り、

仕事をさせてもらったりします。

(もちろん、スタバのキャラメルフラペチーノや

コメダの味噌カツサンドもお目当てですが)

 

昨年度の特別活動の研究発表会の報告資料づくりでは、

原稿の再構成や校正を担当しましたが、

夏休み中に、ほとんどすべての作業を熊本市内のコメダ珈琲で行いました。

 

雑踏のの中の孤独というのでしょうか、

人のいるほんの少しのざわざわ感の中で、

誰も自分に関心を払わないでいてくれる雰囲気が、

仕事をするのにちょうどいい緊張感があって、いいものです。

 

牛深には残念ながらその種のカフェがないのが残念です。

 

コロナ禍の中でなければ、保護者の方にも参観していただきたいほど、

本校の朝の教室は落ち着いています。

本校生徒が朝の「苓南タイム」で自学自習に集中しているのを見ると、

朝一番のこの教室も、このスタバとかの雰囲気に似ているのかなと思います。

 

(いつもお世話になっている、スターバックス熊本大江店と、コメダ珈琲店熊本桜木店です)

 

「是非もなし」光秀と信長に学ぶ

心しらぬ

人は何とも言はばいへ

身をも惜まじ

名をも惜まじ

 

ご存知、戦国武将の明智光秀の

辞世の歌と伝えられている短歌です。

 

私の心の中を知らない人は

何とだって言いたいなら言えばいい

私は命も惜しまないし

名誉も惜しまない

 

本能寺の変、今で言うクーデターの首謀者であり、

歴史上は主君信長への謀反人として語られる光秀です。

 

生前も、後世に謀反人の汚名を着せられることを予想していたのでしょうか。

この歌は、世間や後世の評価はどうあれ、

自分で決断して取った行動に

恥じることはない、という

武士らしい潔さとか覚悟を感じます。

 

また、逆に考えれば、

自分の心の中の本当の思いを

理解してくれる人(家族や臣下)が必ずいることを、

彼自身は確信しているようにも思えます。

私にもそんな理解者がいるといいのですが。

 

コロナ禍の一年を駆け抜けた麒麟、

大河ドラマ「麒麟がくる」が昨夜、最終回を終えました。

 

「是非もなし」とは、

光秀の謀叛を知った信長が、つぶやいたとされる言葉です。

「仕方がない」という意味でしょうか。

こちらも潔さを感じます。

また、光秀の最大の理解者は、結局信長だったかもしれない、

などと思いを巡らせると、

歴史を学ぶ興味は尽きないように思えてきます。

 

(写真はNHKから)

人と話したい「Clubhouse」について

 一人暮らしをしていると、

休日には終日家にいて、生きている人間とは、一言も言葉を交わさないということがあります。

会話のできるAIロボット(ペッパーくんやアイボなど)が話題になった当時、

こんなものをわざわざ買う必要があるのかな、と訝しく思ったものですが、

ここにきて、自粛生活も日常的になり、まだ売ってあるのかなと思っています。

 

先日、朝日新聞で

「『クラブハウス』で公開取材してみたら…気づけば3時間」

という記事が目に留まりました。

日本でも利用者が急増しているという、

音声型のSNS「Clubhouse(クラブハウス)」についてのレポートです。

 

クラブハウスってどんなものでしょう。

(これはゴルフ場にあるクラブハウス)

 

利用するには、iOS端末専用のアプリを入手し、

アカウントを持っている利用者の紹介を受けて登録することが必要……と紹介してあります。

さらに詳しく、記事から引用してみます。

 

*****

利用者同士のおしゃべりの場は「ルーム」と呼ばれる。

画面に表示される様々なルームの中から関心があるものを選ぶと、

そこでの会話の音声が流れてくる。

ただ聞いているだけでもよいし、ルームの主催者の許可を得れば発言することもできる。

 

規約では、利用できるのは18歳以上に限られ、実名で登録するよう求められている。

会話の内容は記録が残らず、録音や文字起こしは禁止。

クラブハウスで話された内容を主催者の許可なく公表することも禁止だ。

*****

 

色々なツールをよく考えるものですね。

Twitterのように文字による短いコメントの連発でもなく、

Instagramのように画像でも、TikTokのように動画でもないSNSなのですね。

会話や雑談に特化した「個人ラジオ局」と書いてあるものもありました。

たしかに、YouTubeが「個人テレビ局」なら、そうかもしれません。

文字や記録に残らないというのは、

気楽に参加しやすいようですが、逆に問題もありそうですが。

 

まさにクラブハウスというか、スナックか居酒屋に入ると、

何組かの常連たちが雑談しているので、

関心があれば、「ちょっと私も仲間に入れていただいていいですか」

などと言って入っていく感じでしょうか。

 

 記事は次のように続きます。

 

