本当の力
運動場の草を刈っていると、地域の方が声をかけてくださいました。
「体育大会、毎年楽しみにしています。生徒たちが一生懸命に取り組む姿が、本当にいいんですよ。見ていると、自分たちの青春を思い出します。」
一生懸命という言葉が、胸に残りました。 一生懸命とは、ただがむしゃらに頑張ることではなく、仲間とともに励まし合い、支え合いながら前に進むこと。自分ひとりでは届かない場所に、仲間となら手が届く——その経験が、かけがえのない力になります。
体育大会は勝ち負けだけでなく、「次の一歩」を踏み出す勇気をくれる場でもあります。
生徒たちにとって、体育大会までの道のりは決して平坦なものではなかったはずです。特にリーダーを任された生徒は、思いが強いからこそ、うまく伝えられないもどかしさに悩み、壁にぶつかることもありました。それでも、少しずつ言葉にし、行動に変え、背中で引っ張っていく姿に、成長の芽をはっきりと感じました。そして、その姿を支えたのは仲間の存在でした。声をかけ合い、ぶつかりながらも前を向き、助け合う姿は本当にたくましく、まぶしく見えました。
また、どんな時も温かく見守り、支えてくださった保護者や地域の皆様の存在も、生徒たちにとって大きな力になっています。
迎えた本番の日、全力で駆け抜け、声を張り上げ、応援し合う生徒たちの姿に、心が震えました。
「みんなでやり遂げた」その実感が、きっと今後の人生においても色あせることなく、何かにつまずいたとき、背中を押してくれる原動力になると信じています。
一生懸命に取り組むことで初めて得られる喜び。仲間と支え合うことで見える景色。 そして、一歩踏み出した先に広がる、新たな可能性。それこそが青春の本質なのだと、生徒たちの姿から、あらためて教えられた気がします。
「本当の力」
風が強くても 前を向く
足が重くても 立ち止まらない
ひとつの夢に向かって
今日もまた 踏み出していく
ひとりでは 届かないことも
となりにいる 君の声が
背中を押してくれるから
あきらめずに 進めるんだ
流した汗は 嘘をつかない
こぼれた涙も 光に変わる
ぶつかって 笑って 支え合って
ぼくらは強くなっていく
違う力が 重なり合って
同じゴールを 目指していく
「自分のため」だけじゃない
「みんなのため」に走るとき
それが 本当の力になる
二十年ほど前の中学生の詩です。雑誌で見かけて書き留めていました。羨ましいくらいに若いエネルギーに充ちた詩です。体育大会に向けた取組の中で、牛中生一人一人にも同じエネルギーを感じました。