校長室から(ブログ)

人権教育講演

 11月28日 人権教育講演会を開きました。今回は、横手純子様と補助犬で盲導犬のちよちゃん、春木雄一朗様を講師にお迎えして、視覚に不自由さや障がいを持たれた方の思いや暮らしを知り、共に生きることへの願い聴くことができました。
 横手さんと春木さんは、病気が原因で目が不自由になられた中途視覚障がい者の方々です。そのご自身の経験から、視覚障がい者の日常や困り感を生徒や他のたくさんの皆さんに知ってもらい、すべての人が包摂さる共生社会をつくることを願い、講演活動をされています。
 その熱意は、行政を動かす力にもなっています。市議会議員の方々も、当事者のお話を聴き、障がいを持たれた方々の思いを、共生するまちづくりに活かそうと、今日の講演会に参加され、熱心に講話をお聴きになられました。
 子供たちは、これから共生社会を築いていく一員として大切な役割を担います。その担い手とし、子供たち一人一人に求められるのが、豊かな人権感覚であり、差別問題に対する基本的な認識であると改めて思いました。
 お話の中で、「誰かの当たり前は、他の誰かにとっては壁になっている。」とおっしゃったのには大変納得しました。そして、この壁を作っているのは私たちであることを改めて感じました。子供たちにとっても、このセンテンスは大変印象深いことばになったようです。
 障がいをもった方々にとって、その事象はその人そのものであり、障がいがあることは問題ではなく、現象であるだけです。ですから、障がいを取り除くちょっとした手助けがありば、障がいはなくなるとおっしゃったのも大変心に残りました。
 今回の人権教育講演会の内容を聴いて、子供たちには、障がいをもった方々の生きづらさに共感したり、差別問題に直面されていることに思いを馳せてほしいと思います。そして、障がいをもった方々に自分から関わりをもち続け、必要な合理的な配慮を考え、行動を起こす人になってほしいと思います。
 今も起きている障がい者への差別問題も部落差別の問題も、すべての人権問題は、差別される側に問題があるのではなく、差別する側の問題であることを、いつも心に留め、すべての人々が安心して暮らすことができる共生社会をつくる一員に、子供たちがなっていくことを願っています。期待しています。

 横手さんは、盲導犬のちよちゃんを貸与されてから、生活が変わったとお話になりました。
 外に出て誰かと歩くことができる安心感は、いつも誰かの助けを受ける生活から、自立した生活に変わるきっかけとなり、自信になったそうです。そして、ちよちゃんと歩くことで、生活も行動も明るい方へ、明るい方へ、前へ、前へいけるようになり、人が集まる場所へ行ったり、運動をしたり、おしゃべりをしたりすることを心から喜んでおられます。

 春木さんは、5年前に突如視力を失った体験から、私たちの生活がどれだけ視覚に頼っているのかをわかりやすく教えてくださいました。
 今、私たちは暮らしの中で、さまざまな情報をいろいろなメディアから得ていますが、その情報の8割から9割は見ることによって得られる視覚による情報だそうです。それで、視覚が閉ざされるとどのくらい不自由さを感じるかを、子供たちに体験させ、ものの形をつかむことや伝えることの難しさを学ばせていただきました。
 春木さんは、視覚障がいについてもっと周りの人々に知ってもらい、共に生きることを一緒に考えていきたい願いをもたれておられます。それで、体育館へ案内する子どもたちに、手引きして誘導することを頼まれていました。子供たちも、手引き誘導をしてみて分かったことや感じたことがあったようです。