*****

芸能人や知識人らの会話をラジオのように気軽に聞けることもあり、

日本では1月下旬から利用者が急増した。

趣味や仕事、ライフスタイルなどをテーマに見知らぬ人同士が交流したり、

知人らとあえてオープンな場でおしゃべりしてみたり、

仕事のミーティングを公開してみたり

――と利用者は手探りで楽しみ方を模索している最中だ。

*****

 

記事ではこの後、大学の先生がルームを設定して、

面識のない有名人の人と会話を楽しんだり、

クラブハウスを使って取材をしたりしたことが続きます。

 

私がこの話題に触れて感じたことは、

人と直接対面せずに済む、

あるいは対面を避けて生活せざるを得ないような

「新しい生活様式」の中で、

人はやっぱり、人と話をしたいのだな、

関わりたいのだな、ということです。

 

たわいのない雑談でも、孤立するストレスの解消には、どれだけ有効か分かりません。

 

生徒たちも休み時間には楽しそうに、よくおしゃべりをしています。

密にならないように気をつけて、

友だちとのコミュニケーションを取ってほしいと思いました。

 

大事なのは「自己学習能力」→「気・考・実」

昨日の

大事なのは「読む」力

に続いて、今日も

国立情報学研究所教授の新井紀子さんの書かれた文章から、

気になったお話を紹介させていただきます。

 

新井さんは、

「これまでの入試は

『嫌なタスクであっても、頑張って乗り越える能力』

をテストしてきた面がある。」

と言われています。

端的な指摘ですが、

私などは自分自身、その「これまでの入試」をくぐり抜けてきた一人ですし、

「これまでの入試」への対策をずっと指導してきました。

ですから、この指摘は、「うーん」となってしまいます。

「入試で見られてきたのは、つまりは忍耐力だったのか」と思うわけです。

 

しかし、続けて

「それ(これまでの入試)は20世紀型の労働スキルと合致していた。」

と言われると、理解できます。

教育の目標の一つは、

経済が求める優秀な労働力を作り出すことなのでしょうから、

20世紀の工業化社会、大量生産の経済の中では

「忍耐力」や「堅実さ」などが重要だったように思えます。

極端にいうと、

「大工場の中で分担された仕事を、堅実に間違いなくこなしていくこと」とか

「残業をいとわず、バリバリ仕事をこなしていくこと」

などが連想されます。

 

ところが、現在の「情報化社会」では、

いかに情報を収集し、必要に応じて処理し活用していくことが求められていめす。

これは、どんな職業においてもそうではないでしょうか。

例えば教員にしても、

「チョーク一本、俺の話を聞け」

のような、私が長くやってきたような授業では、

社会や生徒のニーズには合いません。

ワークシート1枚作るのにも、

手書きで教科書や参考資料を写していた時代ではなくなっています。

 

インターネットによる情報は刻々流れ出していますし、

AIなどの先進技術も日々進化しています。

新井さんは

「21世紀は学び続ける能力が問われる」とし、

「自学自習能力を全員に身に付けさせることが必須」

と述べられています。

続けて

「が、自学自習とは何か、どの段階でどう身につけるかが、

実は指導要領にも明記がなく、トレーニング方法も確立していない。それが問題」

と指摘されています。

 

「授業と別建てで自学自習だけを教える教科は作っても意味がないので、

各科目の中で、トレーニングさせていくしかないのでは?」

 私もそう思います。

 

「『自学自習』を『好きなことを好きなように学ぶ』と勘違いする方もいるようですが、

たぶん機械との競争時代は、それでは不十分かと。」

新井さんは、人間の仕事を進化したAIに取って代わられる時代についての著書も多い方です。

この点は、withコロナの時代では、さらに加速するのではないでしょうか。

わざわざ外出して手を触れなくても、また人と対面しなくても、用が足りることは増えていますし、より身近になっています。

そこにはネットやAIが介在しています。

 

「むしろ『好き嫌いにかかわらず必要を認識して自学自習できるスキル』が求められるので、

義務教育でそのスキルを体系的に身に着けさせないと、格差は拡大する一方」

 

「与えられたことをがまんしてやる」

のではなく、

「必要なことを見極め自分で考え、工夫してやる」

ということかもしれません。

ここまで考えて、私は本校生徒の

「気づき・考え・実行する」力を育む学びの方向性は、間違っていないと思いました。

 

写真は、朝の苓南タイムで自学自習に取り組む本校生徒です。

 

