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2020年11月の記事一覧

テセウスの船と本校の伝統

「テセウスの船」という思考実験があります。

今年の初め頃、同じタイトルの竹内涼真さんのドラマがあっていましたが、

竹内涼真主演|ドラマ『テセウスの船』Blu-ray&DVD BOXが7月22日発売 - TOWER RECORDS ONLINE

今日お話しするのは、パラドックスの方です。

パラドックスというと、

「逆説、ジレンマ。間違っているように見えるが、実は正しいこと、またその逆で正しいように見えるが、正しいと認識されないこと」と辞書に載っています。

(たとえば「私は嘘つきである」という人は、本当のことを言っているのかどうか分からなくなります。)

わかりにくいですが、まあ、ちょっと難しい、なぞなぞかとんちのようなものと思ってください。

 

その「テセウスの船」という思考実験は、次のようなものです。

 

*****

テセウスの船はパラドックスの一つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。

ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、

過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題(同一性の問題)をさす。(ウィキペディアによる)

*****

少しわかりやすく言うと、
テセウスさんが乗っていた船があって、

人々は、その船の古くなった部品や壊れた箇所を新しいものと交換しながら長く使っていました。
その交換や修理などを繰り返しているうちに、

元々船に使われていたすべての部品が新しいものに替わってしましました。

つまり、テセウスが乗っていた頃の船とは、すべての部品が入れ替わってしまいました。

さて、この船は元の「テセウスの船」と言えるかどうかという話です。

(私の考えた類題:創業以来30年、継ぎ足し、継ぎ足しで使っているおでん屋のだしは、創業時のものと同じといえるのか??)

 

人間の細胞も約60兆個あり、数か月で入れ替わってしまうという話もありますね。

すべての細胞が入れ替わったとしたら、

1年後の自分ははたして元の自分といっしょの人間だと言えるのでしょうか?

 

「テセウスの船」の話では、置き換えた古い部品をリサイクルして、

もう一隻の船を作ったら、そっちこそ「テセウスの船」ではないか?

という指摘もあり、では、それまでの元の船が「テセウスの船」でなければ、

何なんだろう?と、ちょっと訳が分からなくなってきます。

テセウスの船」ってなに?脳を刺激する思考実験やパラドックスまとめ | Cosmic[コズミック]

なぜこんなお話をしているかというと、

体育大会、文化発表会を終え、

(もちろん、今年度は新型コロナウィルスの影響で、様々な変更等がありましたが)

本校の伝統というものも、中身が変わって新しくなっていると感じたからです。

これまでの「東中ブランド」に加えて、

コロナに負けない「気づき・考え・実行する」生徒たちの力を実感しています。

 

12月には、校内ロードレース大会、生徒会選挙が待っています。

本校の伝統のさらなる進化を期待しています。

100点満点

昨日は令和2年度の文化発表会でした。

オープニングから、

生徒たちの総合的な学習や音楽の授業の学び、

吹奏楽部の練習の成果を

たくさんの皆さんにご覧いただく貴重な機会を実現することができました。

ご来場、ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。

 
文化発表会を行いました(2020/11/28)

 

後半は、MICAさんの

特別授業「100点満点」

をみんなで受けました。

 

(写真提供 熊本日日新聞 谷川さん)

 

予定の50分をオーバーして、

アンコールを含めて70分の熱血!授業でした。

美しい歌声はもちろん、楽しいお話もありましたし、

マネージャーでプロの司会もされている木村さんのものまね芸?などもあり、

あっという間のひとときでした。

 

また、アーティストとしての夢実現や、コロナ禍の中で働いていることの大変さなど、

日頃聞くことのできない、貴重なお話も語られて、

生徒たちはもちろん、

私たち大人にもとても心に響くものがありました。

 

私は、MICAさんが、ある障害者施設との出会いから創られたという、

この「100点満点」という曲に、特に心を打たれました。

(CDを2枚購入しました音楽)

 

本校で静かに取り組んでいる、

「グッジョブ!カード」の趣旨と

共通するところもあるなぁと思いました。

 

今回の文化発表会は、200点だったなぁと思っています。

改めて、私たちのために元気をいただいた

MICAさん、関係者の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。

ほんとうにありがとうございました。

 

