両国国技館の思い出
熊本県宇土市出身の正代関が秋場所で念願の優勝を果たし、
見事大関昇進を決めました。
熊本県出身力士の幕内優勝は史上初、
大関誕生も、深海の英雄・栃光関以来ということで、熊本のファンも大喜びです。
【2020/5/8】校長室ブログ 深海が産んだ名大関 栃光関
正代優勝、盛り上がった熊本「水害受けた県民、元気に」(朝日新聞デジタル)
正代、熊本の応援「背中を押してもらった」一夜明け(日刊スポーツ)
インタビューの様子などを見ても、とても誠実で好感の持てるお相撲さんのようですね。
(全国大会に出た小5の正代くん)
大相撲と言えば、私は一度だけ両国国技館で観戦したことがあります。
調べてみたら、平成15年1月場所とありますから、もうずいぶん昔のことです。
暖房が効いていて、汗ばんだことと、
屋根の下の土俵が案外小さく、力士が2人上がると狭ーく見えたのが印象的でした。
ちょうどその日(8日目)は、横綱貴乃花にとって最後の土俵になりました。
当時の貴乃花は、長期の休場や相次ぐケガで、
誰の目にも引退間近な印象でした。
貴乃花と言えば、稽古熱心で、片脚を高く上げる美しい四股が有名でしたが、
当日の彼は、私が見ても、大きくなりすぎた上半身を持て余したような感じで、
いくら相撲とは言っても、スポーツをする人には見えませんでした。
取組では、貴乃花を応援する国技館いっぱいの大歓声が起きましたが、
格下の相手にあえなく敗れたのでした。
貴乃花があっけなく負けたとき、
「キャー」という大きな悲鳴がいくつも上がったのも覚えています。
国技館を出る人混みの中で、
見知らぬ人たちが何人も
「もうだめだな」「終わりだね」などと話しているのが聞こえました。
その日の夜、スポーツニュースでこの一番と
国技館のファンへのインタビューが放送されていました。
ある貴乃花ファンというおばさんが「貴乃花がかわいそう」
と言っておられました。
私は、あの悲鳴の一人はこの人かな、などと思いながら見ていたのですが、
番組の解説者の人がこれを見て
「横綱がかわいそうなどと言われたら、もうおしまいだ」と言っていて、
勝負の世界は厳しいものだなとも思いました。
横綱は力が衰えたり、追い越されたりしても降格はなく、引退しかありませんね。
頂点に立つ華やかな栄光と、さびしい末路が
いつも背中合わせなのだなと思いました。
貴乃花 最後の優勝(平成13年 夏場所)「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」