大事なのは「読む」力

江川紹子さんのこの記事を読みました。

大事なのは「読む」力だ! ~4万人の読解力テストで判明した問題を新井紀子・国立情報学研究所教授に聞く~

以下、要点をまとめますと、

*****

新井紀子・国立情報学研究所教授は、

人工知能(AI)でロボットが東大に入学できるか、

という「東ロボくん」プロジェクトで知られる数学者だ。
今後、AIに多くの仕事が取って代わられることが予想されるが、

そういう社会にあって人が活躍の場を確保し、

より幸せに生きられるためのスキルとして、「読解力」に注目。
全国の学校、さらには社会人も含めて、

文章などの意味をどの程度正確に読めているのかを見る

リーディング・スキル・テスト(RST)を行ってきた。

すでに受験した人は4万人を超えた、という。

*****

「読む 学生 イラスト」の画像検索結果

このテスト(RST)では、

(1)主語・述語や修飾語など文の係り受けを理解する 
(2)「それ」「これ」などの指示語が何を示すか見つける 
(3)2つの文が同じ意味を表すかどうか見分ける 
(4)体験や常識、その他の様々な知識を使って文章の意味を理解する 
(5)文章と図形やグラフを比べる
(6)文章を読んで、それと合う具体例を認識する

等の力を見るそうです。

 

なんだ、簡単そうだなと思われるかも知れませんが、

ここでは、一つだけ例題を見てみましょう。

 

*****

〈例題〉

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまるもっとも適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

  Alexandraの愛称は(     )である。

 ① Alex   ② Alexander   ③ 男性   ④ 女性

*****

 

さて、いかがでしょう。

ちょっと考えてみてください。

「チラ見」とか「二度見」とかがありますが、

「二度見」しないと勘違いしそうな文ですね。

言うなれば、意味の伝わりにくい上手じゃない文なのです。

しかし、この問題は、上記の

「(1)主語・述語や修飾語など文の係り受けを理解する」ことができているか調べる、端的な問題になっています。

正解は最後にお示ししますが、正答率は

中1 23.5%  中2 30.6%  中3 51.4% 全国中学生計235名 37.9%

高1 64.9%  高2 68.0%  高3 57.1% 全国高校生計432名 64.6%

だったそうです。

短い文ですが、中1では4人に1人しか正しく理解できていませんね。

 

新井さんはこう言われています。

 

*****

教科書が読めてない子がたくさんいる、ということです。
文章を読んでいるようで、実はちゃんと読んでいない。
キーワードをポンポンポンと拾っているんです。
○○と○○と○○という言葉が出てきたら、こんなもんだろう、というような。

『……のうち』とか『……の時』『……以外』といった機能語が正確に読めていない。
実は、それはAIの読み方に近いんです。
「数学の問題は、『……のうち』とか『……以外』『……と接する』などという言葉をちゃんと読まないと解けなかったりします」

*****

「二度見」してでみ、きちんと理解しなくてはいけないところを、

ざーっと「チラ見」しただけで、次へ行ってしまうので、

正しい理解ができていないということでしょうか。

 

ちなみに、

さっきの例題の正答は、①Alex です。

たんなる「注意力」などの問題ではなく、

「読む」力は、私自身も、指導に当たっても、

大事な問題を含んでいると思いました。

 

写真は中学最後のテストを頑張る3年生たちです。

 

「理想の上司」と「理想の新入社員」

「理想の上司」は?という話題がニュースで取り上げられていました。

 明治安田生命が、今春入社を控えた新社会人(学生)を対象に実施したアンケートの結果だそうです。

 

「理想の上司」櫻井翔、新垣結衣、J.Y.ParkらTOP10に新勢力続々 内村&水卜アナは5連覇

 

私の長女もこの春就職する予定なので、どんな感じかなと思って

ちょっと見てみました。ランキング結果は、上記HPから引用しました。

「理想の上司」ランキング5連覇の(左から)内村光良、水卜麻美アナウンサー (C)ORICON NewS inc.(C)oricon ME inc.

 

【理想の「男性上司」トップ20】
1位:内村光良(1位)
2位:櫻井翔(圏外)
3位:イチロー(4位)
4位:設楽統(3位)
5位:J.Y.Park(圏外)
6位:ムロツヨシ(7位)
7位:大泉洋(圏外)
7位:カズレーザー(2位)
7位:長谷部誠(7位)
10位:博多大吉(7位)、
11位:伊達みきお(圏外)
12位:所ジョージ(14位)
12位:松本人志(6位)
14位:明石家さんま(12位)
15位:桝太一(5位)
16位:有吉弘行(14位)
17位:田中圭(10位)
18位:松岡修造(17位)
19位:安住紳一郎(10位)
19位:堺雅人(圏外)
19位:タモリ(13位)

 

新卒生の「上司」なので、挙げられているのはみんな私より年下の方ばかりでした。

それにしても、私の思っていた「上司像」からは、ずいぶん違っていました。

頭が良さそうで、人当たりがよくて、

厳しさよりもフォローが上手そうな人が多いように感じます。

それにしても、バラエティなどに出て活躍している人が多いですね。

私の印象では、18位:松岡修造さん、19位:堺雅人さんなんかは、

「上司像」としては分かるのですが、

他には、ちょっと頼りないなと思うような方もいますね。

 