 100点満点

 

どうして泣いてるの

こっちへおいで

誰もあなたのこと

叱ったりしないから

たくさん泣いたら

優しい笑顔で

あなたの名前を教えて

さあ もうお友達

今日は何食べよう

今日は何して遊ぼう

生きてるって何よりも

一番幸せなこと

今日はいくつ

あなたを思い

笑顔になることあったから

 


本当の僕を見て

いいとこも悪いとこも

誰かと比べるんじゃなく

目の前の僕を見て

君のいいとこ

100知ってる

誰だっていいとこ

100持ってる

今日は何個

見つけられたかな

まだ知らない

君のいいとこ探しに行こう

生きてるって

それだけで100点

辛くても心痛めても

そう100点満点


うまくいかない時のおまじない

こっそり君にだけ

教えてあげるから

空を見上げて

大きく深呼吸

ぴんとした姿で

ありがとうって叫ぶんだ

それだけで100点満点

 

小さな花瓶

今日は、私が以前指導していた生徒さんの作文を紹介します。

ちょうど今頃の季節に書かれた作文でした。

 

   小さな花瓶  村上未希子

 私が通学のため利用するバス停には小さな花瓶があります。そして、その花瓶の花が枯れることはありません。

 私は街中から少しはなれた海辺の町に住んでいます。ですから、朝のバス停はとても静かです。私がバス停に立っていると毎日リアカーに花を乗せて歩く花売りのおばさんと顔を合わせています。毎日のように顔を合わせていたので、私と彼女は言葉を交わすようになっていました。

 ある日、私がいつものようにバス停に立っていたら、彼女は小さな花瓶をバス停の横の柱にくくりつけました。そしてリアカーから一本のキレイな花をとりその中に入れました。

「どうしたんですか?」とたずねると、

「朝からこんな静かなバス停でバスをまつのはさびしいでしょう?一本でも花があれば明るい気持ちになれるじゃない」

と言われました。

 私はその日の朝、とても気持ちがさわやかになったのをおぼえています。

 その日以来私は彼女とよく話をするようになりました。彼女と話していると今まで気付けなかった彼女の仕事のつらさを感じました。決して仕事がきついと彼女が言ったわけではありません。しかし、赤ぎれやしもやけにふくれた手を見ると冬に水をあつかうこの仕事のつらさを痛感せずにはいられませんでした。私は小さい頃、花屋になるのが夢でしたから、いっそうショックでした。

 けれど、彼女は決してグチもこぼさず、暑い夏も寒い冬も朝早くから重いリアカーを引いて花を売りに出かけるのです。

 そんな彼女は、自分だけでなく他人のこともおもいやる心をしっかりと持っているのです。季節の花を毎朝一本ずつ入れていく彼女の姿は実にまぶしいものです。私は毎朝、心を洗われる気持ちでその姿を見ています。

 つい先日のことですが、彼女の小さな花瓶に彼女の入れていない一本の小さな花がありました。だれかが、彼女のやさしい心に感動して花を置いていったのです。残念ながらその日は彼女に会えなかったのですが、きっと彼女も喜んだと思います。静かな朝の小さなバス停の横に咲く彼女のやさしい親切の花は、それを見る人々にも親切のあたたかさをふりまいているんだなと思います。

 今朝の花瓶には、うすいピンクをしたやさしいコスモスが揺れています。今日もまた、私はさわやかな気持ちでバスの中の席に座ります。

(第23回全日本「小さな親切」作文コンクール 優秀賞受賞作品)

 

先日、自宅の資料の整理をしていたら、たまたま見つけたものです。

ちょっと手を止めて久しぶりに読んでみましたら、温かい気持ちになりました。

本校生徒の皆さんにも、毎日スクールバスで通学している人がたくさんいるので、

少し気持ちが分かってもらえるかな、と思って掲載しました。

(これは深海のバス停です)

 

 

「神の手」について

あなたはサッカー中体連の決勝戦のピッチにいます。

この試合で勝つために、3年間きつい練習にも耐えてきました。

 

