校長室だより
ことば
最近、子どもたちの間で「死ね」といった強い言葉が、日常的に軽く使われている様子が気になっています。
その言葉に深い悪意が込められているわけではないことは多くの場合理解できます。しかし、たとえ軽い気持ちで発した言葉であっても、受け取る側には鋭く突き刺さることがある――その事実を、子どもたちには丁寧に伝えていきたいと感じています。
保護者の皆様からも「オンラインゲーム中に『死ね』などと言うようになった」「YouTubeの動画を長時間見ていて、言葉づかいや態度が変わったように感じる」といった心配の声を伺います。深夜までチャットを続けていたり、SNS上でのやりとりが気になったりして、注意したいと思いながらも、「どこまで関わっていいのか」と迷うお気持ちもよくわかります。
そうしたとき、星野富弘さんの詩を思い出します。
鏡に映る顔を見ながら思った
もう悪口を言うのはやめよう
私の口から出た言葉を
いちばん近くで聞くのは
私の耳なのだから
この詩は、「ことば」は他人を傷つけるだけでなく、自分自身の心にも影響を与えるということをやさしく教えてくれます。
毎日使う「ことば」には、相手を励ましたり、安心させたりする力がある一方で、思いがけず相手を深く傷つけることもある。その「ことばの力」を、子どもたちとともに学び、意識していきたいと思います。
そして、学校と家庭が連携しながら、子どもたちが「自分の言葉で誰かをあたたかくできた」という実感を重ねていくことが、人権を大切にする心を育てることにつながると信じています。