女性の部も見てみました。同じく引用します。

 

【理想の「女性上司」トップ20】
1位:水卜麻美(1位)
2位:天海祐希(2位)
3位:新垣結衣(圏外)
4位:小池栄子(12位)
5位:指原莉乃(20位)
6位:佐藤栞里(圏外)
7位:石原さとみ(圏外)
8位:いとうあさこ(3位)
8位:長澤まさみ(圏外)
8位:弘中綾香(圏外)
11位:渡辺直美(12位)
12位:石田ゆり子(7位)
13位:近藤春菜(15位)
14位:イモトアヤコ(12位)
14位:米倉涼子(8位)
16位:有働由美子(4位)
17位:田中みな実(6位)
18位:吉田沙保里(10位)
19位:北川景子(10位)
20位:SHELLY(圏外)

 

こちらも同じような傾向でしょうか。

2位:天海祐希 さんは、長くランキング入りされているそうです。

分かるような気がします。


しかし、新垣結衣さん、石原さとみさんに至っては、どんな「理想」なのかと、

ちょっと判断基準に疑問を持ってしまいますが。

 

また、これが現役社会人の回答では、

タモリさんや有働由美子さんなどが上位に入ってくるようです。

 

私などは以前、先輩から管理職の心構えとして、

「職務には厳しく 職員には優しく」

「情は汲まなくてはならぬが、筋は通さねばならぬ」

などと教えてもらったものです。

令和の時代の職場の人間関係ということも、考えさせられました。

 

明治安田生命の発表資料→PDFはこちら によると、

社会人が選ぶ「理想の新入社員」という項目もありまして、

男性は大谷翔平さん、女性は浜辺美波さん(私はこの方は存じ上げませんが)とのことでした。

また、「社会人が新入社員に期待すること」は、

謙虚さがある(39.2%)

明るく、朗らか(37.7%)

覚えたことを次に活かせる(31.7%)

が多かったようです。

たしかに、逆を考えてみるとよく分かります。

 

生意気で言うことを聞かない新入社員 や

暗くて陰気な新入社員

何回も同じことを教えないといけない新入社員は、

「こんな新入社員はいやだ」ランキング入りでしょうね。

 

生徒の皆さんは、就職はまだ先でしょうが、

新入生として、先生方や先輩の方たちにお世話になることも多いでしょう。

 

謙虚さ、明るさ、そして「覚えたことを次に活かせる」ことが大切なのはいっしょではないでしょうか。

「気づき・考え・実行する」東中生なら、

「覚えたことを次に活かせる」ことは大丈夫でしょう!

ご家庭でも、保護者の方の経験や職場のことなどを交えて、

話題にしてみられてはいかがでしょうか。

 

昭和の「ボス」といえば、この人でした。

「太陽にほえろ 石原裕次郎」の画像検索結果

天は人の上に人をつくらず…だって、そう書いてあるじゃないか

福沢諭吉さんの

「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」

という言葉は有名ですね。

「世の中の人はみんな平等だ」という、

福沢さんの、明治時代においては進んだ思想の一端を示す言葉だと、私は思っていました。

しかし、

「理解力や読解力が低い人」に共通するヤバい口ぐせ 理解が早い人の頭の使い方

という記事を読んで、目からうろこでした。

 

「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」のところだけよく引用されますが、

原文は

「『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』と言へり

であって、これは口語訳すると

「『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』と言われている

という意味です。

「世間ではよく、~って言うじゃない?」ということですね。

ですから、この「天は~」の一節は、福澤さんの意見ではなく、

当時の一般的な考えだということになります。

 

では、福澤さんがほんとうに言いたいことは、何だったのでしょう。

この「学問のすゝめ」の有名な一節は、こう続くのです。

 

*****Wikipediaより引用

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言われている。

人は生まれながら貴賎上下の差別ない。

けれども今広くこの人間世界を見渡すと、

賢い人愚かな人貧乏な人金持ちの人身分の高い人低い人とある。

その違いは何だろう?

それは甚だ明らかだ。

賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ。

人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれど、

ただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、

無学なる者は貧人となり下人となるのだ」

*****

 

「賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ」

つまり、勉強することが大切だということを言いたいのでしょう。

まさに「学問のすすめ」なのですね。

 

前述の記事では、この福沢さんの名言を例に挙げ、

文章の前後や最後の結論までよく読まずに

「だって、そう書いてあるじゃないか」

と勘違いしてしまうことを戒めています。

 

これは、インターネットなどで情報のあふれている今の時代に、

気をつけなければいけないことだと思いました。


今朝のテレビの「林修先生のことば検定」では、実はこのことが出題されました。

先日勉強?していた私は、運良く3ポイントをゲットすることに成功したのでした。