スコアは0-0、緊迫した展開が続いています。

今、あなたは相手ゴールへドリブルで攻め上がり、パスをした後

もう一度ボールをもらおうと走り込みます。

しかし、味方のパスは、相手ディフェンスにカットされてしまいます。

プレー失敗かと思いましたが、次の瞬間、

カットされたボールがフワッとあなたの前方に上がっているではありませんか。

あなたは迷わず加速し、ボールに向かってジャンプします。

相手のゴールキーパーが慌てて、パンチングしようとジャンプしてくるのが見えます。

あなたとゴールキーパーは、空中で競り合います。

そして、あなたは、ゴールキーパーがボールを弾くより一瞬早く、ボールに触ることができました。

ボールは、誰もいないゴールに吸い込まれていきました。

ベンチをはじめ会場は大きな歓声に包まれました。

 

しかし、ボールに触ったのは、あなたの左手だったのです。

この時、あなたならどうしますか。

 

お気づきのように、

このエピソードは、

サッカーW杯1986年メキシコ大会

準々決勝イングランド対アルゼンチン戦で、アルゼンチン代表のマラドーナ選手が先制点を奪った時の様子です。

 

イングランドの選手は、ハンドをアピールしますが、

審判はゴールを認めました。

映像には、マラドーナ選手が手でボールをはたく様子がはっきり認められますが、試合はそのままアルゼンチンのリードで進められました。

そして、その4分後に、マラドーナ選手はドリブルで5人を次々と抜きさり、追加点をもたらします。

 

サッカーでは有名な出来事ですが、皆さんこのエピソードをどう思われますか。

私の道徳授業はほとんど「あなたならどうしますか」というタイトルなのですが、この話も教材にしてみたい話です。

 (以下の引用はいずれもウィキペディアから)

 

ーマラドーナは試合後のインタビューでこのプレーについて聞かれると、

「ただ神の手が触れた」と表現した。

 

この発言から「神の手」は伝説となったようです。

 

ーのちに、マラドーナは自伝においてハンドだったことを認め、

母国のテレビ番組では

「早く来て自分を抱き締めないと、審判が得点を認めないぞ」

とチームメイトに呼びかけたという裏話を明かしている。

 

私はサッカーのことはよくわかりませんが、

「5人抜き」の様子を見ると、マラドーナ選手はむろん上手なのでしょうが、

次々と抜かれていくイングランドの選手たちは、少し集中力を欠いて、

あれよあれよと抜かれているようにも見えます。

明らかに、直前の誤審が選手たちの心理に影響しているように思えます。

 

マラドーナさんは後年の雑誌インタビューでは罪の意識を否定し、こう語っているそうです。

 

ーワールドカップで勝てるなら手だって使うさ。審判が認めれば、それでゴールだ。

 

一方、当時イングランドの監督だったボビー・ロブソンさんは、こう語っています。

 

ーあれは誤審以外の何ものでもない。誤審はあり得ることで仕方がない。

 

そしてこう続けています。

 

ーだが私が許せないのは、それを神の手などと呼ぶ者の欺瞞だ。

 

私自身は、ロブソン監督に1票です。

中体連大会のために、生徒たちがどんなに努力してきたかを、

誰よりも知っていても、生徒たちがどんなに勝ちたいかをよくわかっていても、

生徒たちにはこう尋ねると思います。

 

「反則をしたのは、誰よりも自分がよくわかっている。

なのにガッツ・ポーズをして、勝利をつかんだとしても、

その勝利にどんな意味があるのか」

 

W杯と中体連では、訳が違うと言われるかもしれませんが、

「部活をするのは、何のためか」ということを考えるための問いです。

 

マラドーナさんが亡くなられました。

彼は私と同級生です。

もちろん、学校は違いますが。

 

人とは仕草である

先日この欄で紹介した、「武田鉄矢の今朝の三枚おろし」というラジオ番組で、

武田さんが話していた話です。

 

青山真治さんという映画監督の「映画論」の本にあった話で、

「人は仕草である」

というものです。

つまり、映画の登場人物の人物像は、

映画俳優が演じる顔の表情とか、セリフとかではなく、

「仕草」で印象に残るというのです。

 

どういうことかというと、

名優と言われる人たちは、

必ず決め手となる得意な仕草を持っているというのです。

ストーリー上あまり必要がなくても、

その決め手となる仕草(私はこれを決め仕草と呼ぶことにします)をして、

登場人物あるいはその俳優さんの持ち味を出し、

見る人の印象に強く残るという説です。

 

いくつか例が挙げられていました。

ジョン・ウェインは、物を投げるような仕草が得意。

だから、彼が演じる西部劇のヒーローは、絶対ハンカチなどは持たず、

(そもそも西部劇でハンカチを使っている人をあまり見かけませんが)

手を洗ったら、物を投げるような動作で、水を振り払うのだそうです。

そして、それが彼の演じる人物の男っぽさをかっこよく象徴するのだそうです。

差別主義者だった…知られざる名優ジョン・ウェインの実像|日刊ゲンダイDIGITAL

 

また、イングリッド・バーグマンという美女は、

一本の映画の中で必ず一度は、めまいを起こして倒れかかるそうです。

ちょっと可憐な、か弱い感じのキャラクターなのでしょうか、それが彼女の決め仕草のようです。

 クラシック女優の生き方に学ぶ②イングリッド・バーグマン

 

さらに、クラウディア・カルディナーレという、こちらの美女は、髪をかき上げるのが得意技だそうです。

なるほど、髪の長い、活発そうな方ですね。

 

 

こういうことを聴いていると、

日本の俳優さんなども、そんな決め仕草があるのではないでしょうか。

 

石原裕次郎さんは、もとはアクション俳優だったと思いますが、

私が「太陽にほえろ!」という刑事ドラマで見ていた頃(高校生ぐらいの頃)は、

もうちょっと太っていて、

マカロニ刑事(ショーケン)やジーパン刑事(松田優作)のように、

犯人を追って街中を走るシーンはムリだったのでしょう。

警察署の自席の後ろの窓のブラインド越しに、目を細めて外を見るのが

決め仕草だったように思います。

(今思えば、警察署の窓から毎週毎週、何が見えたというのでしょう?)

ブラインドちらっを再現可!『西部警察』の石原裕次郎が可動式フィギュアに! - ライブドアニュース

高倉健さんは、あまりセリフ回しが上手ではなかったので、

セリフの少ない役をやり出したら、

それが功を奏して、人気が出たという話を聞いたことがあります。

高倉さんの演じる寡黙な男性は、

必ず不器用そうに口ごもるような場面があって、

見る人は健さんが言いたいけど言えないことを勝手に想像して、

健さんの気持ちになりきるということではないでしょうか。

黙っていることが健さんの決め仕草と言っていいのかもしれません。

高倉健「いい風に吹かれたい」 » bunanomori

 

このように考えてみると、

映画やドラマの登場人物を見る際に、

その演じている俳優さんの決め仕草はどんなのかな、と思いながら見るのも面白そうです。

(たとえば、木村拓哉さんの決め仕草は、どんな仕草でしょう?)

 

つまりは、モノマネされやすい人は、それだけ印象に残る、得意な仕草を持っていることに行き着きます。

私は、決め仕草は必要ないかも知れませんが、

せかせか動くと落ち着きのないのが露呈しますし、

悠然としているつもりでも、他人からはだらだらしているように見えるかもしれません。

これ以上、へんな仕草やふるまいで恥をかかないようにしたいと思います。

ムーミン谷のかわいい少女

「忙しい、忙しいって言う人いるじゃない。

きっと頑張ってるわねって褒めてほしいのよ。

だからこう言ってあげたほうがいいわ。

時間の使い方が下手ねって」

 

これは、ある有名な人の名言(?)です。

ううむ、それを言われては立つ瀬がない、という感じですね。

 

さて、この言葉を残したその有名な人は誰かというと、

リトル・ミイ

という人です。

どこの国の人かというと、おそらくスウェーデンの人です。

「おそらく」というのは、この人は架空のキャラクターだからです。

 

その人とは、

e.スポンジワイプ ムーミン リトルミイ

トーベ・ヤンソンさんの物語「ムーミン」シリーズに登場するこの少女?です。

「ムーミン」といえば、カバかなんか分からない、不思議な妖精?たちの物語ですね。

 

松任谷由実の全楽曲424曲が配信開始! Spotifyの人気プレイリストのカバーをユーミンがジャック | ART&CULTURE | FASHION  HEADLINE

(これは、「ユーミン」)

 

「ムーミン」は、私の小さい頃は日曜の夕方6時から、

「サザエさん」の前に放送されていました。

♪ねえ ムーミン こっちむいて

という主題歌を聴くと必ず眠くなっていたのと、

次週の予告編をムーミン・パパが担当していて、

最後に必ず「ムン・パッパ」と言って締めくくっていたのを覚えています。

楽しいムーミン一家(Moomin)のネタバレ解説まとめ | RENOTE [リノート]

 

さて、このリトル・ミイさんは、

ちょっと変わり者で頑固、毒舌家とも思えますが、

大人もハッとするような言葉をたくさん残しています。

 

「みてるわよ、あなたがしていること。

あのね、神様じゃないわよ。もうひとりのあなたがよ。

もうひとりのあなたがあなたをみているのよ。

見放されないようにね。嫌われないようにね」

 

「迷わないことが強さじゃなくて、

怖がらないことが強さじゃなくて、

泣かないことが強さじゃなくて、

本当の強さってどんなことがあっても前をむけることでしょ」

 

「努力は人を大きくするわよ。

けど苦労は人をダメにするわよね」

 

「あなたに足りないものと余計なもの、ひとつずつ言うわね。

足りないもの、努力ね。

余計なもの、無意味な時間、見栄、さぼり癖、食べ過ぎ」

 

「失敗を怖がらない。

バカね、全く逆よ。

怖がらなきゃいけないに決まってるじゃない。

そうしないからいつも同じ失敗を繰り返すのよ」

 

「甘えてんじゃないわよ。

その人の価値がわかるのは、上手くいっているときじゃないわ。

いろんなことが上手くいかない苦しい時に何ができるかよ」

 

6月3日は日本のムーミンの日でした

いかがでしょうか。厳しいところもありますよね。

ズバリ言うわよっ!という感じですね。

しかし、もしも友達が、こんなちょっと言いにくいようなことを、直接言ってくれるのなら、

なんかいい友達のような気もします。

 

熊本市で行われているという「ムーミン」の展覧会の案内を目にして、

このようなことを考えたのでした。

ムーミン展 熊本市近代美術館

ラジオを聴いていますか「大学受験ラジオ講座」

昨日のラジオのお話のつながりで、今日は「大学受験ラジオ講座」のことを書かせていただきす。

高校の時、私はあまりにも成績が悪く、

ある日、これはどうにかしないと、いくらなんでもまずいと気づきました。

しかし、お金もないし、塾や予備校には行けませんでしたので、困ってしましましたが、

旺文社の大学受験ラジオ講座というものがあるのを知り、

「よし、これだ!」と聴講(!)することとしました。

毎月のテキストは、7〜800円ぐらいじゃなかったでしょうか。

この予算で一流の予備校の先生の講座が聴けるなんて、世の中にこんないい方法があるのかと思いました。

各教科の参考書を買うよりずっと経済的です。早速本屋でテキストを購入してきました。

(写真は実物とは違います)

 

ラジオ講座なので、もちろんラジオで先生の話を聴くのですが、

いざ始めようとして、私は一つの問題点に気がつきました。

それは、その講座の放送時間が、早朝の5時過ぎからなのです。

当時の私は早起きが苦手で、

毎朝バタバタして高校に滑り込んだり、滑り込み損なったりの生活でしたので、

テキストを購入した後にこのことを知って、ハタと困りました。

でも、ここであきらめたら、テキスト代がムダになるので、

仕方ない、明日から朝5時に起きようということにしました。

 

すると、何ということでしょう。

全く起きることができません。

目覚まし時計をかけていても、全然気づきません。

当時は「ラジカセ」の出始めた頃で、タイマー録音する機械を私は持っていませんでした。

困ってしまいましたが、それならばとダイヤル式のタイマーをラジオにつないで、

5時になったらラジオのスイッチが入るようにして寝ましたが、

講座の先生の話が、かえって夜明け前のまどろみに効果的で、安らかに眠れてしまう有様でした。

だいたい、学校の勉強がほとんどわかっていないのですから、

テキストの問題をやっただけでは、まったくわかりません。

ラジオ講座のお話を聴かないとラチが開かないのです。

(写真は実物とは違います)

 

さて、どうしたものかと考えた私は、

朝5時などと中途半端に早起きしようとするのが、いけないのではないかと考えました。

もっと早く起きてはどうか、

いや、夜中から寝なければいいのではないか、

と考えたのです。

 

そこで取った作戦は、

夜中の3時に起きて、そのままずうっと起きていようという名案でした。

なぜ3時かというと、

当時人気のあったラジオ番組

「オールナイトニッポン」の第2部が毎日午前3時から放送されていたのです。(第1部は午前1時から)

それが聴ける、と思えば、辛い早起き?も楽しくなるのではないかと思ったのです。

 

そこで、夜は9時ごろに無理矢理眠って、

夜中の3時に起き、ラジオをつけるという生活を始めました。

これは大正解で、生活リズムの改革に成功し、

ラジオ講座も毎日聴くようになりました。

 

しかし、どちらかというと、ラジオ講座より

オールナイトニッポンを聴くのが主な目的となっていた感がありました。

特に、水曜深夜(木曜の未明)の松山千春さんの時は楽しみにしていましたね。

ちなみに、その日の第1部は、タモリさんの担当でしたので、

3時前に起きて、ラジオを聴いていたりしました。

松山千春さんの放送の最後には、毎回松山さんがハガキを読みながら終わるのですが、

そのバックに

「大空と大地の中で」が流れ、

いい感じで毎回終わっていました。

 

しかし、なぜかラジオ講座は5時15分ごろからの放送だったので、

オールナイトニッポンが終わってラジオ講座が始まる、その間の15分をガマンできずに、

うとうと眠ってしまうことも多々、

自分はいったい何のために何をやっているのか、よくわからなくなることもありました。

 

今となっては、その講座の効果が本当にあったのかは定かではありませんが、

「自分で自分のルーティンを作る楽しみ」を知った時代でした。


 

 

 

ラジオを聴いていますか(脳を鍛える)

先日、このような記事を読みました。

いい人間関係をつくるために重要な「7つの能力」。鍛えるにはこれをして!

この記事では、「いい人間関係をつくるための力はこうやってつけるとよい」として、次の7つにまとめてありました。

 

詳しくはこの記事のリンクをご覧いただくとして、

私はこの1番目に示してある

ー理解力を鍛えるには「集中してラジオを聴く」

ということに興味を持ちました。

 

この項目を引用してみます。

*****

【1】「理解力」を鍛えるには「集中してラジオを聴く」
人間関係構築のベースとなるのは、やはり「相手の話をきちんと理解する」という能力でしょう。

自分が話をし、そこから楽しいコミュニケーションが生まれれば、

人は相手に対して信頼感や安心感を抱くからです。

理解力を鍛えるために、ぜひラジオを聴いてみてください。

脳科学者で医師の加藤俊徳氏が行なった実験では、

被験者にラジオを1日2時間×1ヶ月聴き続けてもらうと、

脳の聴覚系脳番地(※耳から入った情報を言葉として認識する機能を担う)が成長することが判明。

そして、この聴覚系脳番地は、言葉の意味をとらえる理解系脳番地と深く関係しています。

つまり、ラジオを聴いて聴覚系脳番地を鍛えることは、相手の話の理解を深める出発点になるのです。

*****

この頃の子どもたちい散見される課題として、

「他人の話をじっと集中して聞くことが苦手」ということがあると考えます。

これは、本校も例外ではありません。

 

特に授業では、今も「先生や友達の話を聴いて理解する」ことなしには成立しません。

どんなにオンライン授業が行われるようになっても、

その「話を聴いて理解する」力の重要性は変わらないばかりか、

いっそう大きくなってくるのではないでしょうか。

 

私自身、高校時代は深夜放送のDJや、夕方の「小沢昭一的こころ」を好きで聴いていたことがありますし、

通勤時には決まったラジオ番組を聴く習慣もありました。

そういえば、最近はラジオを聴く機会が減ったなと思います。

そう思い立って、podcastで文化放送のラジオ番組「武田鉄矢の今朝の三枚おろし」をときどき聴いたりしているところです(ちょっとおじさんくさい番組ですが)。

4月15日 武田鉄矢・今朝の三枚おろし - 武田鉄矢・今朝の三枚おろし | Lyssna här | Poddtoppen.se

生徒の皆さんも、Youtubeなどを目にする時間はあるかもしれませんが、

時には静かにラジオの話に耳を傾けることも、

「聴覚系脳番地を鍛える」ことになるかと思いました。

 

ちなみに、NHKの「らじるらじる」というアプリを使えば、

スマホでAMもFMも、そして聞き逃した番組も無料で聴くことができます。

ネットラジオというのだそうです。

昔「ラジオ基礎英語」などを聴いて長続きしなかった私としては、便利になったなと思いました。

→ NHKラジオ らじる らじる

らじる☆らじる NHKネットラジオ | ラジオ, カード, ネット

成層圏から帰ってきた気球

私が小学校卒業の時の記憶です。

タイムカプセルが流行り出していて、私たち児童は、

「自分たちも卒業記念にタイムカプセルを校庭のどこかに埋めよう」

という相談をしていました。

しかし、先生からストップがかかりました。

その理由は、

「ここ(小学校のあるところ)は新幹線が通る予定なので、

小学校もその時は引っ越しになります。

タイムカプセルを埋めたら、掘り起こせなくなりますよ」

当時は、あの田中角栄首相の「日本列島改造論」が一世を風靡していた時代でしたので、

「へー、そういうことか」と思いました。

先生は「しかも裏の山にはトンネルが通るのです」とも言われ、

これにも「へー、すごいね」とか言っていたのを思い出します。

実際に新幹線が開通したのは、その時から39年後。

たしかに裏の山にはトンネルが貫通しましたが、私の小学校は元の場所にそのまま現存しています。

これは実際のそのトンネルの様子です。

 

なぜ、このような話をしているかというと、

旧飯田工業高校(現飯田OIDE長姫高校)のある高校生たちが研究課題の一環で飛ばした気球が

成層圏を旅してきて、無事帰還したというニュースを見たからです。

 

*****

成層圏から奇跡の帰還「思い描いていた映像が撮れた」長野県の高校生の気球 8年ぶりに発見

宇宙から地球を撮影しようと、長野県飯田市の高校生がカメラやスマートフォンを積んだ気球を飛ばしたのは8年前。

行方不明になっていた気球が埼玉県で発見され、

連絡を受けた当時の生徒たちが母校に集まり再生すると「思い描いていた映像」が撮影されていました。

*****

 

なんともロマンのある話ですね。

「小惑星探査機はやぶさ」の話を聞くと、涙が出てくるという先生が本校にいるのですが、

気球でもちゃんと使命を果たして帰ってきたのですね。

カメラやスマホはどんな旅をしてきたのでしょう。

 

*****

気球の映像はどんどん上空に上がっていき、富士山の姿を捉えています。

そして、離陸からおよそ2時間半後。気球は上空およそ3万2000メートルの成層圏に到達。

丸みを帯びた地球の姿がはっきりと映し出されていました。

清水草太さんは

「一番高いところまで到達したところが、きれいに撮れていたので、

あれが思い描いていた撮りたいという映像になっていたのですごい」

と話します。

元生徒たちは成層圏からの映像に興奮を隠さず、8年越しの研究課題達成を喜びました。

*****

 

ニュース映像では、卒業生たちが集まり、8年ぶりに再会した少し汚れて傷だらけになった箱を開け、
「懐かしい!すげー。スマホだ、無事だ」という声が上がっている様子が映っています。

 

嬉しい同窓会になったことでしょう。

今日も宇宙ネタになりましたが、

小学生の頃を思い出し、

タイムカプセルを埋めてたら、中から何が出てきただろうなどと、

昔のことに思いを馳せた休日でした。

君も宇宙飛行士になれる2

昨日の授業参観、学年懇談会お世話になりました。

3年生の授業では、面接試験の練習が行われていました。

私は、ペアや3人での役割練習をしているところを少しだけ参観しましたが、

みんな少しとまどいながら、楽しそうに取り組んでいました。

11月も早いものでもう半分を過ぎ、これから進路選択、受験対策の季節になっていくのだなと実感しました。

 

さて、昨日この欄で宇宙飛行士の選抜試験についてお話ししましたが、

ニュースでその話題に触れたものがあったので、読んでみました。

日本にたった7人…現役飛行士に聞いた!“13年ぶりの募集“で注目集まる「宇宙飛行士」になるには?

カンテレ「報道ランナー」

 

13年ぶりに日本人宇宙飛行士が募集されるのですが、

前回最後の試験で合格し、2016年に4か月間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在された、

JAXA宇宙飛行士の大西卓哉さん(44歳 元全日空のパイロットで、民間パイロットとしては初の飛行士)のインタビューが掲載されていました。

 

まず、転職して宇宙飛行士になった理由について大西さんは、こう言われています。

「小さいときから宇宙が好きで、行きたいと思っていたが、本当に行けるとは思っていなかった。

13年前に募集していると知って、ほんの少しでも可能性があるならと応募した」

宇宙飛行士になるのは子どもの頃からの夢だったそうで、

「パイロットの仕事と宇宙飛行士の仕事は共通点が多くて、

パイロットとして学んだこととか、蓄積した経験が宇宙飛行士の選抜試験で自分を助けてくれた。

自分はラッキーだったと思っている」

 と語られています。

(ただし、給料はパイロットの頃よりずいぶん下がったそうです。ちなみに宇宙に行ってもボーナスとかはもらえないそうですよ)

 

さて、宇宙飛行士選抜試験についても少し掘り下げてありました。

宇宙飛行士になるには「どんな能力」が必要なのでしょう。

 

大西さんが採用された時の2008年の募集要項では、

●日本国籍 ●大卒以上(自然科学系) ●訓練時に必要な泳力

●英語能力 ●教養(美しい日本語・異文化への造詣)

●10年以上JAXAに勤務可能 

…などが条件として示されていて、

試験では963名の応募に対し、合格が3名と、倍率は320倍以上だったそうです。

 

*****
――Q:英語は大事ですか?

【大西さん】

「国際宇宙ステーションでの仕事は全て英語、

訓練もアメリカとロシアで行われるので、英語とロシア語が必要。

ある程度の基本的な英語力は必要になってくる」


――Q:教養は? 「美しい日本語」というのは、関西弁はダメですか?

【大西さん】

「日本人が宇宙に行く機会は限られているので、貴重な機会を頂いた身としては、

自分が見てきたこと、感じたことをいかに分かりやすく一般の方に紹介できるかは大事な能力」

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と語っておられます。

 

また、前回「まっ白なジグソーパズル」を紹介しましたが、こんな厳しい試験もあるそうです。

 

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最終選抜者10人への課題で「10時間で千羽の折り鶴を作れ」

ということは…【1人当たり、4時間で100羽】

――Q:どんなことが求められる試験?

【大西さん】

「実は、課題を出されるときに何を見ているかは受験者には一切知らされない。

この時も、『鶴を折りなさい』という指示だけがきた。

自分の中で、これが宇宙空間での作業でどんな作業に似ているのか、

例えば、閉鎖的な宇宙ステーションで単純作業をずっと長い時間やるときの様子を見ているんだろうなとか想像しながらやる。

僕の場合は、時間に追われて、仕事、折り方が雑にならないようにとか、

最初と最後で後半に疲れがたまって来ても折るペースが落ちないように考えながら課題に取り組んだ」

 

――Q:相談したり協力したりした?

【大西さん】

「ここで集まっていた10人はライバルだが、同じ夢を追いかける仲間の意識が強かった。早く折れる人にコツを聞いたりしていた」


――Q:大西さんは何羽折れた?

【大西さん】

「最初1時間くらいで10羽しかおれなかったので、最終的に80羽いったかいかなかったか。10人で1000羽もいけなかったです」

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科学の専門知識もですが、

コミュニケーション能力、根気、集中力やグループで協力する姿勢が必要なのかもしれませんね。

 

さて、記事によると、

13年ぶりに宇宙飛行士を募集するのは、

2024年までに月、2030年代に火星へ、有人探査を目指すという

「アルテミス計画」のためだそうです。

もちろん、大西さんも参加したいという気持ちをもっておられて、

日本人として最初に月に降り立つことになるかもしれませんね。

そのときは、かぐや姫と、得意な英語やロシア語ではなく、

日本語で「いとをかし」とお話をしてきてほしいものです。

校長室ブログ かぐや姫現わる